松本電鉄ハニフ1形


(写真:鉄道博物館/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1904(明治37)年 /筑摩鉄道デビュー年:1922(大正11)年
元運行区間:上高地線

●鉄道博物館入りを果たした、国有鉄道における最初の電車

 後に国有化され、中央線の前身となった甲武鉄道の電車で、飯田町〜中野間で運用。26両が製造され、1910年に鉄道院の車両形式称号規程の制定時に、番号順にデ963形(963〜988)となり、国有鉄道における最初の電車の1つとなった。

 のちに電装部品をはずし、客車化されて地方私鉄に譲渡され、このハニフ1形は1914(大正3)年〜1915(大正4)年にかけて信濃鉄道(現在の東日本旅客鉄道大糸線)に譲渡された車両の1つである。信濃鉄道ではデ968号をハ6、さらにロハフ1として使用。

 さらに1922(大正11)年に筑摩鉄道(後の松本電気鉄道。現在のアルピコ交通)の開業に伴い同社へ譲渡。車体の一部を荷物室に改造し、ハニフ1にそれぞれ改称して使用されてきた。そして1948(昭和23)年に引退し、1955(昭和30)年に廃車となったが、新村車庫でその後も保管され続けてきた。

 電装品こそ無いものの、明治の木造電車が今も残っているという非常に貴重な例であり、2007(平成19)年に鉄道博物館へ譲渡。現在は松本電鉄時代の姿のまま、展示されている。

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