キハ183系特急形気動車


キハ183系登場時の塗装。1編成が2001年にリバイバルカラーとして復活して団体列車などで2009年まで活躍。2010年に廃車されてミャンマー国鉄へ売却された。
(写真:特急おおとり 追分駅/撮影:デューク)

●基本データ

デビュー年:1979(昭和54)年
保有会社:JR北海道、JR九州、ミャンマー国鉄
最高速度:120km/h/、130km/h
使用列車:あそぼーい!
元・使用列車:北斗、おおとり、とかち、スーパーとかち、おおぞら、オホーツク、大雪、利尻、サロベツ、オランダ村特急、ゆふいんの森、シーボルト、ゆふDXなど
運行区間:豊肥本線、日豊本線(大分〜別府)
元・運行区間:函館本線、宗谷本線、千歳線、石北本線、石勝線、根室本線、鹿児島本線など

●様々な顔と用途を持つ特急車両

 キハ183系は、北海道のキハ80系の後継車両として開発された車両で、1979(昭和54)年に試作車12両がまず登場した。キハ80系と異なり、485系や781系などに似た高運転台が採用されたのが特徴である。その後試験が続けられ、1981(昭和56)年から2年にわたり89両が製造。さらに1986(昭和61)年からは分割併結を考慮し、キハ82形を現代的したような低運転台の貫通型の車輌を先頭車にもつグループ(500番台)に製造が移行し、これに合わせて従来の国鉄では考えられない、非常に明るい新塗装が採用された。

 JR北海道発足後も製造が続けられ、それまでの120km/hから、将来の130km/hに対応した車輌も登場。のちに改造されて130km/h運転へ出力アップを果たした車輌(2550番台、3550番台)も登場している。さらに、2階建てグリーン車や。、ジョイフルトレインとして様々な車体・内装を持つ車輌も製造された。

 JR北海道所属車輌は、後継車両のキハ281系、283系などの登場により、次第に活躍の場を狭め(一方で、稚内の方にも進出しているが)、初期車両はいよいよ廃車も進んでいる他、最近ではお座敷列車に改造された車輌も登場している。また、一部はミャンマー国鉄へ譲渡されている。

 一方、JR九州でも1編成がキハ183系として製造されている(1000番台)。
 これはジョイフルトレインとして区分されることが多いが、誕生から現在まで一貫して特急として使用されており、登場時は長崎県のテーマパークに合わせ特急「オランダ村特急」として使用され、電車特急との協調運転が注目されるも、特急「ハウステンボス」運転開始に伴い、1992(平成4)年に特急「ゆふいんの森(U世)」に転用され、博多〜大分で運転されるようになった。

 1999(平成11)年からは、再び長崎県に戻り特急「シーボルト」として運転(人名で、しかも外人の名前というのが非常に珍しい)。しかし、利用客の不振で廃止となり、2004(平成16)年に特急「ゆふ」系統に戻り、特急「ゆふDX」として運転を開始。さらに2011(平成23)年6月4日からは、豊肥本線の特急「あそぼーい!」として運転されている。

 2017(平成29)年3月14日改正では、特急「サロベツ」から運用を離脱。また、特急「オホーツク」4往復のうち2往復が旭川〜網走間に運転区間が短縮され、特急「大雪」に再編。懐かしの愛称が復活した。

 2018(平成30)年3月17日改正では、特急「北斗」(定期列車)から撤退。また、初期型であるスラントノーズ車も全車両が引退した。2023(令和5)年3月18日改正でJR北海道のキハ183系一般車が「オホーツク」「大雪」から撤退することで定期運用を離脱し、同年春にノースレインボーエクスプレスが引退する予定である。

●キハ183系バリエーション一覧


国鉄末期の1986(昭和61)年に増備されたキハ183系500番台は、先頭車が貫通型となったほか、塗装も従来の特急色とは大きく異なるものへ。1988年〜1990年にJR北海道が増備した最高速度120km/h運転対応の550番台も、基本的な外観はこれに準じている。
(写真:特急「北斗」 函館本線 函館駅/撮影:daikiti)

2022(令和4)年5月3日から苗穂運転所所属のキハ183-8565とキロ182-504が復刻塗装となっている。
(写真:特急「大雪」 石北本線 東旭川〜桜岡/撮影:リンi)

キハ183系500番台に合わせて、既存の0番台、900番台の車両も塗装が変更された。なお、このタイプの塗装はJR化後のリニューアル工事と共に消滅している。
(写真:特急「北斗」 函館本線 函館駅/撮影:daikiti)

今はなき特急「スーパーとかち」用リニューアル車。2階建て車両も組み込んでいた。
(写真:特急スーパーとかち/撮影:haru様 禁転載)

現在も活躍する特急「オホーツク」用塗装。「スーパーとかち」とほぼ同じ塗装だが、先頭部の塗りわけが異なっている。
(写真:特急オホーツク 奈井江〜豊沼/撮影:裏辺金好)

