■はじめに
 このコーナーは、4月中旬から5月中旬にかけて美しい表情を魅せる様々なチューリップを特集しています。
 チューリップは品種改良によって、様々な種類が作り出され、花びらの色、形には様々なものがあり、見ていて飽きません。ここではそんな魅力たっぷりのチューリップたちを、国立昭和記念公園で撮影したものを中心に、ごく簡単ではございますが、皆さんに御紹介したいと思います。

裏辺金好 

 ■チューリップとは?
 チューリップはユリ科チューリップ属の植物で、学名はTulipa gesneriana 
 原産地は中央アジアから中東の地中海沿岸あたりで、いずれも花茎が真っ直ぐ伸び、その先にカップのような形の花を1つだけ咲かせ、また葉脈が平行した幅広く長い、不思議な形の葉を持っているのが特徴です。品種改良によって多数の種類がありますが、野生種だけでも約150種もあるそうです。

 さてヨーロッパに伝わったのは16世紀。オスマン朝が支配していた現在のイスタンブルに、神聖ローマ帝国から赴任していた、大使のブスベキウスが伝えたことに始まります。ところが現地でこの花の紹介を受けたときに、オスマン朝の人に、「(ターバンに似ていることからターバンのトルコ語である)トゥルバンド”のような花”だよ」と紹介されたことから、チューリップという名前で伝わってしまいました。

 こうしてヨーロッパに栽培が伝わると大ブームを巻き起こします。特にオランダでは、花そのものへのマニアも多数登場する一方、投機対象として、球根に多額の資金を投入する人々も多く現れ、のちに価格が大暴落したことから破産する人まで登場しました。騒ぎは政府の規制によって集結しましたが、現在でもチューリップとオランダが連想されるように、チューリップはオランダを代表する産業です。

 そんなわけで、オランダ王立球根生産者協会というチューリップの権威みたいな組織があるのですが、ここから発刊された「チューリップ品種の分類と国際登録リスト」には、1996年時点でのチューリップの品種として約5600品種が記載されています。また、この本では開花時期によってチューリップを早生(Early flowering)、中生(Mid-season flowering)、晩生(Late flowering)及び原種(Species)の4つに分類され、さらに来歴、花型、草姿などによって細分化され、合計15種類に分類されています。

 例えば、開花期が4月中旬のものが早生。更にその中でも、
 一重早咲き(Single Early  : SE )・・・花色は鮮明で小輪が多い。草丈は低く、花壇や鉢植えに適する。
 八重早咲き(Double Early : DE )・・・一重の突然変異で八重化。草丈は低いものが多い。
 と2種類に分類されています。

 これらの分類と定義について興味のある方は、
 チューリップ王国とやま チューリップの基礎知識 http://tulip.agri.pref.toyama.jp/tulip/kiso_03.html  を御覧ください。このサイトの中でも、出来る限り分類については併記しております。

 また、どうやって新品種が出来るのか、についてもこのホームページが面白く、
 チューリップ王国とやま とやま生まれのオリジナルチューリップ  http://tulip.agri.pref.toyama.jp/tulip/original_1.html
 は必読です(笑)。

 ところで、日本にはいつ頃からチューリップが栽培されるようになったのでしょうか。
 実は、江戸時代後期の文久年間(1861〜64年)にフランスを経由して入ってきましたが、普及されるまでには至りませんでしが。しかし、大正末期に新潟県中蒲原郡小合村(→新津市を経て、現在は新潟市秋葉区)でオランダから球根を輸入し、量産したところから普及がスタート。新潟県下に広がり好評を博し、そして現在ではチューリップの一大産地となった、富山県の砺波平野で本格的に栽培されています。このあたりの気候は、原産地である中央アジアと良く似ていることから、チューリップの栽培がしやすいそうですね。

 参考文献:国立昭和記念公園ガイドブック〜Tulip Garden Museum2008〜
        礪波市役所 チューリップのホームページ http://www.city.tonami.toyama.jp/hana/tulip/tulip.html
        チューリップ王国とやま ホームページ http://tulip.agri.pref.toyama.jp/tulip/index.html
        マイクロソフト エンカルタ総合大百科2004