恐竜に関する様々な雑学集

○はじめに

 近年、斬新的な説が少なくなったというより、今まででた説の証拠集めをしている感ありの恐竜学と思ったら、また話題が出てきています。今回は、ちと古いネタも思いっきり混ぜながら、色々な話を紹介しましょう。なお、一介のマニアの乏しい知識から書いてあるのでもしかしたら間違いがあるかもしれないことを付け加えておき、それに対してお詫びを申し上げます。

1.白亜紀の温暖化
 近年でてきたというより今まで気づかなかっただけかもしれません。恐竜王朝最後の時代白亜紀----この言い方、あんまり良くないかもしれません。でかいから恐竜が目立つだけですから。恐竜が陸上生態系の頂点にいましたが----は、地球温暖化が非常に進んでいた時代でもありました。海水面が、今よりも百m単位で高かったそうです。猛暑が続き(季節変化はあったと思いますが)、海水の温度も10度以上高かったとか。興味深いといったらいけないかもしれませんが、海水が無酸素状態になってしまうこともあり、その時に軽い絶滅がおこっているとか・・・。地球温暖化に興味のある人は、こちらの方の専門家の先生の本を読まれるといいでしょう(説明から逃げた)。

2.スパイク
 すごく古い話題。ステゴサウルス。あのクルミ大の脳に、ラジエータの役割を果たす背中の板。
 そして、尻尾(しっぽ)のスパイクで有名な草食恐竜。
 しかしあのスパイク、実は横向きになっていました。

 何のことか解らなかったら、ジュラシックパークU(ロストワールド)参照。
 また、有名な雷竜(あの首としっぽの長い四つ足のとにかくでかい草食恐竜)の一部の背中に刺があったそうな。


3.鼻
 恐竜の頭骨にはたくさんの巨大な穴があります。
 ティラノサウルスなんか見たら頭骨が、すかすかでしょう? もちろんそのすべての穴が、顔に開いていたためではなく、多くは皮が張られてました。・・・肉もだっけ?でも、恐竜には表情筋がないので哺乳類ほど顔は肉に覆われてません。で、鼻の穴があった穴というのもあって、鼻の穴以外は皮に覆われていました。

 問題はこの穴。でかいんです。おかげでどこに鼻の穴があるかさっぱわからない。で、最近こういうことを研究した人がいて、鼻の穴は案外馬のように口の近くにあったと結論付けました。おおっ。でも大して復元変わりませんなあ。

4.鳥と恐竜
 前にも紹介しましたけれども、今でもこの騒乱は続いています。恐竜の話で隕石の次に有名な鳥のお話です。教科書にも始祖鳥でよく触れられていますね。しかし一筋縄にいかないのがこの分野の特色・・・。

 恐竜から鳥へ向かう証拠とされた始祖鳥はジュラ紀という時代に生きていました。ところがその前の三畳紀の地層からプロトアビスなんて化石が出てきちゃいました。たまたま三畳紀の地層に後期の化石が混ざりこんだだけだ、いいやこいつこそが本当の鳥(現在)の祖先だなどと議論が展開されていました。

 もしこいつが三畳紀の鳥で、しかも本物(偽者説有)ならば恐竜から鳥説は疑わしくなります。三畳紀には鳥ににた恐竜はいませんので。それどころか恐竜は生まれたばっかりです。知識不足で申し訳ないですが確か始祖鳥のいたジュラ紀でも見つかってはいないはず(最近報告例があるが確実なものはまだ)。でもさらに次の白亜紀には見つかっているので、ジュラ紀の発見されてない鳥型恐竜が鳥になったと考えれもします。

 でも、鳥と恐竜がなんらかの関係があるのは多くの人の一般認識(そう、あくまで一般です)。最近は、恐竜にも羽毛があったことが明らかになり一部の恐竜は羽毛つきで復元されるようになっています。そこで、こんどは爬虫類から鳥類が生まれたとする人の一部がこの矛盾を打破するためにBCF理論(Birds Comes First) なんてのを考えました。ずばり「はじめに鳥ありき」。なんと爬虫類から鳥へ進化していく過程や、鳥の進化の過程で地上に降り立ったのが恐竜だというのです。実際、鳥の種類が増えた白亜紀(ジュラ紀の次、恐竜の時代の最後)には鳥だか恐竜だかさっぱりわからないような恐竜?が発見されています。

 最近では中国から(だったよな)羽根突き恐竜がみつかったりしています。いっぽうで、恐竜の足と鳥の足に明らかな違いを見つけて関係ないとほえる人も。まるで百羽の鶏がばらばらに鳴いているかのようなこの状態、いったいどこに落ち着くのやらわかりません。個人的にはBCF理論(鳥から恐竜に進化説)が好きというか、すっきりしているとおもうんですが(なお、ダイノバード仮説とも言います)。

 写真はシノルニトサウルス(中国鳥竜)と言って、中国遼寧省から発掘された白亜紀前期の獣脚類恐竜です。全身が羽毛で覆われ、前後ろだけでなく上下にも動かせる肩関節を持ち、限りなく鳥類に近くなっています。なお、裏辺金好所長撮影。

5.群れを作る恐竜
 昔、ほぼ完全な全身骨格として話題をさらったT・レックス「スー」。このスーが二度も重大な怪我(足の骨折etc...)から立ち直ったことから大型の肉食恐竜も群れを作ったんじゃないかという説がつよくおされるようになりました。そして近年、カナダとアルゼンチン2箇所からさまざまな年代が集まった肉食恐竜の化石の集団が発見されました。これはもう群れをつくっていたと考えるしかないらしいです(大型肉食恐竜は一箇所に固まって化石になる確率がすでにかなり低い)。

 脳の大きさから群れなんて社会行動はできないだろうと考える人もいますが、これはまず否定してよいでしょう(一介のマニアが何を偉そうに)。
 
 ただ、個人的に思うのですがその群れがどういうものかはじっくり考えるべきでしょう。哺乳類の群れおもとに高度な社会行動をしていたと考える向きもありますが、案外サメが固まっているだけみかもしれません。獲物はみんなでいっせいによくも考えもせず突撃していってがぶっとか・・・。でも、そうじゃない可能性も十分あります。もうちょっと化石証拠をあつまるまで答えはおあづけといったところでしょう。

(執筆:馬藤永徳)
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