恐竜の基礎知識

○ここで、原点に帰ってみましょう

 さてさて、古生物担当の馬藤所員には、これまで恐竜に関する様々なお話しを執筆して頂きました。しかし私が考えるに、そろそろもっと基本的なお話を載せても良いんじゃないか?と思うように至りました。果たして、恐竜はどのような生物なのか?という。そこで、今回は恐竜の基礎知識と題して、知っているようで知らない(かもしれない)、恐竜のお話を書いて頂きました。



○そもそも、恐竜とは?
 恐竜というのは、寛骨に穴が開いた直立歩行する爬虫類です。
 鳥とトリケラトプスの共通祖先から派生するすべての動物です。

○恐竜の体重って、どれぐらい?
 例えば、ティラノサウルスなんかはどれぐらいの食事をとるの?という所長からの質問ですが・・・。

 ティラノサウルスがどのような生物であったかによって計算は異なります。が、ふつうはそれほど多く食べたとは考えないでしょう。

 
: 変温動物(体温が変動する)であれば、ワニのように一度食ったらしばらく持ちこたえられたはずです。逆に、恒温動物(体温が基本的に一定)、特に鳥類のように、飯をたくさん食う動物はむしろ例外です。哺乳類も燃費がかかりますね。

 ただ実際、あれほどの大きさ(13m)では体の熱もそう簡単には逃げませんし、当時の気候はそれほど寒くなかったので、変温動物であると考えていいでしょう。

 

 ただ、ティラノサウルスが仮に恒温動物(最近そんな話は聞かなくなりましたが)だとすると・・・・何倍ものめしが・・・。実際、一時恐竜恒温動物説の物証として、えさとなる草食恐竜がティラノサウルスが冷血動物にしては多すぎるといった意見もありました。と、まあ結局のところ、よく解ってはいないんですけど、ティラノサウルスははじめに言ったとおりあまり食べなかったと見ていいと思います。草食恐竜の数も、化石データを偏った見方で見てしまったためにでた物証のようです。


 あと、恐竜の体重は実は恐竜の本に乗っている恐竜情報の中でも、一番あやふやなので食物の量も細かい数値は出せないでしょう。


 具体的には、ディプロドクスの体重見積もりは、7tとか10tとかそれ以上とか、人によって差が大きく出てしまっています。なぜならば、恐竜の体重を量る方法が、模型と数式という方法しかないからです。つまり、あくまでも推測の上に成り立つ理論と数式ではじき出しているだけなんですね。


 また模型を作る場合は、肉付けを考えて作ります。それから恐竜の体積を測り、恐竜に近いとされている動物、たとえば鳥やワニの体の密度から予測される体の密度をかけて恐竜の体重を出します。ちなみに問題点なんですが、模型の形以外にも、恐竜の内臓の大きさがよくわからないという欠点があります。

 

 特に肺のデータがないのはつらいのです。其の部分がどのぐらいの重さなのか解りません(肺は化石で残りませんからねえ)。 ちなみに、体重を出すもうひとつの方法は大たい骨と上腕骨があればオッケーです。


 体質量kg=(骨の円周の合計mm)の2.73乗に0.000084をかければオッケーです。
 (アレキサンダー「恐竜の力学」より)


○恐竜の体がカラフルってホント?
 これは、ロバート・T・バッカーという学者が最初に提唱した説です。


 ディスプレイのためにカラフルな恐竜がいただろうと「推測」しています。現生の生物の中には孔雀のように美しい体色で異性をひきつけようとするものがいるのに、恐竜にいないはずはないというわけです。補足ですが、全部ではないですけど恐竜は目は悪くありません。何といっても、鳥の祖先ですからね。

 

 実を言うと哺乳類は、実は色覚は鳥類以下なのです。人間も例外ではありません。人間は青・赤・黄の三色で物の色を見分けます。鳥類はさらにもうひとつの色がつきます。水色だったかなあ・・・。ま、哺乳類は夜行性になったので一度色を認識できなくなっていました。と言うと変な表現かなあ・・・。まあ、退化しちゃったんですね。


○恐竜の卵の殻
 恐竜は、卵がほ乳類に食われて絶滅したという話もあるぐらいですけど。実際のところ堅さはどうだったのでしょうか。


 実を言うと、一般的な爬虫類よりずっと硬いです。爬虫類は・・・、たとえば亀の卵を思い出してみてください。爬虫類のあの柔らかそうな卵に比べれば断然硬いです。亀のあの柔らかそうな卵を見ればわかるように、爬虫類の中でも恐竜の卵は硬いほうに(人為)分類されます。ま、鳥類の卵と似たようなものです。


 例えば:ダチョウの卵をコンドルは、わざわざ石を落としてわるそうですが、こちらも似たようなもの。そんな硬いものを、ネズミの祖先だって、がカリカリ屋ってもそう簡単には食べれなかったでしょう。それでも、食べられる時には食べられてしまったとは思いますけど。

 

 ただし、卵の厚さには限界があります。あまりにも厚いと、中の胎児の呼吸にも影響されます。

 
 また、恐竜は生まれたときはそれほど大きくはありませんでした。といっても、ある恐竜の卵でオムレツを作ると、650個の鶏卵分のスクランブルエッグができるとか・・・(「大自然の不思議」と言う子供向けの図鑑より)。


○雑多なネタから
 ちなみに、今あげた参考文献には、こんな話も載っていました。


 一番長い名前の恐竜・・・・・・・・ミクロパキケファロサウルスとか・・・。

 一番大きい足を持つ恐竜・・・ギガントサウロプス(長さ1.35m)。ただし、今この恐竜がまだ認められているかどうかはわかりません。


 ちなみに足跡には足跡固有の名前がつけられます。
 つまり、ティラノの足跡っぽくてもティラノサウルスとは名づけられないわけ。


 なぜなら足跡で特定できるのは分類単位で科までであり、「ティラノサウルス」というような属までは判別することができないからです。まあ、足跡となるとトラとピューマでも素人には区別つきません(別の属同士です。猫科の)まして化石は風化したり変成していたりしますから・・・。

(執筆:馬藤永徳)
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