キハ54形一般形気動車


四国に投入されたキハ54形0番台は、登場時はオレンジ色の帯だった。
(写真:予讃線 多度津駅/撮影:もこてん ※禁転載)

●基本データ

デビュー年:1986(昭和61)年
保有会社:JR北海道、JR四国
元保有会社:国鉄
運転区間:宗谷本線、石北本線、釧網本線、根室本線、予讃線、内子線、予土線、土讃線など

●離れた二つの場所へ、国鉄の遺産

 国鉄が、民営化後に経営が苦しいと予想されるJR北海道、JR四国向けに投入した全長21m級の車両で、ステンレス製の車体が特徴である。一部の機器にバス用の汎用部品を使用したほか、台車や変速機・運転台機器等に廃車発生品を採用し、製造コスト削減に努めている一方、勾配にも対応するために2エンジン搭載と馬力は高い。

 四国向けが0番台で、12両が製造。側窓はユニットサッシで、扉はバス部品の折戸・ドアエンジンを採用。車内はオールロングシートで、トイレは未設置。

 北海道向けが500番台で、29両が製造。側窓は一段上昇式の二重窓で、扉は半自動で狭幅の引戸を採用。車内は一般仕様車(501 - 526)が製造当初は出入り口付近をバケット式ロングシートとしたセミクロスシートで、急行仕様 (527 - 529)が0系新幹線の廃車発生品を使用した転換クロスシートである。いずれもトイレが設置されている。

 なお、500番台一般仕様車は後にキハ183系からの発生品である簡易リクライニングシートや、「海峡」用のオハ50系から転用した転換クロスシートを設置。さらにキハ54 522(ルパン三世ラッピング車両)は789系1000番台自由席と同タイプのリクライニングシートを集団見合い式で設置している。

●カラーバリエーション(四国向け0番台)


JR四国のキハ54。元々はオレンジ色のラインだったが、JR四国発足後、コーポレートカラーである水色に塗られるようになった。
(写真:予土線 伊予宮野下〜二名/撮影:リン)

JR四国の「清流しまんと号」を2013年にリニューアルした「しまんトロッコ」に使用されるキハ54−4は、水戸岡鋭治さんデザインとなった。山吹色をベースに、英語等で様々なレタリングを実施。
(写真:予土線 江川崎駅/撮影:リン)

●カラーバリエーション(北海道向け500番台)


JR北海道のキハ54形の多くは登場時と変わらぬ赤いラインを巻く。主に北海道東部・北部で運用され、特別快速運用も。
(写真:釧路運輸車両所/撮影:裏辺金好)

根室本線の根室以東の愛称である花咲線仕様の車両はピンク色の帯に変更されている。ワインレッド色にも見えるが・・・。
(写真:釧網本線 釧路駅/撮影:裏辺金好)

花咲線用のキハ54−520は賑やかな花柄ラッピングが施された。しかし、踏切事故で罹災し、2007(平成19)年に廃車。
(写真:根室本線 釧路駅/撮影:ネオン)


花咲線用のキハ54−522には2012(平成24)年4月1日からルパン三世のラッピングが施されている。花咲線沿線の浜中町が、原作者のモンキー・パンチの出身地であることに因んだもの。上写真は海側のデザイン。
(写真:釧網本線 釧路駅/撮影:裏辺金好)

ルパン三世ラッピング車両(山側)。
(写真:釧網本線 釧路駅/撮影:裏辺金好)


「流氷物語号」用のキハ54−507。「流氷物語号」は2017(平成29)年から登場した列車で、キハ54 507は白を背景に流氷とクリオネを描いた「白車両」としてラッピング。なお、キハ54 508は青色をベースに知床連山と沿線に咲くエゾスカシユリを描いた「オホーツクブルー車両」である。
(写真:釧網本線 釧路駅/撮影:リン)

2018(平成30)年11月1日から運転を開始したキハ54−521「地球探索鉄道花咲線ラッピングトレイン」。車体の半分が赤基調、もう半分が白基調のラッピングである。
(写真:根室本線 釧路駅/撮影:リン)

○車内の様子(四国向け0番台)


客席は着席部分を明確化したバケットタイプのロングシートで、仕切板を座席間に3〜5人毎に配置している。
(撮影:リン)

キハ54形0番台の運転台。
(撮影:リン)

○車内の様子(北海道向け500番台)



急行仕様車であるキハ54 527〜529は0系新幹線由来の転換クロスシートを設置。なお、混雑緩和対策でデッキ付近がロングシートに改造されている。
(撮影:リン)

500番台一般車の一部はキハ183系から転用した座席に改造。集団見合い配置で固定されており、中央はテーブル付きのボックスシート配置。
(撮影:リン)

花咲線用の車両は快速「海峡」用50系から転用した転換クロスシートを設置し、水色地に北海道の鳥をデザインしたモケットに張り替えている。
(撮影:リン)

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