空の色を決めるもの−何故、空は青いのか?

●はじめに
 前回は、「気象とは何か?」というテーマについて、気象現象が太陽エネルギーを原因とする大気の運動であることを解説しました。今回も、前回に引き続き、気象現象に大きな役割を担っている太陽を取り上げたいと思います。

●太陽と様々な電磁波
 さて、太陽等の物体は、その物体自体の温度に応じて
エネルギー放出をしていますが、それは電磁波という形で行われます。電磁波の名称とはその波長(ある波から次の波までの間隔)により名称も異なります。

 太陽が放出している電磁波の範囲(実際は「領域」という)は、可視光線という人間の目に見える電磁波(要は光)が大部分を占めますが、その他に紫外線(ウルトラ・バイオレット=UV)や赤外線等も含まれます。

 ところで、私たちが暮らす地球の大気の組成は、
1.窒素や酸素、アルゴン、炭酸ガス等の気体
2.水蒸気
3.目に見えない塵などの浮遊物
 で構成されています。
 この地球大気の組成は、他の太陽系の惑星の大気組成(水素や炭酸ガスが主成分)と比べるとかなり特異的なものです。これらの地球大気に含まれる気体や浮遊物は、地球の表面温度の維持から降水等の気象現象に至るまで重要な役割を果たしています。

●空を青くする要因は何?
 ではタイトルにも書きましたが、ここから地球大気の役割の1つとして「空の色を決めるもの−何故、空は青いのか?」というテーマで話を進めたいと思います。

 普段、私たちは何気なく空を見上げたとき、次のようなに感じたことがありませんか。
  ・今日は特に空が青く見える
  ・晴れているのに空が白っぽく見える
  ・夕焼けが赤くてきれい(だから明日も晴れる)(天気俚諺「俚諺=ことわざ」)

 地球に暮らす私たちにとって、日々の天気や気温等の変化については、私たちの健康や農林水産業、商品販売等の経済活動にも直接的な影響を及ぼすために高い関心があります。ここでは、天気変化の舞台である空自体にスポットを当てましょう。

 空の色を決めるもの−それは、先に説明した空気中に含まれる気体分子や浮遊物および太陽光線が通過する大気の厚さ(=距離)が密接に関係します。太陽エネルギーが電磁波として地球大気の上端まで達すると、大気中の気体分子や浮遊物に衝突して様々な方向へ跳ね返されます

 このような現象を総じて「散乱」(さんらん)と呼びますが、太陽光線の波長と衝突する物体の直径の関係により、
 1.レイリー散乱
 2.ミー散乱
 3.幾何光学的散乱
 の3種類に分類されます。

●レイリー散乱
 まずレイリー散乱(レーリー散乱)とは、
 太陽光線の波長が、衝突する物体の直径よりはるかに大きい場合に起こる散乱
 のことで、発見者であるレイリー卿ジョン・ウィリアム・ストラット(1842年〜1919年/イギリスの物理学者)の名前に因んで名付けたものです。

 太陽光線とは、波長により紫外線、可視光線、赤外線という領域があることを先に説明しましたが、レイリー散乱の場合は、波長が短ければ短いほど散乱の強度が強くなる特徴があります。

 この性質によれば、太陽光線では
 紫外線→可視光線→赤外線
 の順に散乱強度が強くなることになりますが、太陽光線が地球大気層を通過する過程において、まず紫外線は大気上層で散乱してします。
(図では紫で表わしましたが、可視光線の色じゃないですよ)

 次に可視光線で波長の短い領域である青色が散乱されます。そこで、普段、私たちが目にしている空の色となるのです。

 では何故、夕方の空は茜色(あかねいろ)に見えるのでしょうか。それは、日中と夕方の太陽光線の入射角度と地球大気層に関係します。太陽の1日の動きの中で、最も入射高度が高くなる南中時に比べると、朝や夕方にはより低い角度から太陽光線が入射することとなります。

 太陽光線が角度を持たずに(低い角度から)入射することは、それだけ通過する地球大気層が厚くなることとなります。前述のレイリー散乱の特徴により、今度は可視光線の青色部分が上空で散乱してしまうため、(青色の領域に比べると)波長の長い赤色が散乱されて見える空の色が夕焼け空となるのです。

 
 もうちょっと補足しましょう。可視光線というのは、種類が概ね7種類に分かれています。すなわち
 青紫、紫、青緑、緑、黄緑、黄、黄赤(橙)、赤
 です。

 しかし、通常この光は交じり合っており、我々は白に近い色に見えています。ただ、プリズムなどを使って分離すると、この7種類が混じったものであることが解ります。ちなみに、波長ごとに色が順に移り変わることを、スペクトルといいます。そして、図面の左側ほど波長が短い、つまりは散乱されやすい太陽光線なのです。さあ、それは何故か。

 そこで波長というのが関わってくる。
 海の波のように、実は太陽光線も電波の波があります。これが波長。1つの波の頭から次の波の頭までの距離を意味しています。ですから、当然、波長が長いということは波と波との間隔が長いし、波長が短いというのはその逆になるわけです。簡単に言えば、波長が長い波は殆ど波が無いのに近いし、波長が短いものは揺れまくっている、つまり振幅が大きいわけです。

 その上で、図面左側(青)のほうが波長が短く、図面右側(赤)のほうが波長が長い、ということを念頭において下さいな。さあ、そうしますと波長が波を打っていれば打つほどに大気中の物資に衝突しやすいわけですね。

 と、いうわけは!
 基本的に波長の短い青い太陽光線が、大気中の物質に衝突しやすく、よく散乱されることになります。これが夕暮れ時には、青色は既に大気上層で散乱して行き、さらに赤色でさえ散乱することになるわけで、夕焼けになるのです。

●ミー散乱
 一方、晴れている日にもかかわらず空が白っぽく霞んでいることがあります。それは、太陽光線が大気中の水蒸気や塵等によって散乱された状態で、これをミー散乱といいます。このミー散乱と前述のレイリー散乱の違いとは何でしょうか。

 それは、レイリー散乱では、太陽光線の波長が衝突する物体の粒子の半径より大きいため、太陽光線のうち波長の短いものほど強く散乱される特徴があったのに対し、ミー散乱では太陽光線の波長と衝突する物体の半径がほぼ同じとなり、また太陽光線の波長による散乱強度の差がないことです。このため、太陽光線が同じように散乱され、重なり合うために空の色が白っぽくなります。

 最後に、台風一過の朝、前日の強風により、空の塵が吹き飛ばされたため、澄み切った青空が眩しいのは、レイリー散乱が起こっていることにほかなりません。

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