江ノ島電鉄(神奈川県鎌倉市・藤沢市)
       Enoshima Electric Railway Co.,Ltd.
 鎌倉駅と藤沢駅を結ぶ営業距離10キロの鉄道。「江ノ電」という愛称で親しまれるこの路線は、1902年(明治35年)9月に、江ノ島電気鉄道として藤沢〜片瀬(現江ノ島)間が開業。その後路線延長を続け1910年(明治43年)藤沢〜小町(現鎌倉)間全線が開通。戦後は江ノ島鎌倉観光へ社名変更し、1949年(昭和24年)には国鉄鎌倉駅構内へ乗り入れを開始し、その際に小町駅を鎌倉駅へと改称。1981年に、長年親しまれた通称から江ノ島電鉄と社名変更し、現在に至る。モータリゼーションの影響で廃線の危機が訪れた時期もあったが、TVドラマ・歌などにたびたび登場するなど知名度が上がり、現在では沿線周辺道路が度々渋滞に悩まされる中、地元・観光の足として活躍している。なお路面電車としてメディアに扱われることが多い同線だが、法令上は「軌道」ではなく「鉄道」の扱いとなっている。現役車両は全車2両固定の連接車で、2編成を連結した4両編成も運転。また全ての形式が相互に併結可能である。
(解説:もこてん所員)

●10形
 1997年登場。
 江ノ電開業95周年を記念した「レトロ電車」で、オリエント急行をコンセプトとし、二重屋根風のクーラーを隠すカバーや、クリームと青を基調とした塗装、木目調の車内などの特徴を持つ。また単なるイベント的車両と言うわけでもなく、車体幅の拡張やシングルアーム式パンタグラフなども行われている。1編成のみ在籍。
(写真:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)

●20形
 2002年登場。
 こちらは江ノ電開業100周年時に登場した車両。基本的に10形の車体と同様であるが、装飾装備などを簡略化しシンプルな車両となった。初のLED行き先表示を採用。また江ノ電標準塗装ではあるが、金色の帯が追加されている。2編成が在籍。
(写真:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)
●100形
 現在極楽寺検車区に108号が、鎌倉海浜公園に107号がそれぞれ保管されている。2両とも1931年(昭和6年)に製造され、1980年まで現役単行車両として活躍した2両である(廃車は1982年)。通称タンコロ。108号は自走可能で、年1回の展示が行われる。
(写真上:極楽寺検車区/撮影:もこてん)
(写真下:鎌倉海浜公園/撮影:裏辺金好)





●500形
 1956年登場。
 前面の丸みを帯びたデザインが特徴的なこの車両は、両開き扉、一段下降窓、運転台仕切りなど、当時の新機軸を取り入れた意欲的な江ノ電の看板車両だった。
 2003年に全車引退。
(写真:鎌倉駅/撮影:さがみ様)
●300形
 ある意味「江ノ電」を代表する車両。全車がカルダン駆動化されている。現在2編成が在籍するが、同じ形式を名乗りながらそれぞれが全く違った経歴・外観・室内を持つ。
 303−353編成は単車の100形103号と104号を連接化して登場。100形のイメージを残す外見が特徴。
 305−355編成は、1960年の新製車体ではあるが、台枠に京王帝都デハ2000形(木造車)のものを流用して作成された車両。側面窓は最近では珍しい「バス窓」タイプで、室内もこれまた「木の床」が残っている。
 写真上真ん中、及び写真中の304−354編成は、100形106・109を連接化。一時期、登場時の塗装を再現した「チョコ電」として活躍したが、2005年(平成17年)9月に惜しまれながら引退。
 写真下の301−351編成は、100形113・114を連接化。ルーツをたどれば、車体は東京都交通局154・115(元・王子電軌205・206、台車は東京都交通局261・262(元・西武軌道線41・42)で、それぞれ1927年、1928年の製造である。この編成は1992年に廃車となった。
(写真上:極楽寺検車区/撮影:もこてん)
(写真中:藤沢駅/撮影:裏辺金好)
(写真下:鎌倉高校前/撮影:daikiti様)
●(新)500形
 2006年3月運用開始。初代500形を意識した丸みを帯びた車体で、江ノ電初のVVVF制御・回生ブレーキ車両となった。「車内液晶ディスプレイ」では駅案内の他、観光地路線らしく沿線の見所を案内する。
(写真下:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)
●600形
 1970年、江ノ電へ東京急行より譲渡。
 東急玉川線、世田谷線で活躍した車両で、1925年に製造され、1953年に車体を鋼製化した車両がルーツとなっている。1990年に全車引退し、江ノ島駅付近の某店で先頭部分が展示されている他、601号は東急世田谷線宮の坂駅前で保存されている(塗装は東急時代の緑一色へ)。
(写真上:江ノ島〜腰越/撮影:JS3VXW様 禁転載)
(写真下:鎌倉高校前/撮影:daikiti様)
●800形
 1948年、山梨交通モハ7形、モハ8形として登場。
 1962年、同社の鉄道線が全廃されたため、上田丸子電鉄(現・上田電鉄)丸子線へ移籍し、さらに同線が廃止になったため、1971年に江ノ電(江ノ島鎌倉観光)へやってきた。
 1976年、三扉に改造。
 1986年に廃車となっている。
(写真:鎌倉高校前/撮影:daikiti様)


●1100形
 1981年(昭和56年)登場。つりかけ駆動車で1編成が在籍。冷房準備車として登場し、翌年冷房改造により江ノ電初の冷房車となる。現在1000形も冷房改造されているため、1000形との外観の差はない。2005年には「義経号」として特別塗装がなされていたが、現在は20形に準じた塗装となっている。
(写真上:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)
(写真下:七里ヶ浜駅/撮影:裏辺金好)
●1000形
 1979年(昭和54年)登場。それまでの江ノ電のイメージを変えるデザインで、翌1980年(昭和55年)ブルーリボン賞を受賞。現在は2編成が在籍し、第2編成が20形に準じた塗装に改められている(2006年2月現在)。
 デザインは新しいが現在もつりかけ駆動が使われており、カルダン駆動の300形とは対照的な走行音を響かせている。なお第1編成は2006年4月より1年間「情報発信電車S.K.I.P号」となっている。
(写真上:江ノ島〜腰越/撮影:裏辺金好)
(写真中:江ノ島〜腰越/撮影:もこてん)
(写真下:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/もこてん)
●1200形
 1983年(昭和58年)登場。
 つりかけ駆動車で1編成が在籍。江ノ電初の「新製」冷房車。ヘッドライトが角型に変更された。
(写真:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)
●1500形
 1986年(昭和61年)登場。江ノ電初のカルダン駆動車で2編成が在籍。外観は1200形と同様。現在1編成が明治製菓の宣伝車となり、残り1編成は20形に準じた塗装。
 写真は両編成とも、1500形。
(写真:江ノ島駅/撮影:もこてん)
●2000形
 1990年(平成2年)登場。前面窓に大きな1枚窓を採用したのを始め、全体の窓も拡大するなど展望を意識したつくりとなっている。現在3編成が在籍。前面の行き先表示は季節ごとのイラスト入りとなっている。第1・2編成に当初装着されていた前面スカートは、他車との併結改造の際に連結器干渉のため取り外されていたが、2006年に再び取り付けられている。なお第3編成は当初からスカートなしで登場。2006年4月現在、2000形で唯一スカート非装着。
(写真上:藤沢駅/撮影:裏辺金好)
(写真下:七里ヶ浜〜稲村ケ崎/撮影:もこてん)