20系客車


日本の鉄道史上、画期的なものとなった20系。しかし、現存している車両は多くない。
(写真:鉄道博物館/撮影:裏辺金好)

●基本データ・運用区間

デビュー年:1958(昭和33)年
元保有会社:国鉄、JR東日本、JR西日本
主な元使用列車:あさかぜ、はやぶさ、さくら、みずほ、あかつき、あけぼの、急行銀河 など

●元祖『走るホテル』

 10系客車をベースに夜行列車専用の車両として開発されたもの。
 国鉄初の固定編成客車とし、編成最後尾に大容量の発電機を設置した車両を連結することで、全車両に冷暖房を設置することを実現し、大幅なサービス向上に貢献。また、冷暖房の効率化のために固定式二重窓を採用することで保温能力を高め、さらに新型の空気バネ台車の採用も合わせて静寂な環境作りに務めている。

 そして何より、20系で採用された青い車体は「ブルートレイン」として親しまれることになり、新幹線網が未発達の時代には長距離の交通手段として多くの人に利用された。しかし、登場時は「走るホテルとして絶賛された設備も、時代と共に見劣りが著しくなり、後継車両の14系や24系の登場によって国鉄民営化前には次々と引退。JR化後も臨時寝台特急や急行などで細々と活躍を続けたが、1997年11月にJR西日本で快速「さよなら20系客車」(新大阪〜岡山)が運転されたのを最後に、運用が消滅した。

 廃車後は各地でレストランやホテルなどに転用されたものもあったが、その多くは現存しない。JRが保存車両として保有するのは鉄道博物館のナハネフ22 1と、交通科学博物館のナシ20 24の2両のみである。

●現役時代の姿、車内の様子、保存車など


鉄道博物館で保存されているナハネフ22 1の車内
(撮影:裏辺金好)

現役時代の20系。旅情を誘う上野駅のホームに、寝台特急「あけぼの」が停車中。
(写真:東北本線 上野駅/撮影:daikiti様)

現役時代の20系。運用後期には屋根下の白帯が省略され、14系や24系と同じ2本になった。
(写真:東海道本線 大阪駅/撮影:ムスタファ)

簡易的な顔つきの車両も存在した。
(写真:鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん)

交通科学博物館で保存されていた頃のナシ20(食堂車)。今後は京都鉄道博物館で保存される。
(撮影:裏辺金好)

福岡市東区の貝塚公園で保存されている、ナハネフ22 1007。
(撮影:デューク)

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