都城島津邸〜宮崎県都城市〜
  Miyakonojyo Shimazu House in Miyakonojyo City , Miyazaki Prefecture

 日本でも有数の名家で、薩摩藩主として名高い島津家。宮崎県南部の都城市は、平安時代に「島津荘」という大荘園があった場所で、源頼朝が平家を滅ぼし、惟宗忠久(これむね ただひさ)をこの地の地頭(荘園などの管理者)に任命したことが、島津家発祥となりました。

 すなわち惟宗忠久は、これ以後に島津忠久を名乗り島津家初代となったのです。
 その後、島津家は現在の鹿児島県の出水に本拠を移しますが、室町時代に分家の北郷義久がこの地に城を造り、都之城と命名。これが都城の地名の由来であり、そして都城は北郷家、のち江戸時代に姓を島津に戻したことから、通称「都城島津家」のお膝元として栄えます。

 前置きが長くなりましたが、今回ご紹介する都城島津邸は、1879(明治12)年に都城島津家の邸宅として、一時鹿児島に移っていた島津久寛が都城に戻って建てたもの。1935(昭和10)年、陸軍大演習とこれに伴う閑院宮の宿泊に備えて、大きく改築を行いました。

 さらに1953(昭和28)〜1954(昭和29)年に2階部分の増築、1972(昭和47)年に昭和天皇の宿泊に備えて、窓に鉄格子や外に非常口として螺旋階段を設置を設置するなど、改装しました。

 そして都城市が島津家より寄贈を受け、さらに2008(平成20)年には邸宅と施設の8件が国の登録有形文化財に指定。都城市が都城島津伝承館の整備を行うと共に、一般公開を開始しています。

(撮影&解説:裏辺金好)
 ▼MAP

 ▼アクセス
 JR都城駅よりバス

 ▼関連サイト
 都城 島津と歴史 博物館


○風景


御門 【国登録有形文化財】
1935(昭和10)年築。島津家の紋の入った軒瓦が特徴です。


玄関


畳敷きの渡り廊下



昭和天皇のお食事
1973(昭和48)年、小林市での全国植樹祭に出席された昭和天皇・皇后両陛下は島津邸でご一泊。
その際の夕食を、当時の記録と料理担当者への聞き取りを元に再現しました。

昭和天皇のご休息の間

母恭子氏の部屋
島津久厚氏の母、島津恭子氏のために1953(昭和28)年に造られた部屋です。


内蔵
外蔵と共に都城島津家伝来の資料が保管されてきた場所。


風呂場

皇后陛下更衣室
ここからは2階の様子。この部屋は皇后陛下が使用された後は、島津久厚氏の書斎として使われました。

昭和天皇皇后両陛下ご寝室
この部屋はその後、使用されることはありませんでした。調度品も当時のままです。


日本庭園

土蔵 【国登録有形文化財】
1872(明治5)年築の土蔵を、1882(明治15)年に120円で購入してここに移築したもの。

土蔵 【国登録有形文化財】

 【国登録有形文化財】
1910(昭和35)年にこの地に移転したもので、島津家の先祖が祀られています。

石蔵(左)、剣道場(中) 【国登録有形文化財】

剣道場 【国登録有形文化財】
1867(慶応3)年に建てられたものを、1879(明治12)年に島津邸建築に伴い移築したもの。

石蔵 【国登録有形文化財】
1935(昭和10)年築。