日本の旅 第104回
北海道開拓の村〜北海道札幌市厚別区〜
     A trip of Japan No.104 Historical village of Hokkaido
○北海道開拓の村の概要
 札幌市郊外の道立野幌森林公園内に、北海道の近代建築を集めた壮大な施設。1983(昭和58)年に開村し、明治以来の北海道建築史と生活を学習することが出来る。

○農村群

山本消防組番屋
 大正末期築 旧所在地:札幌市厚別区山本
 消防用具の倉庫と火の見櫓。

若狭家たたみ倉
 江戸時代末期 旧所在地:檜山郡上ノ国町

ソーケシュオマベツ駅逓所
 1907(明治40)年頃築 旧所在地:虻田郡喜茂別町
 官設の駅逓所。北海道の開拓を進めるために、国が1895(明治28)年に定めた官設駅逓所制度に伴い建てられた物で、物資輸送の中継地点、宿泊施設として各地に建てられました。しかし、鉄道輸送の発達に伴い役割を終え、1947(昭和22)年に廃止となりました。なお、この駅逓所は1934(昭和9)年に営業終了。

ソーケシュオマベツ駅逓所 厩舎
 1915(大正4)年築 旧所在地:虻田郡喜茂別町
 駅逓所に付属して建てられた厩舎。明治44年頃には8頭の官馬を保有していました。

田村家北誠館養種製造所
 1905(明治38)年築 旧所在地:樺戸郡浦臼町
 高知県出身の田村忠誠氏が養蚕のために建てたもの。田村氏は蚕種製造と販売、そして養蚕技術者の育成に努めました。

菊田家農家住宅
 1893(明治26)年築 旧所在地:江別市西野幌
 新潟県で結成された北越植民社の一員として、魚沼郡から入植した人が郷里の様式で建てた家。1899年に新潟県蒲原郡出身の菊田家が購入しました。

農商務省滝川種羊場機械庫
 1921(大正10)年築 旧所在地:滝川市東滝川
 農商務省が北欧の建築様式を取り入れて建てたもの。

農商務省滝川種羊場機械庫
 北海道の農業で使われた様々な機械を一堂に展示。

小川酪農畜舎
 大正末期頃築 旧所在地:札幌市清田区
 札幌農学校出身の小川三策氏が、アメリカから設計図を取り寄せ参考にして建てたもの。

小川酪農畜舎
 内部の様子。

樋口家農家住宅
 1897(明治30)年築 旧所在地:札幌市厚別区厚別
 富山から旧白石村厚別に移住した樋口家の住宅。

信濃神社
 1897(明治30)年築 旧所在地:札幌市厚別区厚別中央
 神社名に表れているとおり、長野県から入植してきた人々が建てた神社。諏訪大明神の御分霊を移したそうです。

河西家米倉
 1897(明治30)年頃築 旧所在地:札幌市厚別区
 米の倉庫として建設されたもの。厚別地区の稲作は、主に長野県からの移住者によって始められたとか。

山田家養蚕板倉
 1881(明治14)年築 旧所在地:札幌市西区
 屯田兵として入植した山田家が養蚕用の倉庫として建築したもの。開拓使は、屯田兵の養蚕事業を奨励していました。

納内屯田兵小屋
 1895(明治28)年築 旧所在地:深川市納内町
 屯田兵の入植に伴い建築された家。

納内屯田兵小屋
 内部の様子。

岩間家農家住宅
 1822(明治15)年築 旧所在地:伊達市
 仙台藩亘理領から移住した士族、岩間家の住宅。仙台地方の大工が建設したため、その建築様式が見られるとか。また、旧領主が視察の際に休息することも。

岩間家農家住宅
 内部の様子。

馬車鉄道 車庫

馬車鉄道
 この農村地区から入り口までを結んでいます。

 以上が北海道開拓の村で大事に保存されている建築達です。
 私が、幣研究所のムスタファ顧問、大黒屋所員と訪問した時は台湾からの観光客も多く訪れており、魅力的な観光スポットになっているようです。なにより、これだけ多くの近代建築を保存しているのは、愛知県の明治村など日本では少数であり、しかも北海道の歴史と生活の変遷を体験する場所としては非常に重要な場所です。

 付近には北海道開拓記念館があり、ここも北海道の自然や歴史を学ぶ博物館として重要です。
 ぜひ、札幌へ来た際には訪れてみてください。さて、アクセスですが
 JR千歳線 新札幌駅/札幌市営地下鉄新さっぽろ駅より、JR北海道バス「開拓の村」行きで15分
 JR函館本線 森林公園駅からJR北海道バス「開拓の村」行きで5分
 です。