カメラについて語ってみる(9) モノクロ写真について語ってみる

1.はじめに
 窓から吹き込む風に、時折冷たさを感じるようになって来た今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。私は、少し長めの夏休みを満喫し、次の授業の準備を始めたところです。

 先日、東京を中心に、関東を旅してきました。といっても、研修旅行も兼ねてのことですが。高校時代の友人と、久々に顔を合わせ、有意義な時間を過ごすこともできました。

 さて、この夏休みはわりと忙しく、何度か撮影を請け負ったこともありました。そのため、メインのEOS-1Vが機嫌を損ねてしまい、現在実家に帰ってしまっています。まぁ、これからはしばらく撮影もないし、完璧なコンディションに戻ってもらおうと思います。

 今回は、何について話してみようか考えていましたが、白黒フィルムについて話してみようと思います。というか、白黒写真全般なのですが。

2.白黒写真

写真:裏辺金好
七ノ瀬氏が後述していますが、デジカメの写真をフォトレタッチソフトで簡単にモノクロにすることが可能。写真はお台場にて。

 いわゆるモノクロ写真。白と黒の二色の濃淡によって、表現する技法です。最近はカラーフィルムが主流となり、なかなか使わなくなってきました。でも、僕は好きなんですよ、モノクロ。色を使わない分、想像力が駆り立てられるというか。

 モノクロだと自分で現像できますしね。まぁ、カラーもやれないことはないんですが、液温の管理が難しくて、一般家庭で現像するよりもラボに出した方が経済ですし。

 高校時代は、かなりのモノクロフィルムを現像しましたよ。部活でロール(40mくらいのフィルムが巻いてある)を買っとくんです。で、それを自分でパトローネ(フィルムの入ったボトルみたいな物)に必要な枚数(最大36枚)を巻き取って使うんです。

 パトローネは専用のを買ったりもしたんですが、お店にたのんで、現像した後のパトローネを貰ったりして。切れ端が出てるんで、そこにセロテープで貼り付けて巻き取ってました。MFの古いカメラで使うと、時たま巻きすぎてパトローネから剥がれたりして。懐かしいですね。

 受験が終わったと、3ヶ月くらい暗室にこもって、毎日のように写真を焼いてたこともあります。ちょうど寒い時期なので、放っておくとどんどん液温が下がるから、電熱器で暖めながら現像するんですよ。で、逆に、夏は氷水で冷やしながら。

 モノクロをやっていた人には共通の思い出だと思います。
 暗室の赤いランプと、定着液のにおい。青春の思い出としては、あんまり明るいイメージじゃないですね(笑)。酢酸のにおいだし(笑)。

 自分も、最近はカラーがメインですね。クライアントが「ぜひモノクロで・・・」なんて言う事もないですから(笑)
 でも、プライベートで撮るときは、結構モノクロ使うんですよ。僕の好きなモノクロの使い方を、ちょっと紹介します。

3.増感
 これは、普通リバーサルフィルムで使う手法なのです。たとえばISO感度100のフィルムをプラス2段増感してISO400として使ったり。こうすると、粒子は粗くなってしまいますが、2段速いシャッターが切れることになります。最近のポジフィルムは、この増感特性が素晴らしいものが多く、僕もよく助けられています。

 で、これをモノクロフィルムでもやってみるのです。特に、もともと粒子の粗いISO800とかISO1600とかのフィルムで。ISO1600で2段増感すると、ISO6400になり、日中では最小絞り&最高シャッター速度でも露出オーバーになってしまうでしょう。そこで、NDフィルターをかけたり、またはPLフィルターを使ったりするのです。

 あ、注意点としては、リバーサルフィルムの像感現像はだいたいどのラボでも受け付けてくれますが、ネガの増感はなかなかありません。ので、自分で現像した方がいいですよ。
このようにして撮影すると、とても粒子の粗いフィルムを作ることができます。最近の写真はデジカメの発達もあり、CGのようにクリアーな、粒子のない写真も多いので、逆に新鮮に見えたりもします。

4.イメージ写真
 これはカラーでも一緒なのですが、自分のイメージに仕上げる方法。別に、モノクロに限ったことではないのですが、ありのままに撮るのではなく、自分の頭の中にあるイメージにあわせて撮る。ある意味、目の前にある世界を自分の中で創り変える作業なのです。これは、ボクだけかもしれませんが、カラーよりも、モノクロの方があっていると思います。異論もあると思いますが、僕の個人的意見として笑い飛ばしてください。

5.まとめ
 写真を学ぶうえで、モノクロフィルムは避けて通ることができないと、個人的には思っているのですが、最近はそうでもないようです。
ただ、個人的に言わせていただくと、写真は『光をフィルム(またはCCDなど)に捉えるもの』だと思います。カメラの進歩によって、シャッタースイッチを押すだけで、それなりの写真が撮れるようになっています。これは素晴らしいことです。フォーカスの自動追従など、人間にはできないことを機械がやってくれたりもします。でも、写真というものを根本的に考えると、『光を捉える』ことに尽きるのです。モノクロフィルムを使って撮影し、それを自分で現像するということは、撮影したときの光の状態が、いかにフィルムに反映されるのかという事を、身をもって体験することです。

 こうして経験を積むことで、『光が読める』ようになれれば良いのですが。私もまだまだ未熟ですが、モノクロフィルムを使うことで、いろいろ学んできました。

 と、こんな堅っ苦しいことよりも、やっぱりモノクロフィルムは楽しいんですね。
 みなさんも、ぜひ白黒フィルムを使ってみてください。カラーにはない良さが見つかるはずですよ。

6.おわりに
 最近のデジカメには、その機能の中にモノクロモードというものを搭載しているものがあります。凄いですね。カメラで被写体を見るときは色つきだから、出来上がりを想像しないといけなかったのに。

 それとは別に、デジカメの普及により、パソコンでフォトレタッチしてプリントアウトする人も多いと思います。そんなときにぜひチャレンジしていただきたいのが、モノクロプリントです。最近のプリンターはかなり色再現性が高性能になってきましたが、まだ物足りない部分があります。そこをカバーすることもできるのが、モノクロプリントです。

 フォトレタッチソフトで写真をモノクロ化し、プリンタードライバーで、モノクロ指定するだけです。そのときは、モノクロ専用用紙があるので、そちらを使うとより綺麗に仕上がります。モノクロフィルムはなかなか使いにくそうだ、という人も、こちらの方法なら、わりと簡単にモノクロ写真を作ることができます。試してみてください。

 それでは、また。

棒