第9回 ニュートンと錬金術

担当:裏辺金好(乱心したか!ついにニュートンに手を出した!)

パラケルススの病気観

 パラケルスス以前、病気について一般的な見方は、古代ローマのスコラ学者・医者のガレノス(130頃〜200年頃)に代表される。それは・・・

 病気は「体液」がバランスをくずしたためおきるもので、瀉血(しゃけつ、すなわち治療のために、一定量血をぬく)をし、下剤をかけることで治療できる。

 という、今からは想像できないような考えがずっと受け継がれていたのだ。下剤をかけたところで便秘が治るかも知れないぐらいだろう。そんなお粗末な病気観を、パラケルススは強く批判した。

 病気は、外的要因が体の中に侵入してくることで引き起こされ、
 鉱物系治療薬を使って体の自己防衛力を高めるものだ、と主張した。
 
 すべての病気がこれで解決できるわけではないが、今につながる重要な治療法である。
 ところが一方でパラケルススはこうも考える。
 物質を構成する根元物質は塩、硫黄、水銀。これが、それぞれ古代ギリシャで言う4大元素のうち「土、空気、水」に対応し、残りの1つである火は重さが無く、非物質的なもの。しかし、実はそれだけでなく、この4大元素すべてに共通する、アルカエストという元素が存在し(彼が考案し)、これが賢者の石(金よりさらに完全なもの)、万能の医薬、至高の溶媒なのだ!と主張したのである。
 そんなわけで、当たり前のこととは思うが、ヨーロッパの近代科学は中世の頃より、少しずつ古いもの、新しいものが改革者の中にも同居しながら進んだことが容易に解る。

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