同潤会上野下アパート 〜東京都台東区〜

○解説

 同潤会上野下アパートは昭和4年(1929)に建てられた、同潤会アパートの1つ。同潤会アパートは財団法人同潤会が手がけたもので、関東大震災で木造家屋が密集した市街地が被災した教訓と住宅不足改称のため、鉄筋コンクリート造、電気・都市ガス・水道・ダストシュート・水洗式便所の設置など、当時として最新鋭の設備・技術を駆使して完成させたものです。当時、入居希望殺到の先進文化住宅であり、我々が住んでいるマンションの先駆け的な存在。これも日本の住宅を語る上で欠かせない存在です。

 同潤会のアパートは16ヶ所ありましたが、近年、立て続けに青山や清砂通、江戸川、三ノ輪が取り壊され、いよいよ上野下アパートのみになっていました・・・が、2013(平成25)年についに解体されてしまいました。これにより、同潤会アパートは全て姿を消しました。ちなみに、青山アパートを再開発した表参道ヒルズについては、東端の1棟が安藤忠雄の設計によって復元され、「同潤館」という商業施設の一部として活用されています。当時の雰囲気をご覧になりたい方は是非。
(撮影&解説:裏辺金好)

○場所



○風景








東京メトロ稲荷町駅

おまけで最寄り駅の稲荷町駅の写真を。1927(昭和2)年築で、綺麗に塗装もされているので外からは一見わかりませんが、日本初の地下鉄・銀座線の開業時の姿をとどめています。

比留間歯科医院

おまけで上野駅と稲荷町駅の間にある洋風の医院建築を。1928(昭和3)年に建てられたもので、1998(平成10)年には「まちかど景観賞」を受賞しています。

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