第9回 ニュートンと錬金術

担当:裏辺金好

万有引力とニュートン

 この二項定理とセットで発見したのが万有引力の法則と言われる。有名な、リンゴの木を見ていたら、リンゴが上から落ちてきて・・・と言う話である。が、この逸話は眉唾物といわれる。この頃に何らかの基本的な考えはあったらしいが、この法則が大成されたのはそれからかなり後。
 1684年にイギリスの天文学者・数学者のハリーがニュートンを訪ね意見交換を行い、これをきっかけに2年半かけて研究し、
 一、全ての物体は、それにはたらく力のベクトル、つまり大きさと方向の和がゼロであれば、物体は静止しつづけるか、等速運動をつづける(慣性の法則)。
 二,運動の変化に加えられた外力の大きさに比例し、力の加えられた直線方向に起こる。
 三、作用と反作用(物体が及ぼす力、及ぼされる力)は、大きさが等しく方向は反対になる。
   例えば、スケート場で大人が子供を突き飛ばした時、どちらも同じ大きさの力がかかるが、互いに反対方向に飛ばされる(ただし、大人の方が質量が大きいので、受ける加速度は子供より小さくなる)

 という三法則を確立。
 この三つ(特に三つ目はニュートンの完全な新作)及びゲプラーの法則をミックスさせ、地上でも天上でも、あらゆる物体は引力(重力)の影響をうけていると発表。この天上というところがミソで、つまり彼は宇宙全体にこの法則を当てはめることを実現した(天文力学)。
実は、この時にハリーの支援で発行した「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」が、面倒な批評などを嫌ったニュートンにとって最初の公的な著書であり、それまでは友人に書簡で送っていただけであった。これが、微分積分の発見に於いて面倒なことになるが、こちらは後述する。
 ちなみにそんなわけで、後にケインズがニュートンの著述類を買い取った時、未発表の錬金術関係にあまりに驚いたわけである。

 しかし、ニュートンや、ピザの斜塔で重い物体も軽い物体も同じ速さで落ちるという実験をしたという逸話のあるガリレオ以前。他の科学者達は、アリストテレス以来の考え方で「大砲の弾が地上に落ちるのは、それが本来地上にあるべき物だからだ」「太陽や水星などは、地球の周りを円をかいて公転するが、これはそれが本来あるべき姿だからだ」などと言っていたわけで、これは革命的な考え方なのである(もちろん、ニュートンが大成したと言うべきだが)。

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