787系特急形電車


九州新幹線博多開業後の787系は「アラウンド・ザ・九州」塗装に統一されている。
(写真:特急かもめ 竹下駅/撮影:リン)

●基本データ・運用区間

デビュー年:1992年  最高速度:130km/h
使用列車:リレーかもめ、かささぎ、かいおう、きらめき、にちりん、にちりんシーガイア、きりしま、ひゅうが
元使用列車:つばめ、リレーつばめ、有明、かもめ、みどり、ドリームにちりん、川内エクスプレス
運行区間:鹿児島本線、長崎本線、佐世保線、福北ゆたか線、日豊本線、宮崎空港線
元運転区間:豊肥本線

●全国に衝撃を与えた、JR九州のハイグレード車両

  1992(平成4)年夏、日本中をあっと言わせた列車が登場した。それが、この787系特急「つばめ」である。かつて東海道・山陽線で華形とも言える特急列車名だったものを17年ぶりに復活させたもので、JR初の特急型車両783系の登場や、赤一色に塗られた485系など人々の度肝を抜いてきたJR九州だったが、この列車はそれを遙かに凌駕するものに仕上がった。

 デザインは、ドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏らが担当。主として博多〜西鹿児島間の長距離運用を担当することから、より快適で楽しめる車両を目指した。 外装・内装共にメタリック調であり、高級感と近未来感を我々に与える。またファミリーのために6人用、4人用の個室も用意。

 さらに、在来線からほとんど消えていたビュッフェ(食堂車)も連結。食事は自分の席で食べてもらう事になるが、オリジナルの食事を提供する(ただし現在は、新幹線開業後の運転区間短縮を見越して普通座席車に改造されてしまった)。その他、客室乗務員「つばめレディ」が乗り込み快適なサービスを提供し、車両性能の方も最高時速130km/hを誇る。

 その後、門司港・博多〜熊本間の特急「有明」にも投入され増発。他に特急「かいおう」「きらめき」などで運用を開始した。一時的に長崎本線の特急「かもめ」に投入されたこともある。また、九州新幹線(八代〜鹿児島中央)開業により、「つばめ」の名前は新幹線に譲り、旧「つばめ」は博多〜新八代を走る特急「リレーつばめ」に。塗装をツートングレーからダークグレーに変更し、レタリングも控えめに変更している。なお、「有明」用車両もベース色のダークグレー化が行われている。

 ちなみに、2005年10月からグリーン車を越える快適さの、DXグリーン席の連結を開始。1列3席という広々とした空間を備え、新幹線「つばめ」と共に、当面はJR九州の看板列車として活躍を続けそうである。なお、編成は4両、6両の「有明」用、7両の「リレーつばめ」用が存在している。

 なお、塗装やロゴが区別されているものの、増結用などとして「リレーつばめ」運用に「有明」塗装車が入ることも多かった。

 2011(平成23)年3月の九州新幹線開業以後は、「有明」「かもめ」「にちりん」「きりしま」「ひゅうが」などで使用され、九州各地に本格的に進出した。これに伴い、「有明」「リレーつばめ」用塗装を統一したものへ変更された。2021(令和3)年3月13日改正では特急「有明」の廃止、「にちりんシーガイア」の787系化が行われている。

 西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)開業に伴う2022(令和4)年9月23日改正では、特急「かもめ」の愛称は新幹線に譲られ、特急「リレーかもめ」、特急「かささぎ」で運用されている。

●787系バリエーション一覧


登場時の787系「つばめ」の塗装。ツートングレーの車体に列車名のロゴを配置。
(写真:特急有明 熊本駅/撮影:裏辺金好)

「リレーつばめ」用の塗装は、ダークグレー1色に統一。ロゴは控えめに変更された。
(写真:特急リレーつばめ 竹下駅/撮影:裏辺金好)

特急「有明」用の787系(登場時)は、「つばめ」と同じくツートングレーの塗装。ロゴのTSUBAMEはARIAKEとし、アクセントとして「ありあけ」と記した赤色の四角を配した。
(写真:特急有明 博多駅/撮影:裏辺金好)

後に「有明」用787系は、「リレーつばめ」に色調を合わせてダークグレー1色となった。
(写真:特急リレーつばめ 博多駅/撮影:裏辺金好)

塗装変更から間もなく、特急「有明」用塗装は「ありあけ」の平仮名ロゴを消去した。
(写真:特急リレーつばめ 瀬高駅/撮影:裏辺金好)

さらに特急「有明」用塗装は、赤色部分を消去。初代「つばめ」塗装にも似た雰囲気になった。
(写真:特急有明 遠賀川駅/撮影:リン)

九州新幹線全通後、787系の塗装は基本的に「アラウンド・ザ・九州」塗装に統一。
(写真:特急かもめ 長崎駅/撮影:リン)

2020(令和2)年10月16日に運転を開始した特急「36ぷらす3」。ブラックメタリックで塗装され、ライト周りなどを金色で縁取っている。
(写真:特急36ぷらす3 西出水〜高尾野/撮影:リン)

一部にステッカーを貼ることで、暫定的に「アラウンド・ザ・九州」塗装とした旧「有明」塗装。
(写真:特急きらめき 竹下駅/撮影:裏辺金好)

一部にステッカーを貼ることで、暫定的に「アラウンド・ザ・九州」塗装とした旧「リレーつばめ」塗装。こちらは先頭車下部に「TUBAME」のロゴが残る。
(写真:特急きらめき 枝光駅/撮影:リン)


2014(平成26)年の大河ドラマ「軍師官兵衛」に合わせて運転された黒田官兵衛ラッピング車。側面には「ふくおか官兵衛くん」「(中津市公式キャラクター)くろかんくん」を配した。
(写真:特急官兵衛きらめき 行橋駅/撮影:裏辺金好)

●787系ロゴマーク


特急「つばめ」旧塗装に描かれていたロゴ。
(撮影:裏辺金好)

特急「有明」塗装のロゴ。
(撮影:裏辺金好)

シールで上書きされて消されてしまった「ありあけ」の平仮名。
(撮影:裏辺金好)

特急「リレーつばめ」用のロゴ。
(撮影:裏辺金好)

現在は九州各地で活躍するため、全車両が「アラウンド・ザ・九州」ロゴに統一。
(撮影:ロクマルサン)

2011(平成23)年3月改正後に暫定的に、シールで「アラウンド・ザ・九州」ロゴを貼ったもの。
(撮影:裏辺金好)

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