日本の旅 第16回 
田園調布〜東京都大田区〜

Travels in Japan Number 16 Den-en Chofu



●はじめに
 高級住宅街として名高い田園調布。長嶋茂雄氏を始め、有名人の家も多数あります。また、特に田園調布駅の北側は駅前から道路が放射状に延び、他の地域にはない独創的な街の風景を形成しています(左上写真 東京書籍ビジュアルワイド 図説日本史より 10年ぐらい前の写真 現在、線路は地下化され、空き地になっている*禁転載)。

1.田園調布略史
  ニュータウンの原型とも言えるこの田園調布は、1918年(大正8)から、渋沢栄一と、彼が設立した田園都市会社計画的に住宅、商業施設などを配置して作り上げました。(ちなみに田園都市会社は、目黒蒲田電鉄の親会社。、なお、目黒〜は、後の東急電鉄)。 

 既に当時より過密化する東京、ぜひ郊外の優良な街にお引っ越しくださいというわけで、住み易さを追求して整備されたのです。田園、と町名につきますが、これはイギリスのE.ハワードが提唱した「田園都市」思想の名残です。意味はその名の通り。田園の中に住宅を造る。日本では、残念ながら田園と都市が結びつく事はありませんでした。

 関東大震災でも、街は被害を受けず、戦災にもあわずに今に至っています。 そして現在、有名人が山ほど住んでいる事でお馴染み。石原慎太郎、長嶋茂雄、鳩山由紀夫、曽野綾子・・・・。そうそうたるメンバーです。

2.見所
 見所はなんと言っても田園調布の見事な都市整備。もっとも、田園調布といってもかなり広く。見るべきところは、駅の西口(田園調布2丁目)。パリの凱旋門周辺の景観を縮小した「エトワール」、すなわち環状道路と放射状にのびる街の風景です。

 また、駅から少し離れていますが、桜坂という桜並木の美しい坂があり、ここはウンナンの未来日記なる番組や、福山雅治の歌に取り上げられた事から、人気スポットとなっています。(写真は、駅前ロータリー。真ん中、左、右、の3本の道路が延びる。これに何本もの環状の道路が重なるわけ)
 
3.田園調布駅
 田園調布駅は、大正12年の建築です。目黒蒲田電鉄が目黒〜丸子(現沼辺)を開業させた際に、誕生しました。当時の資料はほとんど無いそうですが、設計者は矢部金太郎氏と言われています。上高地帝国ホテルなどを手がけた人です。

 この駅舎の屋根は、「マンサード・ルーフ」という中世の欧州の民家がモデルです。

 しかし、老朽化とさらに目蒲線(現目黒線)の地下化工事のため惜しくも1990年に取り壊され、別れを惜しむ会が盛大に催されました。その後、地元の要望で長らく復元が求められており、2000年1月15日に元と同じ場所完成しました。現在、地下駅に向かうための連絡口としての役割を持っており、かろうじて駅として機能しています。

 ちなみに、線路があった場所の上には高級スーパーや、きれいな小物店や本屋の入居した建物が建っています。こちら、なかなかきれいな建物です。写真は、田園調布駅。そして、この駅を通って階段を下りると、次の写真のような駅が。元々は線路があった場所に出来た、新しい田園調布駅で、ここから地下のホームに行くことに。

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