日米親善よこすかスプリングフェスタ’10
       Yokosuka Spring Festa '10
●はじめに
 2010年3月28日、毎年恒例の春のアメリカ海軍横須賀基地の一部一般開放が行われ、クレメント通りの桜の公開(残念ながら満開ではありませんでしたが)や、アメリカン屋台、ステージイベントの実施、そして艦艇公開が行われました。今回公開された艦艇は、駆逐艦「ステザム」と、海上自衛隊の護衛艦「いかづち」の2隻。基地内部の様子を裏辺所長が、艦艇の姿は鯛風雲が撮影してまいりましたので、ご紹介します。
(撮影&解説:裏辺金好&鯛風雲)

●基地内部
 基地内部はアメリカ式に通りの名前がつけられています。

 基地内部にある海軍の金融機関。

 アメリカらしい、豪快な食事。破格の値段で提供されていましたが、とにかく人気で買うのも一苦労・・・。

 基地内のレストラン。見慣れない店舗名も多数・・・。

 基地内の映画館。

 基地の消防車。

 基地内の施設の1つ。ペリー提督の名前がつけられていました。

 というわけで所長さんから原稿を引き継ぎまして、ここからは鯛風雲が担当させて頂きます。お恥ずかしながら、自分もこのイベントを訪問するのは初めてで御座いました。

 さて本日公開されている艦は米海軍駆逐艦「ステザム」と海上自衛隊護衛艦「いかづち」のようです。「いかづち」の方は海自横須賀基地所属なので、以前もお目にかかった事がありますが、「ステザム」は初ですね。艦船が停泊している岸壁へは5分ほど歩きます。歩く途中にも旧日本途中に軍関係の遺構かと思われる物件があるほか、陽気な米兵が歌って踊ってるのであっと言う間についてしまいます。

 さあて早速見学…と思いましたが、目の前には長蛇の列…先が霞んでるのは気のせいだよね?(´・ω・`)

 1時間くらい並んでから気がついたのですが、護衛艦「いかづち」の方はスムーズに出入りできたようです。
なんという不覚ッ!!!とは言ってもあとで『混んでいたので米艦の方は諦めました(キリッ』なんて申し上げようものなら所長さんから容赦なき折檻があることは確かなのでひたすら寒さに耐えますよう!!(`・ω・´)ゞ

 所長注:大丈夫ですよ。食事に夢中で艦艇公開の時間を過ぎていたマヌケな所長さんがいますので。
 
 待つこと一時間弱。乗艦の順番が周って来ました。何十人かに分けて入れているようです。海自では入口と出口2つ設けて順路通りに客を回していくのですぐ入れるんですけどね。初乗艦の「ステザム」ですが、軽く解説を書いておきます。

 DDG−63「ステザム」
 1995年就役。米海軍所属のイージス艦。アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の13番艦である。母港は横須賀。つまりここ。詳しくは軍艦一覧を見てね!

 通路にございます。そういえば実は私自身イージス艦はじめてです。イージス艦は他の駆逐艦(護衛艦)と比べると艦橋構造物がバカでかいのが特徴でして、このように一部の通路は艦橋構造物の中に収まっています。

 というのも、イージス艦の『目』であるフェーズド・アレイ・レーダーというレーダー(下の方参照)が発する電波は人体に影響があると言われるほど強いものですので、戦闘中に乗員を外に出すことは出来ないのです。乗員の安全を確保する目的も兼ねていると言うわけですなあ。

 通路を抜けた先が前部甲板となっております。こちらにはフラットな形状を持つ現代の艦においてもっとも目立つ砲塔が設置されております。この砲はMk−45 127mm速射砲で、対艦・対地射撃はもとより、高精度の対空射撃も可能のようです。

 個人的にはオットー・メララの127mm速射砲の方が格好いいなあとは思うんですがなあ。

 さて、その後ろ側にある謎の箱。もといMk−41 VLS(Vertical Launching System)、早い話がミサイルの垂直発射装置です。ミサイルの発射装置なんていうともっと武骨でアブノーマルなものかと思われるかもしれません。しかしそんなものは20年前の話で、現在では多くの艦がこのような垂直発射装置を装備しております。

