RX-160S バイアラン・カスタム(HGUC)


○解説

 「ティターンズ製の機体」という理由で日陰部署とも言えるトリントン基地に放っておかれたバイアランを、同基地のスタッフが魔改造…もとい改良した機体。実は原作の小説には全く登場しないアニメオリジナルのMSです。
 既存技術の転用や基礎能力のブラッシュアップを中心に改良されたマイナーチェンジ版バイアラン。かつて空を目指したモノが、幾多の困難を乗り越え再び空へと舞い戻った姿に多くの視聴者が涙したという嘘のような嘘の話があります。
(撮影&解説:八十八舞太郎)

○ギャラリー


全体像
 一見人型に見えますけど実は大きく逸脱している異形のMS。特に横幅の広さが目を引きます。 そのため全高だけなら20mほどと当時のMSよりやや大きい程度なのですが、幅の広さからくる存在感は圧倒的。原型のバイアランと比べると極端に変化している場所は少なく、胴体や脚部などはほぼそのまま使われている感じです。 頭部は上からクリアパーツのバイザーを付ける形ですが、裏のプラ部をシルバーで塗装するとカメラの造形が透けて良い感じです。

 スラスター内部などの赤色部分はほとんどをシールで補っていますが、このシールが非常にクセモノ。 曲面、折り目部分に貼り付けなければならないうえに非常に入り組んでいるので、キレイに貼るのが困難です。 具体的には肩スラスター、脇下スラスター、膝裏スラスターの3ヶ所で鬼のシール貼りが待っています。 爪楊枝を用意し、カッターで細かく切り分けて貼るのもよいですが、いっそのこと塗装したほうがラクかも。


メガ粒子砲
 元機もそうだったのですが、武装はメガ粒子砲とビームサーベルのみ。で、カスタムでは腕をそっくり取り払ってメガ粒子砲の砲身のみをくっつけるという実に潔い仕様に。
 劇中ではマシンガンじゃないかってくらいの速度で連射してたので、もしかしたらそんなモードがあるのかも。武装がシンプルなので付属品も非常に少なく、サーベル刃と股間に取り付けるスタンド用ジョイントだけ。

ビームサーベル
 メガ粒子砲がそのままサーベル発振器も兼ねており、ビームサーベルとして使用可能。MG規格の大型のものが用いられています。ゼー・ズールを建物に叩きつける際に使っていたクローは、懐かしのガブスレイのものを流用したという設定。劇中では用いませんでしたが、足のクローも今は亡きバウンド・ドックのものを使用しているようです。そのごた混ぜっぷりはスタッフから「(ティターンズMSの)キメラ」と称されていたとか。


宙返り
 旧式MSしか配備されていない辺境の基地に対し、これまた旧式MSを主力とするジオン残党兵の襲撃ということもあって、 Ep.4のこの襲撃事件に登場するMSはどれも骨董品ばかり。もはや「旧型同窓会」の様相を呈する有り様でした。 そのトリを飾って基地の屋根をブチ貫き現れた姿を見て、とっさに元機の名前が出てこなかった人も多かったのではないでしょうか。 因みに「スターダストメモリー」で襲われたのもこの基地。もう一度お祓いしてもらったほうが良いんじゃないですかね…

背面
 元々放棄される予定の機体だったのですが、「単独飛行可能」という大きなアドバンテージを惜しんだ基地のスタッフが、なるべく低コストで改良するという前提で残してもらい、せっせと手を加えていた模様。日陰部署ということでヒマだけはあったらしく、発案者の整備員(実は元ティターンズのパイロット)を中心に皆がノリノリで参加し、 旧機体の廃部品などをちょろまかして改造していたそうです。(BGM:魔改造のテーマ)

天地無用
 で、ジオン残党の襲撃により図らずもスクランブル出撃となったバイアランと整備員ですが、昔とった杵柄と言わんばかりに 宙返りロックオンからジオン水泳部員の皆様を蜂の巣 最新鋭機のゼー・ズールは今流行りの壁ドンで沈黙させ 無謀にも空中に格闘戦で挑んできたゲルググを急制動でいなして撃破 …なにこの主人公機。

弱いものはいじめる
 SFSを利用するか可変して飛行可能な状態になるかでしか空を飛べないという時代において、人型のまま空が飛べるどころか滞空すらできるとかいうビックリドッキリメカが飛び出てきたらそりゃあ驚くってもの。しかも片田舎の基地にこんなバケモノがいるなんて誰が想像できたことか。 ※結論・連邦の田舎基地は危険。なんかよくわからない改造を施された旧型機が飛び出てくる可能性大。

サイズ比
 同じくHGUCのZIIと。ZII18m、バイアラン20mと若干高いくらいなのですが、横幅の差で異常に体格差があるように見えます。カミーユ&ジェリドというZの因縁持ち同士の後継機揃い踏みというなかなかに感慨深い構図。 基地に押し寄せてヒャッハーしていたジオン残党軍の前に颯爽と現れ、圧倒的な戦闘能力で蹴散らしていった救世主がまさかのバイアラン。

 しかも旧式のみならず新型のゼー・ズールすらも撃破し、結局10機近くを血祭りにあげるという圧倒的無双っぷり。 たった1分程度しか映像になってないにも関わらず視聴者のハートをガッチリ鷲掴みにしていきました。 なお、実はもう1機同型が存在していて、こちらは更にギャプランのビームキャノンなどを積んだ武装強化仕様として運用を予定していたそうな。 (後にプレミアムバンダイ限定でこの2号機もキット化されています)

↑ PAGE TOP