第二十話 情熱は時と共に去りぬ

 大学三年生の夏休み・・・。終わってしまいました・・・。
 ひたすらバイトに勤しみ、中国に旅行などにもいってきました・・・。

 二輪の免許・・・結局とりませんでした・・・。
 そして後期の授業がはじまる・・・。


 私は大学の単位を今まで、きっちりとってきたので、必修授業と二、三科目とれば卒業に必要な単位は獲得できたのだが、せっかく金を払っているのだから、前期で受けた授業の続きの授業はとろうと思ったので、結構、学校にいく必要があった。三年生の後半ということで、就職活動の講義(?)もくまれていた。バイトも週五のペースででていた。暇がないというわけではないが、結構束縛されているように感じた。夏休みの時点ではたいして考えていなかったが、どうやら三年生の後期というのは就職活動にむけて自己アピールを考えたり企業研究をしなくてはならないらしい。実際、一月になれば企業をまわることになるという・・・。ますます余裕がない・・・ように思えた。


 一緒にバイクの免許をとろうと思っていた友人も大学が開講したので遠くへいってしまった。私に免許とりにいこうという者はもはやここにはいない。私は日々の忙しさにかまけて・・・、ある意味、日々の忙しさを言い訳にしてバイクの免許は企業から内定でたらにしようと思い始めてもいた。だいたいこれから寒くなっていくばかりだし、免許をとる資金はあってもバイクを買う資金まではないし・・・。


 今思うと大分図々しい話だが、多分、三月には内定がでるだろうと思っていた。そこで就職活動はおわり、あとは四年次の卒業論文のみ。四月から卒業論文にとりくんでいけばいいから三月に免許はとりにいけばいい、例え三月に免許をとりにいけなくとも、四年生になればゼミの授業以外学校にいく必要はないので、いくら卒業論文があるとはいえ時間的余裕は今より遥かにあるからその時に免許をとりにいくというのも手だ。バイクを買う資金もある程度たまっているだろうし。


 最悪、卒論が終わって、就職するまでの四年生の二月から三月にでもとりゃいいやとさえ思っていた。まさに先延ばしである。


 そればかりか、夏休みのころは毎日のように乗っていた原付に乗る機会も減ってしまった。学校から帰ってバイトにいくのだが、学校から帰ってきて家によらずに直接バイトに向かう日がふえ、原付に乗る機会も減ってきた。午前中に授業が終わって帰宅したり、学校が休みの日に乗るくらいになってしまい、しかも、バイトにいくときくらいにしか乗らなくなってしまった。


 こうして、私が二輪免許をとろうという志は、なんとなく抱いている今後やりたいことに再び成り下がってしまった。しかし、ある日、意外な男からの意外な電話によって私の運命は大きくかわることになったのである・・・


棒