カメラについて語ってみる(29) フルサイズ回帰

●はじめに
 2009年はじめてのカメラの楽園です。今年もよろしくお願いします。


 毎年初めに投稿する時、「今年は定期的に原稿書こう」と思いつつ、いつも不定期になっているのは心苦しい限りです。愛想尽かさず、お付き合いくださいませ。


 昨年は30万円台で35mmフルサイズCCD搭載のデジタル一眼レフがNikon、SONY、CANONから発売されました。原稿を書いている時点(2,009年1月25日)ではそれぞれの最低価格が20万円台前半まで下がってきているようで、より購入しやすくなりました。競合製品が発売されることによって、さらに良い商品ができることを願っています。


●EOS5DMarkU購入
 前回、第28回カメラの楽園で『いずれにせよ、EOS5DmarkU(以下5DU)の発売が11月下旬ということなので、購入は来年になってからですねぇ』などと言っていましたが、発売日(2,008年11月29日)に購入したやつがここに一人。もっとも、いろいろと個人を取り巻く様々な柵(しがらみ)によって、手元に届いたのは30日になってですが。


●発売直後の黒点問題
 発売直後、黒点問題が価格.comなどで議論になりました。高輝度の点光源などを撮影した場合、点光源の右側(通常の横位置撮影の場合)に黒い点が発生するということでした。検証スレッドなども乱発状態で、ちょっとしたお祭り騒ぎでした。


 クリスマス時期ということもあり、ちょっと散歩すればそのような被写体はゴロゴロしていたので、ボクも試してみました。・・・確かに発生しますね。個体差があるようで検証スレッドにあったような、びっくりするほど大きなものはありませんでした。試しプリントも何度か行いましたが、ノートリ(トリミング無し)のA4では判らないし、A3ノビでも言われて「あるかなぁ」程度。ボクの5DUはとりあえず問題無いということにしました。もっとも、現在修正ファームウェア(ver.1.0.7)が発表され改善されました。


●使用後所感
 もともとあまり目くじらを立てるほど気にしていなかったこともあり、ファームウェアアップデート後は快適に使っています。 購入後2ヶ月の感想です。


 初めて箱から開けた瞬間、「ん?小さい?」と思いました。もちろんKissX2などと比べると大きいですが、30Dを使っていたボクとしては、予想に反して小さい印象を受けました。しかし持ってみると、ギッシリ感というか密度が高い感じです。もちろんフラグシップクラスには及びませんが、二桁Dクラスとは違う感じがします。


 初めて装着するレンズはEF 50mmF1.0L。デジタルで初めて真価を発揮すると期待していただけに、緊張の瞬間です。5DUが810g、50mmF1.0が985g、バッテリー等合わせると、合計2kg弱という重さです。


 AFでピンと合焦・・・、シャッターボタンを押しこみ、バシャッ!

 思った以上にシャッターを切った後のショックが大きい?これは今までAPS-Cサイズに慣れていたため、ミラーショックがほとんど気にならなかったためですが、久々のフルサイズのミラーショックは必要以上に大きく感じました。100コマ程度シャッターを切ったあたりから慣れてきて、気にならなくなりました。むしろ「中途半端な気持ちでグリップすると手振れするぞ」という5DUからの忠告のようにも感じます。


 慎重にグリップし、何度か部屋の中で撮影してみます。ファインダーもAPS-Cサイズ機と比べるととても見やすいし、気持ちがいいです。高画素化した液晶も画像確認がしやすい。


 画質は良いです。高感度でもノイズが少ないのがウリの一つでしたが、確かに。画質や他機種との比較はいろいろなWebページにおいてすでにされていますので、この程度にしておきます。


 全体的には満足ですが、造りの粗い個所もあります。電源スイッチや、CFカードスロットカバーは改善されているとはいえ長時間握っているとギシギシする感覚があります。ここら辺は定価を抑えるために、この程度になってしまったのでしょうか。CANONのデジタル一眼は画質が良いのにカメラとしては今一歩みたいな状態はこれからも続くようです。


 さてさて購入後2日目で、早速仕事に持ち出しました。人物撮影でしたが、結果的には非常に満足です。ボクは50mm単焦点を多用していたのですが、単焦点だと特にフィルム時代慣れていた焦点距離がそのまま使えるのは大きいです。APS-Cサイズはズームレンズを付けていればごまかせたのですが、単焦点だと使いにくかったのです。画質も上々。仕事がうまくいったせいもあって、5DUは一気にお気に入りになってしまいました。

●単焦点レンズ
 ボクはもともと単焦点レンズを好んでいました。最近撮影データを確認したところ、ズームレンズもズームの端と端を使う率が非常に高いことが判明しました。


 撮影時の移動が制限がある場合は中間焦点距離を使っていますが、例えばEF80-200mmF2.8の場合200mmの焦点距離を使うことがとても多く、たまに80mm、中間焦点距離という感じです。高校時代ハマったTokina19-35mmも、19mmばかり使っていた気がします。


 これはいっそのこと、単焦点の方がいいのではないか。5DUがメインになってから、機材のセットはEF17-40mmF4、EF50mmF1.4、EF80-200F2.8の3本+ストロボなのですが、使用頻度が高いのは50mmと200mm。もう200mmの単焦点に切り替えてしまうか、と考えています。


 実際単焦点の方が多くの場合値段も安く、画質も安定しています。またはズームに比べて明るいのです。とりあえずしばらくは現在の機材を使って、不具合が生じた時に考えることにします。また、デジタルカメラの高画素化に伴い、新しい設計に切り替わっているレンズもあるので、しばらく待った方がいいかなとも思っています。

●現在の使用状況(追加購入アイテム)

 現在、50mmF1.4と80-200mmF2.8の使用頻度が高いため、フォーカシングスクリーンをスーパープレシジョンマット(Eg-S)に交換しました。これはF2.8より明るいレンズでよりピントの山がつかみやすくなるマットです。弱点はそれより暗いレンズでは、ファインダー像が暗くなってしまうのですが。ゴミやホコリに気をつければ、そこまで交換が難しいものではないので、その時の撮影条件に合わせて交換しています。


 またバッテリーグリップを追加購入しました。これを装着すると本体のみで1キロを超えてしまうのですが、逆にミラーショックなどが気にならなくなりました。ボクの好みではグリップがあった方がもちやすいので、よっぽど機材の重さを減らさないといけない場合以外はグリップ付きです。またバッテリーパックも2個入るので、長時間の撮影でも、電池の持ちをあまり気にしなくて済みます。

●おわりに

 全体的に、5DUは完成度の高いカメラだと思います。30Dと併用していると、ファインダーの見やすさ、液晶のキメ細かさがより際立ちます。30Dも良いカメラなのですが、デジタルに移行してからの技術の進歩は速いですね。もともと連写もそんなにしないので、30Dを持ち出すことがめっきり減ってしまいました。


 それに伴い、APS-Cサイズ専用レンズを何本か手放しました。
 やはり上位互換で使えるに越したことはありません。


 さて少し早いですが、和歌山ではすでに観梅が始まっているようです。京都はまだのようですが、今年は梅の写真も掲載できたらと思います。

 
 それでは、まだまだ寒い日が続きますので、風邪には十分注意をしてください。


2009年1月25日

文責 七ノ瀬悠紀


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