12系客車


側窓が2段式となっているのが12系の特徴。
(撮影:リン)

●基本データ

デビュー年:1969(昭和44)年
保有会社:JR東日本、JR西日本、わたらせ渓谷鐵道、秩父鉄道、若桜鉄道、フィリピン国鉄、タイ国鉄
元保有会社:国鉄、JR東海、JR九州

●団体輸送用の客車として誕生

 臨時列車として運用されてきた旧型客車の置き換え用として誕生したもの。
 客車のサービス電源を床下のディーゼル発電機でまかなう「分散電源方式」を採用。さらに車体幅を最大2903mm、車体長を20800mmと拡大し、さらにクロスシートのピッチを1580mmとするなど従来車両よりも居住性を向上。さらに出入扉をステンレス製、便所・洗面所をFRP製のユニット構造、通風器と雨どいもFRP製、そして側面に自動行先表示機を取り付けるなど、当時として様々な新技術を投入している。

 大阪万博の輸送用として活躍し、急行用の旧型車両置き換え用にも製造されて603両が誕生したが、1980(昭和55)年からはジョイフルトレインへの改造、さらに普通列車用にセミクロスシート化などが行われて用途の転用が開始。さらにJR化後には、夜行急行列車の削減、普通列車やジョイフルトレインの気動車化、さらに12系自身の老朽化や牽引機の削減が進み、その多くが廃車となり、特に国鉄色を保っている車両は数えるほどしかない。

 なお、秩父鉄道と「わたらせ渓谷鐵道」に譲渡されて現在も活躍しているほか、若桜鉄道がSL運転に向けてJR四国から購入した車両が存在。さらに、JR西日本からは1997年にタイ国鉄に、JR東日本からは1999年と2001年に、2003年にはJR九州がフィリピン国鉄に一部車両を譲渡している。

●カラーバリエーション一覧、車内の様子など


JR東日本の「ばんえつ物語」用客車。2007年にリニューアルされた際の2代目塗装。
(写真:磐越西線 会津若松駅/撮影:裏辺金好)

JR東日本の「ばんえつ物語」用客車。2013年に上写真のスロフ12-102が展望車として登場。
2014年にはスハフ12-101がオコジョ展望車として登場し、併せて塗装が統一されている。
(写真:信越本線 新潟駅/撮影:裏辺金好)

JR東日本の「ばんえつ物語」用客車を使用した、2007年のクリスマストレイン。
車内に装飾とイルミネーションが設置された。
(撮影:きたぐに様)

お座敷ジョイフルトレイン「くつろぎ」。引退後は2両が碓氷峠鉄道文化むらに保存されている。
なお、写真は廃車後しばらく横川駅に放置され、現在は解体された残りの車両。
(写真:信越本線 横川駅/撮影:裏辺金好)

お座敷ジョイフルトレイン「くつろぎ」車内。
(写真:碓氷峠鉄道文化むら/撮影:裏辺金好)

1987年に登場したJR東日本仙台支社のジョイフルトレイン「オリエントサルーン」。
(写真:磐越西線 川桁〜関都/撮影:daikiti)

つくば科学博の時全国を巡回した、科学万博のPRトレイン「サイエンストレイン」。
(写真:日光線 鶴田駅/撮影:KIX様)

1987年から2000年まで活躍した、JR東日本の「スーパーエクスプレスレインボー」。
14系が主体の編成だが、1両のみ12系(オロ12 715)を連結。
赤い車体に白文字でRAINBOWなどのレタリングが施されている。
(撮影:daikiti)

わたらせ渓谷鐵道で「わ01形」として活躍した「サロン・ド・わたらせ」。
元はJR東日本のジョイフルトレイン「やすらぎ」である。
(写真:わたらせ渓谷鐵道 大間々駅/撮影:裏辺金好)

秩父鉄道でSLパレオエクスプレス用客車として使用される12系(旧塗装)。
(写真:秩父鉄道 熊谷駅/撮影:裏辺金好)

秩父鉄道でSLパレオエクスプレス用客車として使用される12系(現在の塗装)。
(写真:秩父鉄道 寄居駅/撮影:裏辺金好)

1985年登場、JR東海に所属した欧風ジョイフルトレイン「ユーロライナー」。2005年に廃車された。
(写真:東海道本線 藤沢〜大船/撮影:裏辺金好)

JR東海の飯田線の「トロッコファミリー号」で使用された12系。2006年に廃車され、翌年に解体された。
(写真:飯田線 豊橋駅/撮影:与太郎)

JR西日本のジョイフルトレイン「あすか」。
(写真:東海道本線 品川駅/撮影:KIX)

1999年に12系と24系を改造して誕生したJR西日本の「きのくにシーサイド」。2007年に廃車された。
(写真:阪和線 天王寺駅/撮影:裏辺金好)

JR西日本の「きのくにシーサイド」車内の様子。
(撮影:輝龍様)

展望車が特徴的なユウユウサロン岡山。
(写真:山陰本線 米子駅/撮影:デューク)

木次線のトロッコ快速列車「奥出雲おろち号」用に改造された車両。
(写真:芸備線 玖村〜下深川/撮影:リン)

JR西日本のジョイフルトレイン「旅路」。2007年に引退した。
(写真:山陽本線 広島駅/撮影:リン)

昭和56年に改造された和式客車を平成元年に再改造した、
JR西日本のジョイフルトレイン「いきいきサロンきのくに」。2007年廃車。
(写真:後藤総合車両所 敷地外より/撮影:リン)

SLやまぐち号用客車も12系から改造。現在は旧型客車風の塗装に塗られている。
(写真:山口線 新山口駅/撮影:裏辺金好)

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