交通科学博物館〜大阪府大阪市港区〜
  Modern Transportation Museum in Osaka city , Osaka Prefecture

 交通科学博物館は、1961(昭和36)年4月に開通した大阪環状線の開通記念事業として、国鉄により翌年の1962(昭和37)年に「交通科学館」という名称で開館。

 東京・神田の交通博物館の姉妹館として、交通の現代・未来の科学・技術を中心に、鉄道だけでなく自動車や航空機なども展示している。開館当初は大阪環状線弁天町駅の高架下という狭い立地だったが、2002(平成14)年に屋外展示場「プラットホーム・プラザ」を建設し、展示物の充実を図っている。また、現在の「交通科学博物館」という名称は1990(平成2)年から使われ始めた。
(撮影・解説:ロクマルサン)
 ▼MAP

 ▼アクセス
 大阪環状線弁天町駅 下車してすぐ

 ▼関連サイト
 交通科学博物館公式ホームページ

○館内の様子

館内の様子

ML−500形リニアモーターカーマグレブ
1977(昭和52)年に1両が製造された無人の実験車両。形式の500は500km/hを意味する。
1979(昭和54)年には宮崎浮上鉄道実験センターで当時の世界記録517km/hを記録した。

0系新幹線(21-1,22-1,16-1,35-1)
 0系新幹線の最初に製造されたトップナンバー車。先頭車2両(21−1・22−1)・グリーン車(16−1)・ビュッフェ車(35−1)が編成を組まれて展示されている。 大変貴重なのだが、狭い館内の隅に置いてあるため全体を見るというのはなかなか難しい。鉄道記念物に指定されている。


0系新幹線
 反対側の先頭車の様子。反転フラップ式案内表示機も展示されている。


1800形蒸気機関車 1801号
1881(明治14)年にイギリスから輸入した日本初の勾配用蒸気機関車。鉄道記念物に指定されている。
1880(明治13)年に開通した京都〜大津間の逢坂山越え用に使用された。

151系特急型電車(モックアップ)
 特急「こだま」で使用された151系のモックアップ。運転席を見学できる。特急「こだま」は1958(昭和33)年に登場した東京〜大阪を結ぶ国鉄初の電車特急で 、従来の客車特急「燕」「はと」が7時間半で結んでいたものを6時間半と劇的な時間短縮を成し遂げた。


101系通勤型電車(モックアップ)
 1957(昭和32)年に登場した国鉄初の新性能通勤型電車。オレンジやカナリアイエローといった明るいカラーを採用し、従来の茶色一色であった国鉄電車の暗いイメージを払拭させた。


EF52形電気機関車 EF52 1
 昭和初期、大正期に導入された輸入電気機関車に代わる国産電気機関車の開発が鉄道省と民間メーカーの合同で行われ、その結果誕生した日本初の国産大型電気機関車がこのEF52形である。1928(昭和3)年から7両が製造され、東海道本線で使用された。鉄道記念物に指定されている。


サンフランシスコケーブルカー
1959(昭和34)年に大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコ市より贈られた車両。


国鉄東名高速バス(三菱エアロエース B906R)
1969(昭和44)年に製造された国鉄初のハイウェイバス。高速夜行バス「ドリーム号」で使用された。

日産ダットサン16型セダン(左)・ダットサン13型ロードスター(右)
 1932(昭和7)年から製造された「ダットサン」ブランドのひとつ。16型セダンは1937(昭和12)年に、13型ロードスターは1934(昭和9)年に製造された。


ダイハツミゼットMPA
 1957(昭和32)年に登場した小口運搬用の3輪軽トラック。それまでの小口運搬は2輪車が主流だったため、荷物を多く積載できるミゼットは大ヒットとなった。写真のMPAはアメリカ輸出用のタイプ。


三菱500A11型 
 三菱500は1960(昭和35)年に登場した戦後の三菱初の乗用車。日本のモータリゼーションの先駆けとなった自動車である。写真のA11型は1961(昭和36)年に製造されたタイプで、排気量を上げ、定員を5名にするなどの改善を行った。


ヒルマンミンクスPH400
 いすゞが1953(昭和28)年からイギリスのルーツ社より部品の供給を受けて生産した自動車。1957(昭和32)年までにはすべての部品を国産化できるようになった。いすゞはこれによりトラック・バスだけでなく乗用車の生産も始めるようになった。なお、写真のヒルマンは国産車である。


スバル360DX
 1958(昭和33)年に登場した日本初の本格的軽乗用車。航空機の機体と同じモノコック方式を採用したことで軽量化に成功した。


川崎式KAL−1型小型機
 川崎航空機が1953(昭和28)年に2機製造した軽飛行機。戦後の航空機製造再開最初の小型機である。1号機は川崎航空機社内の連絡用に、2号機は離樹上自衛隊の連絡機として使用された。


