○ローマ:コロッセオ

 世界遺産、イタリアの首都ローマのコロッセオ。
 古代ローマ帝国の皇帝、ウェスパシアヌス帝(9〜79年)が建てさせたもので、西暦80年に完成。正式名称は「フラウィウス朝の円形闘技場」といいますが、付近にネロ帝(37〜68年)の巨像(コロスス)があったことに由来して、コロッセオと呼ばれるようになり、英語で競技場を意味するコロシアムの語源ともなりました。建物の規模は、周囲が527m、高さ48.5m。

 「パンとサーカス」という言葉に象徴される、共和制末期から帝政時代の皇帝や元老院議員たちによる、ローマ市民への人気取り、すなわち娯楽提供の場を代表する建築で、完成を目前に亡くなったウェスパシアヌス帝に代わって即位した、息子のティトゥス帝は連続して100日間も、命をかけた闘技会を開催し、ローマ市民たちを大いに喜ばせました。その中で、2000人の剣闘士と5000頭の猛獣たちが命を落としたと伝えられています。

 その一方で命の取り合いだけでなく、アリーナに水を張って動物を放ち神話の世界を再現したり、海戦の様子を再現したりと、趣向を凝らした多彩なイベントも行われています。コロッセオは様々なイベントに対応した、ローマ技術の粋を結集した施設でもありました。
 コロッセオ内部とアリーナの現状。地下部分が露出しています。かつては動物の檻(おり)などもあり、昇降機を使って動物や、舞台セットなどを地上へ運んだそうです。
 こちらは比較的、もともとの雰囲気を残している部分。
 ちなみに、コロッセオはネロ帝の黄金宮殿(ドムス・アウレア)の庭園にあった人工池の跡地に建てられたもので、建築の目的にはネロの建築遺産を残さないという意味合いもあります。

 *写真は株式会社デネットが販売する「写真素材 世界遺産2世界編 ヨーロッパ」を使用しています。