 ちなみに垂直発射装置の場合、従来はミサイルの種類ごとに発射ランチャーを設けなければなりませんでしたがこちらは様々な種類のミサイルを混載することができますし、一度垂直に打ち上げるのでわざわざ照準を合わせる必要もありません。とはいえそのため即応性が求められる飛来する航空機・ミサイルへの迎撃は不利になってしまいました。

 上を見上げるとお馴染み(?)のCIWS 20mm機関砲が装備されています。こちらは主に艦めがけてすっ飛んでくる飛来する航空機・ミサイルへの迎撃を行うための火器ですね。

 銃身の上の白い部分にコンピューターが搭載されていた…はずです。

 やっぱりイージス艦といえばこのカットですなあ。(*´∀`)
 この八角形の物体がフェーズド・アレイ・レーダー、AN/SPY−1Dです。平面上に多数の小さなアンテナを配置しうんたらかんたら。…詳しい事はグーグル大先生にお尋ねください。

 奥に停泊している世界最大の軍用艦こと、二ミッツ級航空母艦6番艦「ジョージ・ワシントン」。
 写真なんてもんじゃあ実際の大きさの30%も伝わりませんぞ!!こればっかりは実際にご覧にならないと分からない迫力ですなあ。いやあ感動ですのう。うむうむ。(´;ω;`)

 後部甲板へ移動しました。
 まず目に入るのがこちらもお馴染み、対艦ミサイル・ハープーンのランチャーです。護衛艦などでもご覧になれますように、世界各国の艦船に搭載されている傑作ミサイルです。

 イージス艦といえばこの後ろからのカットですなあ。(*´∀`)
 え?デジャブ?それはさておき、なぜこのカットがイージス艦らしいのかと申し上げますと、この後部艦橋構造物、妙に横幅が絞られている事にお気づきでしょうか?

 これは先程ご紹介いたしましたフェーズド・アレイ・レーダー、つまりイージス艦の『目』の視界を保つために、後部艦橋構造物の横幅を意図的に抑えているわけです。

 艦尾には米艦なので星条旗が掲げてあります。

 「ステザム」を正面から。日本含め、米国の同盟国のイージス艦はこのタイプをもとに設計されているため、海上自衛隊「こんごう」級なども似た形状を持っています。 
 ※護衛艦「いかづち」艦上より撮影。

 ちなみに見学中一番気になっていたのが、こちらの歩哨の隊員さんが携行しているM16(たぶんA4…?)アサルトライフル。M16はシャープなボディが特徴です。シリーズ全体ではベトナム戦争からイラク戦争まで世界のさまざまな戦争・紛争での豊富な実戦経験を持つ銃です。

 ちなみに『ゴルゴ13』においてゴルゴがよく使っているのもこのM16です。

 さてさて、そろそろ「ステザム」からは失礼しまして、前方の海上自衛隊護衛艦「いかづち」の方を拝見させていただくとしましょう。
こちらはあっさり乗艦。いえ、空いてるとかそういうことじゃないですよ。

 艦首付近より艦橋を望むの図。手前の砲はオットー・メララ社製76mm速射砲。自衛隊向けの製造は日本製鋼所。砲自体は世界各国で採用されています。

 砲の先っぽ。いや、深い意味はないんだ。

 素晴らしい。素晴らし過ぎる。乗員の皆様の苦労が身にしみるカットです。
 ※艦橋構造物の隙間です。

 艦橋横よりマストを見上げるの図。個人的に気に入ってる角度です。
 海上自衛隊の護衛艦(たかなみ級以前)のマストはラティスマスト(鉄塔のような構造を持つ)を採用しておりますゆえ、このようなマストを見上げるようなカットが美しく感じられるわけでございます。

 以上で艦艇公開のレポは筆を置かせていただきます。ちなみに時間的な都合で艦艇公開を見た後は直ぐに退却してしまったので、また機会が御座いましたら基地内もじっくり見てみたいですね。