日本の旅 第64回
雪の小樽と近代建築〜正月旅行’04【2】
     A trip of Japan No.64 Otaru City where snow is falling and Modern architectures
○小樽市の概要
北海道西海岸のほぼ中央に位置し、海・山・坂など変化に富んだ人口約14万7000人の港湾都市。アイヌ語でオタルナイというのが語源。1869(明治2)年、明治政府は開拓使を置き「蝦夷」を改め「北海道」と称すると同時に、この地を「小樽」と改めた。「北のウォール街」と呼ばれた道内一の銀行街など、数多くの近代建築が残り、観光名所となっている。

2.小樽の近代建築を見る
それでは、小樽にある近代建築を見ていきましょう。・・・と言っても、小樽市内は街中至る所に戦前の建物が並んでいます。殆ど撮った・・・と思いきや、全然。こんなに紹介していますが、ごく僅かです。小樽市文化財になっている物だけで65件もあるのですから・・・。 ちなみに、撮影時間順に並べていますので、日が昇るにつれ、次第に明るくなっていきます。 なお、折角撮ったものの用途・建築年代が解らないものも。一応、2件載せておきました。

安田銀行小樽支店 (日刊北海経済新聞社)
1930(昭和5)年の建築。ギリシャ建築様式の太い4本の円柱が正面と側面をそれぞれ飾っているのが特徴。だいたいこの当時の銀行ってこんな建物が多いですね。

第四十七銀行小樽支店 (北海道紙商事)
これもよくあるタイプの銀行建築。昭和2年の建築で、実は木造にタイルを貼った物。

おたる蔵寿司
大正時代に建てられた倉庫を利用したお寿司屋さん。このような倉庫が小樽市内にはたくさんあります。

塚本商事(左)
梅屋商店 (現 アリババコレクション 右)
木造2階建てで黒光りする商店。小樽というか北海道の建築の中では異質。1920(大正9)年に建てられた建物です。隣接する右の建物は石造りの建物で、塚本商事とはかつて競争関係にあったとか。現在は、アンティークの店が入っています。

不明

小樽倉庫(現 小樽市博物館)
1894(明治27)年に建築された倉庫群。銀瓦製のシャチホコが鎮座しているのが特徴。

大家倉庫
北前船の海産物問屋大家商店の大家七平が、1891(明治24)年に建てた自家用の倉庫です。正面に入口の二重アーチなど、変わった形をしていますね。

日本郵船小樽支店 【重要文化財】
1906(明治39年)10月日本郵船小樽支店として建築され、翌月には、ポーツマス条約に基づく日露の樺太国境画定会議が開かれています。とにかく立派な建物です。

日本郵船小樽支店残荷倉庫
(現小樽ナトリ)

 隣接するは日本郵船。同じ時に、同じ設計者で建築。屋根上に儲けられた塔屋が何とも可愛らしい。

小樽運河
小樽倉庫方面から東に向けて撮った写真です。

小樽運河
観光客がよく写真を撮るのはこの辺。先ほどの写真とはちょうど対称の場所で撮った物です。

通信電設浜ビル(現 共和浜ビル 左)
荒田商会(右)

通信電設は1933(昭和8年)建築の、北海道初の貸しビル。石原慎太郎・裕次郎の父親も務めていたとか。右の荒田商会は1935(昭和10年)建築。茶色い2階建ての建物がそれ。

三菱銀行小樽支店
(北海道中央バス第2ビル)

真ん中に写っている一番大きな建物。鉄筋コンクリート4階、地下1階の建物。1922(大正11)年建築。1階正面6本の半円柱がギリシャ・ローマ的。なお、建築時は煉瓦の色をしていたそうです。

第一銀行小樽支店 (現 紳装協同組合)
三菱銀行小樽支店の道路一本向かい側の建物。1924(大正13)年の建築。角が丸味を帯びたシンプルな石造り4階、地下1階のルネッサンス様式を取り入れた建物です。

旧北海道拓殖銀行小樽支店(ホテル1・2・3小樽)
1923年(大正12年)の建築。丸みを帯びたデザインが最大の特徴。近年、小樽ホテル、ペテルスブルグ美術館を経て、現在のホテルが入居。

三井銀行小樽支店(現 白い恋人ホール)
1927(昭和2年)建築。三井銀行、さくら銀行、三井住友銀行と三井系の銀行が使用してきたが、2002年に、ついに撤退。現在は、北海道土産のチョコレートで有名なメーカーが多目的ホールに使用。

日本銀行小樽支店 (現金融資料館)
通称「旧・北のウォール街」の目玉的な存在。東京駅や日本銀行本店と同じく、辰野金吾が設計。1912((明治45年)の建築。石造りに見えますが、実は煉瓦造りなのです。なお、日本銀行は2002年に撤退し、日銀初となる金融資料館をオープンさせました。

北海道銀行本店 (小樽バイン・北海道中央バス本社)
 日銀小樽支店の向いに建つ1912年の建築。石造り2階、地下1階の建築です。なお、小樽バインとは、ワインカフェの店。それにしても、ご覧のように小樽から都市銀行が無くなってしまったのは、悲しいことです。

三井物産小樽支店 (松田ビル)
1937(昭和12)年に地下1階地上5階の事務所ビルとして建てられたもの。これと行った装飾もない、アメリカ的建築。しかし、これがなかなか、どっしりと構えている。

不明

3.いざ、札幌へ
 もう十分です、と言われそうなぐらい近代建築の写真を載せてみましたが、如何でしたでしょうか。興味のない人には、どうでも良い代物で、また、修学旅行できた時に、ヨーロッパに行ったことのある友人からは「くだらない」と切り捨てられてしまいました。

 ともあれ、どれも面白い素敵な建物じゃないですか。そして、一度撮り始めるとコレクションのごとく全部撮りたくなってくるから面白いですね。興味のない方も、突然興味が出ることもありますので、記憶の片隅に「近代建築」を入れておいてください。

 さて、小樽駅へ戻ります。最初の写真に比べ、雪がだいぶ溶けてきているのがお解りでしょうか? ・・・どうでもいいですかな。

 で、8時20分頃に戻りましたので、約1時間ほど小樽市内を歩いていたことになります。まだまだ行くべきところもあるのですが、9時30分に札幌で、裏辺研究所常連の大黒屋介左右衛門さんにお会いしないといけません。

 小樽からは711系という電車の6両編成に乗ります。驚いたのは、窓ガラスが2枚になっているんです。新幹線じゃあるまいし、これは凄いですね。

 そして、小樽築港駅を過ぎたあたりか、ラッセル車を見かけました。ラッセル車は雪かきをする鉄道車両です。ディーゼル機関車の前後に特殊装置(車両?)を連結し、御仕事をするのです。

 日本国有鉄道が製造した、もう結構古い車両になったと思いますが、新型車両が出る時には、どんな車両になるのかな?と、少し楽しみにしています。もちろん、この車両も長く頑張って欲しいですが。

 そして、列車は海沿いを走ります。
 寒そうです、本当に寒そうです。
 こんな所に突然突き落とされたら、間違いなくショック死するね、と同行の後輩と笑っておりましたら、サーフィンをしている若者の集団がいるではないですか。沖縄じゃないんですよ。小樽ですよ。

 これは勇気あると言うべきなのか、バカと言うべきなのか。しかも、周りに人が降りられる場所はなく、果たしてどこから潜入したのか。とにかく、正月早々、お疲れ様です。

 さて、次はいよいよ札幌です。

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