世界最大の翼竜展〜恐竜時代の空の支配者〜

  2008年6月28日〜8月31日にお台場にある日本科学未来館で開催された「世界最大の翼竜展」。何といっても全長約10メートルになるという、「ケツァルコアトルス」の全身復元骨格と、まるで怪鳥と言ってしまいそうな(鳥ではありませんが)復元模型は、とにかく翼竜に対する認識を一変させるのに十分なものでした。大き目の写真で、たっぷりと御紹介しましょう。(撮影:裏辺金好)

○この展覧会の見所 (解説:馬藤永徳) 

 翼竜の展示といえば、これまでは恐竜博の片隅にある程度でしたが、徹底的に翼竜にこだわった過去に類を見ない博覧会です。そのため、大小さまざまな翼竜を見ながら、飛ぶための骨格にじっくりと見た上で、ケツァルコアトルスという最大の翼竜を見ることができるという点でしょう。

 翼竜といって一般的に面白がられるという点において、飛行能力の限界まで試したかのような巨大化があります。一般的に巨大な翼竜として有名なのはプテラノドンですが、それだけというのはさみしいですよね。できればもう一種類ほしい。そんなわけで、今回は、ケツァルコアトルスがあってこそ大型翼竜が際立った展示だったのではないかと思います。

 なお、翼竜は飛ぶために体を軽くするため、骨の中が空(から)になっており、その骨格がもろくなっています。なお、一説には気嚢があったために骨の中が中空であったという話もあります。そのため、特に小型の翼竜は骨が潰れた状態で化石になっているため、全身骨格を復元して展示することは困難。発掘されたままの状態が多いです。

展示内容


プレオンダクティルス 【名称由来:(イタリアにある)プレオーネ谷の指】
時代:三畳紀後期 翼開長:45cm 産地:イタリア
最も原始的な翼竜で翼は短く、ハトぐらいの大きさ。魚や虫を食べていました。

ランフォリンクス 【名称由来:クチバシの口先】
時代:ジュラ紀後期 翼開長:18cm〜88cm 産地:ドイツ・ゾルンホーフェン

プテロダクティルス 【名称由来:翼の指】
時代:ジュラ紀後期 翼開長:40cm〜175cm 産地:ドイツ・ゾルンホーフェン

クテノカスマ 【名称由来:くしの顎】
時代:ジュラ紀後期 翼開長:120cm 産地:ドイツ・ゾルンホーフェン
下あごの先端の、くしのような細い歯が特徴。歯は60本から400本以上に増えたとか。
こういう形状の歯を持つ翼竜は、プランクトンなどの餌をこしとるように食べていました。

プテロダウストロ 【名称由来:南の翼】
時代:白亜紀前期 翼開長:130cm 産地:アルゼンチン・サンルイス
クテノカスマよりさらに下あごの歯は多く、1000本以上になったとか。

プテラノドン
時代:白亜紀後期 翼開長:7〜9m 産地:アメリカ
上が頭骨の上顎(うわあご)、下が前足の指の骨。・・・ううむ、大きい。

プテラノドン
時代:白亜紀後期 翼開長:7〜9m 産地:アメリカ
引き続きこちらは前足の指の骨、下が上腕骨。

ランフォリンクス 【名称由来:クチバシの口先】
時代:ジュラ紀後期 翼開長:40cm〜175cm 産地:ドイツ
先ほども登場しましたが、初期の代表的な翼竜の1つ。尻尾は胴体の2倍の長さ。

ランフォリンクス 

プテロダクティルス
時代:ジュラ紀後期 翼開長:18〜88cm 産地:ドイツ・ゾルンホーフェン
尻尾がそれまでの翼竜より短くなったのが特徴。尻尾を形作る尾骨の数も少なく、1個の骨も短いとか。

トゥプクスアラ
時代:白亜紀前期 翼開長:6m 産地:ブラジル・セアラ州

ズンガリプテルス 【名称由来:ズンガルの翼】
時代:白亜紀前期 翼開長:3〜4m 産地:中国・新疆ウイグル自治区

シノプテルス 【名称由来:中国の翼】
時代:白亜紀前期 翼開長:1.2m 産地:中国・遼寧省
ブラジル以外で初めて発見されたタペヤラ科の翼竜。尖ったクチバシには歯が無く、種や魚を食べていたと考えられています。

ケアラダクティルス 【名称由来:セアラの指】
時代:白亜紀前期 翼開長:3〜4m 産地:ブラジル・セアラ州
クテノカスマ科の中型の翼竜。鳥のように翼を上下に羽ばたかせて飛んだようです。


【参考:ムササビの骨格標本と剥製】

【参考:ワタリアホウドリの骨格標本】