キハ281系に合わせて塗装変更した姿。貫通型先頭車の大半はこの塗装となっている。
(写真:特急とかち 新夕張駅/撮影:裏辺金好)

1999年に改造されて登場した「お座敷列車」用のキハ183系6000番台。
定期列車への増結にも対応した内装となっている。赤や金色などを使った大胆な塗装が特徴的。
(写真:根室本線 釧路駅/撮影:裏辺金好)

キハ183系のうち、1984〜85年にかけて先頭車化改造されたキハ183形100番台。キハ80系のような顔つきで、4両が登場した。写真は国鉄時代。
(写真:特急おおぞら/撮影:KAIJIさん 禁転載)

こちらもキハ183形100番台で、HET183塗装。現在は見られない。
(撮影:Neo Nostalgia 禁転載)

こちらもキハ183形100番台で、「オホーツク」塗装。
(写真:特急オホーツク 砂川〜滝川/撮影:裏辺金好)

 2007年に登場した、臨時特急「旭山動物園号」用のキハ183系。特急シンボルマークが取り外され、旭山動物園の元飼育係で絵本作家のあべ弘士氏のイラストが描かれている。また、車内も子供向けに大改造が行われた。
(写真:特急旭山動物園 岩見沢駅/撮影:裏辺金好)

 「旭山動物園」号編成の反対側。写真撮影時は4両編成だったが、2008年4月に5両編成化。1号車「ホッキョクグマ号」、2号車「オオカミ号」、3号車「ライオン号」、4号車「チンパンジー号」、5号車「ペンギン号」という編成になっている。
(写真:特急旭山動物園 平和駅/撮影:裏辺金好)

2013(平成25)年7月にリニューアルされた「旭山動物園」号。「地球の仲間と出かけよう」をテーマに内外装が一新された。
(写真:函館本線 札幌駅/撮影:裏辺金好)

JR北海道のキハ183系5000番台ジョイフルトレイン「ニセコエクスプレス」。1988年に登場。
(写真:函館本線 札幌駅/撮影:裏辺金好)

プロ野球「北海道日本ハムファイターズ」誕生を記念して、PR塗装となった「ニセコエクスプレス」。2003年から長らく、この姿で運用された。
(写真:函館本線 ニセコ駅/撮影:プラズマ様 禁転載)


JR北海道のキハ183系5100番台ジョイフルトレイン「クリスタルエクスプレス トマム & サホロ」。
高運転台なのが特徴で、前面の視界は良好。1989年に登場。
(写真:特急フラノラベンダーエクスプレス 札幌駅/撮影:裏辺金好)

JR北海道のキハ183系5200番台「ノースレインボーエクスプレス」。1992年に登場。
1997年には根室本線で発生した踏切事故の影響で、キハ183−1が専用塗装に塗られて代用されたことも。
(写真:函館本線 函館駅/撮影:裏辺金好)

オランダ村特急としてデビューした当時のJR九州のキハ183系1000番台。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん様 禁転載)

シーボルトのあとに転用された特急「ゆふDX」用の塗装(登場時)。再び湯布院(由布院)への観光輸送へと戻ってきたが、古代漆色を装う。
車内は木のぬくもりを感じさせる雰囲気に改造された。そして2008年に、さらに塗装変更され山吹色となっている。
(写真:特急ゆふDX/撮影:デューク)

平成17年度に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「風のハルカ」の舞台が由布市であることを記念したラッピングが貼られた、「ゆふDX」。
(写真:特急ゆふDX 大分駅/撮影:小田急3000形様 禁転載)

同じく「風のハルカ」ラッピング車両。
(写真:特急ゆふDX 大分駅/撮影:小田急3000形様 禁転載)

特急「ゆふDX」用キハ183系は2008年3月から装いを新たにし、「緑の森の中に光り輝く山吹色」をイメージしたプレミアムイエローと呼ばれる塗装になった。なお、併せて補助前照灯の追加が行われている。なお、2010年1月で運用を終了し、今度は豊肥本線で「あそぼーい!」デビューする。
(写真:特急ゆふDX 久大本線 大分駅/撮影:裏辺金好)

キハ183系は2011年6月4日に登場した観光特急「あそぼーい!」用車両。特急「ゆふDX」用を改造したもの。
(写真:九州鉄道記念館/撮影:AC20kV−DC1500V)

現存せず。オランダ村特急から撤退し、緑一色となった「ゆふいんの森U世」時代のJR九州キハ183系1000番台。
(撮影:雑学の博物館 禁転載)

こちらも塗装は現存せず。「「ゆふいんの森」から撤退し、細かくは違うが、登場時のイメージに戻った特急「シーボルト」時代のキハ183系1000番台。
(写真:特急シーボルト 佐世保駅/撮影:武蔵野通信局 禁転載)

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