第六話 暗夜行路

 第五話からの続きです。
 簡単にあらすじをのべておくと、原付に乗って初めてでかけて、そろそろ暗くなるので帰ろうかという話。

 最近の原付・・・原付に限らずオートバイもそうなのだが、常時、ライトがついているものが多い。友人の原付は免許を取ってから買ったというものなので、まだ、半年くらいしかたっていないので、常時点灯の原付だ。


 一方、私の原付は先にも述べたように、放置してあったものをサルベージしたものなので、だいぶ古く、常時ライトが点灯しているタイプではなかった。暗くなってきたので、ライトをつけて帰ろうと思ったのだが・・・。ライトがつかない・・・。


 グリップの根元にあるライトの絵がついているスイッチを切り替えても、ライトがつかないのだ。


「しまった・・・。」


どうやら、サルベージしたのはいいものの、ライトのほうまで手をまわしていなかったか・・・。友人にもみてもらったが、やはりつかない。


警察に見つかるとマズイので裏道で帰る事にした。だが、裏道は街頭がすくないため余計に暗い。そこで、友人に後ろについてもらいハイビーム(通常のライトの光の位置よりも高い位置に光を放つ。広範囲を照らせるが対向車がもろに光をうけるので、普段は使わない。普段のライトはロービーム)で、前方を照らしてもらうことにした。それでも、原付のライトの光量など、たかが知れているので、暗くておっかなかったのだが・・・。二人の速度を調整しながら夜道を進む。


なんとか、地元に帰ってくることに成功。ここまでこれば大丈夫だ、ということで、速度をあげて突っ走る。すると、友人がもっと速度をあげて接近してきて止まれと合図を送ってきた。


「ここは一方通行だよ」


なんたる不覚!! 結局、Uターンして戻ることになった。その際確認したのだが、一方通行の標識がでていた。自転車や徒歩では一切関係ない一方通行。だが、原付は従わなければならない・・・。やっぱり原付は性にあわないような・・・と一種の言い訳じみた感想をもった。


 家に帰ってきて父に、原付のライトがつかないことを言った。すると父はそんなことはないだろうといって、原付のエンジンをかけて、スイッチをいれた。


・ ・・するとライトは白い光を放った・・・。


「・・・アレ?」


どうやら、スイッチを間違えていたいたらしい。自分が操作していたのはロービーム・ハイビームの切り替えスイッチだったのだ。常時点灯の原付に乗っていた友人も、やはりこちらを操作していたのだ・・・。


「そんなことしてたら免許とられちまうぞ」


あまりに無残な失態を犯した私は父のその言葉に何もいい返すことはできなかった・・・。


棒