甘楽町小幡の古い街並み〜群馬県甘楽町〜


 甘楽町の小幡地区は、鎌倉時代から戦国時代にかけて、豪族・小幡氏の根拠地として栄えた場所。1615(元和2)年に織田信長の次男、織田信雄が上州小幡2万石及び大和国宇陀郡3万石が与えられ、8代152年にわたり織田家が支配した後、松平氏が入封し明治維新を迎えました。

 そして、1959(昭和34)年に小幡町・福島町(一部富岡市に合併)・新屋村が合併し、現在の甘楽町が誕生しました。それほど古い建物が数多く残っているわけではありませんが、織田信雄らの墓が残されているなど、織田信長が亡くなって以降の織田家を語る上では、欠かせない場所です。
(撮影・解説:裏辺金好)


○地図



○風景


雄川堰
 甘楽町を南北に流れる雄川堰は、日本の名水100選にも選ばれた生活用水路。小幡地区に入ると、まずこの雄川堰と古い街並みが見えてきます。古くから人々がこれを利用したもので、桜の季節には絶景。

小幡八幡宮
 小幡藩織田家三代藩主、織田信昌が創建した神社。建物はそこそこ古そうには見えますが詳細不明。

旧・甘楽社小幡組煉瓦倉庫 (現・甘楽町歴史民俗資料館)
 1926年築のレンガ倉庫。製糸工場を運営した甘楽社小幡組の建物で、戦時下に工場が閉鎖されるまで利用。この地区の養蚕産業を代表する建築です。

小幡陣屋跡周辺
 江戸時代に小幡を統治した小幡陣屋(幕末期には小幡城と改称)は、明治維新後に建物や土地が払い下げられ、現在は何も残っていませんが武家屋敷(写真左は高橋家)とその石垣や、道路は当時のままです。

高橋家庭園
 高橋家は小幡藩勘定奉行の役宅跡で、江戸時代初期に造営。「心」という字を逆さに見た形をした心字の池など、当時のただ住まいをよく残しています。

喰い違い郭
 旧陣屋の中小路に面して造られたもの。戦争の際に防衛の役割を担ったとか、下級武士が上級武士に出会わないよう、隠れる場所だったとも言われています。


松平家大奥
 奥方と何人かの腰元が住んでいた場所で、幕末にペリーが来航した際には、幕府が江戸城大奥の女官15〜16人を親藩である小幡藩のこの屋敷に疎開させたそうです。

小幡陣屋跡周辺
 奥が楽山園へ続く通り。



楽山園 【国指定名勝】
江戸時代初期に織田家が小幡藩邸に附随して作庭した、池泉回遊式の庭園。景石(けいせき)の置かれた池をに、「中島」や「築山」を築き起伏に富ませています。「知者ハ水ヲ楽シミ、仁者ハ山ヲ楽シム」という論語の故事から楽山園と名付けられ、群馬県で唯一の大名庭園です。写真1枚目は中門。写真2枚目手前から昆明池、腰掛茶屋、梅の茶屋です。


楽山園 【国指定名勝】


楽山園庭門
小幡藩邸との間に設置された門。


小幡藩邸跡 (平面表示)


楽山園(小幡藩邸) 拾九間長屋
2007(平成19)年度復元

楽山園・小幡藩邸復元ジオラマ

小幡藩邸土塁・空堀

長岡今朝吉記念ギャラリー
楽山園に隣接。甘楽町名誉町民の長岡今朝吉氏が収蔵した美術品などが展示されています。





旧・小幡藩武家屋敷松浦氏屋敷 【群馬県指定史跡】
 18世紀末〜19世紀初頭の建築。楽山園から約300m南方にある武家屋敷で、19世紀中期頃に座敷・納戸・縁側が増築されています。なお、松浦氏は1767(明和4)年に松平家が小幡藩主となるのに伴い移住し、小幡藩中老として藩政改革に尽力した松浦元寛が、1867(慶応3)年にこの屋敷を拝領しました。
 2011(平成23)年に松浦家から甘楽町にこの屋敷が寄付され、2017(平成29)年3月に復元整備が完了。当時の景観がよみがえっています。


旧・小幡藩武家屋敷松浦氏屋敷 【群馬県指定史跡】
雄川堰から取水する小堰を利用し、さらに山々を借景にした庭園。武家屋敷の庭園として大変資料的価値が高いものです。

織田宗家七代の墓
崇福寺の旧境内に位置し、織田信雄の墓を手前にして、順番に7つの墓が(信良−信昌−信久−信就−信右(のぶすけ)−信富)。なお、5代〜7代藩主の墓は、崇福寺で1758(宝暦8)年、1871(明治4)年に発生した火災による被害で、破損したままです。


織田信雄の墓


初代藩主 織田信良の墓

第2代藩主 織田信昌の墓

第3代藩主 織田信久の墓

第4代藩主 織田信就の墓

第6代藩主 織田信富の墓

第7代藩主 織田信邦の墓


松井家住宅
江戸時代に名主を務めた松井家の屋敷。江戸時代中期の建物で、この地方の代表的な造りをしています。現在も甘楽町を歩くと、こういった雰囲気の建物が数多く改修されて使われているのが解ります。


吹上の石樋
 1865(慶応元)年、7ヶ月と250人の手間を費やして造られたもの。長さ6mの巨大1枚岩を組み合わせたもので、下を流れる川と立体交差させました。これを通って、雄川の水が、雄川堰へと流れていきます。

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