エアロ・コマンダー680F型小型機
 1960(昭和35)年にアメリカのエアロ・コマンダー社が製造した高性能双発プロペラ機。プロペラが高い位置につけられているため撮影が行いやすく、新聞社の取材・航空写真・測量に使われた。写真の機体は朝日新聞社の「東風(こちかぜ)」。

○プラットホーム・プラザ

プラットホーム・プラザ
2代目京都駅1番ホーム上屋のトラス構造を利用している。鉄道の実物車両展示が中心。


230形蒸気機関車 233号
 1903(明治36)年に汽車製造がイギリス製A8系蒸気機関車を模倣して製造した量産型蒸気機関車。機関車の国産化に貢献した。233号は晩年は国鉄高砂工場の入換機として活躍していた。現存する最古の国産蒸気機関車であり、鉄道記念物と機械遺産に認定されている。


D51形蒸気機関車 D51 2
 1936(昭和11)年から実に1115両が製造された日本を代表する貨物用の蒸気機関車。初期に製造された車両は、煙突から蒸気ドームまでが一体のカバーで覆われており、通称「ナメクジ」と呼ばれている。


C62形蒸気機関車 C62 26
D52形蒸気機関車のボイラーを流用して1948(昭和23)年から製造された旅客用の蒸気機関車。


スシ28形食堂車 スシ28 301
 1933(昭和8)年にスロシ38000形として製造された食堂と2等座席の合造車。1962(昭和37)年に全車食堂車へ改造された。窓から蒸気機関車のばい煙が入らないように窓には網戸が装備されている。


マロネフ59形寝台車 マロネフ59 1
 1938(昭和13)年に当初はマイロネフ37290形として3両が製造された皇族・貴賓客専用の1・2等寝台客車。当時では珍しいブルマン式寝台を装備している。戦後、米軍に接収され駐留軍の専用車として使用され、その後はスイロネ37形に形式が変更され皇太子殿下の非公式用として使用された。マロネフ59形となったのは1955(昭和30)年のことで、1961(昭和36)年に廃車となった。


ナシ20形食堂車 ナシ20 24
 元祖ブルートレインである20系のグループのひとつで、ナシ20形は1970(昭和45)年に製造された。食堂車としての機能は現在でも発揮されており、車内がレストランとして利用されている。


キハ81形特急型気動車 キハ81 3
 1960(昭和35)年に製造された日本初の特急型気動車。ボンネットには発電装置が搭載されており、その独特の前面形状から「ブルドック」の愛称で親しまれた。東北本線の特急「はつかり」に投入された後、紀勢本線の特急「くろしお」に使用され、1978(昭和53)年に引退した。準鉄道記念物に指定されている。

80系近郊型電車 クハ86001+モハ80001
 1950(昭和25)年に登場した日本初の長距離用電車で、今日の日本の鉄道を電車王国にした立役者。オレンジと緑のツートンカラーも当時では斬新であり、最初に走行したのが東海道本線の東京〜沼津間だったことから「湘南電車」として親しまれる。80系というと2枚窓の前面デザインが一般的だが、初期に製造された車両は写真のような3枚窓のデザインであった。ここにはクハ86形とモハ80形のトップナンバー車が保存されている。

○第2展示場

第2展示場
 3両のディーゼル機関車が展示されている。弁天町駅へ直接つながっている出入り口もある。


DF50形ディーゼル機関車 DF50 18
 1957(昭和32)年から外国技術のエンジンを使用して製造された初の量産型ディーゼル機関車。エンジンで発電機を回し、その電気でモーターを回す電気式ディーゼル機関車で、高価で重量が増すが構造が簡単である。北海道以外の全国で使用され、蒸気機関車を淘汰していった。


DD13形ディーゼル機関車 DD13 638
 1958(昭和33)年から製造された初の入換用ディーゼル機関車。エンジンの回転力を液体変速機で車輪に伝える液体式を採用してる。また、動力装置を2つに分けて小型化し、信頼性を高めている。10年間で416両が製造され、入換用の蒸気機関車を置き換えていった。


DD54形ディーゼル機関車 DD54 33
 DD54形は1966(昭和41)年から製造が開始された中型ディーゼル機関車で、山陰本線・福知山線に投入された。ディーゼル機関車はすでに国産化していたが、さらに外国の技術を吸収しようと西ドイツの技術を導入している。1台の高出力エンジンと変速機で走行するという他の機関車とは違う構造を採用しているが、特殊な構造が災いして故障が頻発。早々に1978(昭和53)年までに引退した。
 なお、この33号機は1971(昭和46)年に製造されたものである。