モウコノウマ(タキ)


(写真:多摩動物園/撮影:裏辺金好)

●基本データ

分類: 哺乳綱 奇蹄目 ウマ科
学名: Equus przewalskii
英名: Przewalski's wild horse
生息地 :中央アジア

●解説

 フランスにある、ラスコーの壁画(1万5000年ぐらい前)で描かれた馬が、このモウコノウマ。日本語の名前が示すとおり、主にモンゴルなどの中央アジアに生息する馬で、北アフリカで発見された、大昔の馬の化石と、現在の馬を結ぶ種類。しかし、現在は野生では生息していません。

 そもそも、ラスコーの壁画で描かれたと言うことは、元々はヨーロッパにもいたということ。氷河時代には、ヨーロッパからアジアにかけて、広域で生息していたのです。ところが、次第に人間によって田畑が切り開かれ、モウコノウマは東に追いやられ、もちろん数も減少していきました。

 さて、学名や英名を見ると一目瞭然ですが、発見者の名前がついています。これは、1879年にロシアの探検家プルツェワルスキー氏が中央アジアで発見したことに由来するもので、「絶滅を防げ!」と、その20年後の1899年から動物園で飼育され始めました。結局、本家本元のモンゴルから野生では絶滅したため(家畜の馬との交雑が進んだ)、プルツェワルスキー氏の発見は、モウコノウマが生き残る最後のチャンスだったようです。

 しかし、モウコノウマを生き延びさせるのは大変な苦労だったようです。と言うのも、「モウコノウマ絶滅の危機!」と判明した1950年当時、全世界の動物園で13頭しかいなかったとか。ここから繁殖させないといけないのですが、なるべく近親相姦は避けたい。そこで1959年、プラハで国際シンポジウムが開かれ、13頭から派生する、交配の記録について動物園同士で記録、管理をするようになり、何とか繁殖に成功しています。

 また、フランスのロゼール地方のメジャン高原に作られた保護区で飼育に成功されたものもあり、野生に近い状態で生息しています。

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