(24)ヴェッキオ橋とピッティ宮周辺


 続いて向かったのは、アルノ川に架かるヴェッキオ橋。先ほどのヴェッキオ宮殿同様、「古い」を意味するヴェッキオを橋の名前に冠しているだけあって、その歴史は非常に古く、記録上は996年にはこの橋が登場しています。その後、2度の洪水で流出を経験していますが、それでも現在の橋は1345年に建築されたという古さ。
 第2次世界大戦でも、流石のドイツ軍もこの橋だけは破壊しなかったため、幸いにも現存しています。

 こちらは対岸で反対側から。この橋がユニークなのは、橋の上に店舗が建ち、これとは別に回廊が橋の上を通っていること。この回廊は、ヴァザーリの回廊と呼ばれるもので、1565年、コジモ1世はヴァザーリに命じて造らせたもの(完成は翌年)。これによって、メディチ家の人々が橋の南側にあるピッティ宮と、橋の北側にあるヴェッキオ宮を、群集にもまれることなく行き来出来るようにしたのです。

 一部をズームで見てみましょう。橋で商売している店は、一部が橋の外にせり出して、橋から斜めに延びる細い柱で、建物を支えているという、少々危ない(?)構造。地震が多い日本だと、一発アウトのような。

 ちなみにヴァザーリの回廊完成後、橋で商売していた生鮮食料品店は退去させられました。アルノ川に廃棄された生ゴミが臭かったそうで・・・。

 さて、そうした視点で先ほどの写真の反対側に行って見ますと、ヴァザーリの回廊が逆L字型に建設され、右手のヴェッキオ宮側に行けるような構造になっていることが、よく解ります。

 さらにヴェッキオ宮・ウフィツィ美術館側に戻ってみると、よく見れば上部に回廊が続いていますね。

 それでは、橋の上を歩いてみましょう。普通の土地のように店が並んでいますが、これが橋の上だというのですから、驚きです。

 観光客が非常に多い!

 また、コジモ1世によって生鮮食料品店が退去させられた後は、装身具や金銀細工など宝飾品の店が軒を並べるようになり、今でもその伝統が続いています。

 宝飾品が美しいですね。・・・お土産に買って帰るような、手ごろな価格ではありません・・・。

 左側の店は閉店しているようですね。写真右上がヴァザーリの回廊です。

 さて、橋の南側に出てきました。真っ直ぐ南に行けば、ピッティ宮ですが、ここで少しだけ西南にずれます。

 こちらはNHKのテレビ番組「世界びっくり旅行社」(2012年9月20日放送分)で、女優の釈由美子さんがしばらく借りて住む、という企画で使われた建物。なんと14世紀に建てられた歴史あるアパートで、何が面白いかといえば、2階部分の形状ですね。ここだけ突き出した形のテラスになっています。

 こちらはサント・スピリト教会。1444年からブルネッレスキが設計で建築が開始されたもので、時代と共に色々と手が加えられ、鐘楼はバッチョ・ディ・アンニョロの設計で1568〜71年にかけて造られています。シンプルな外観とは裏腹に、内部は荘重な雰囲気とのことですが・・・本日はお休み。流石にそろそろ、少しぐらい内部の見学をと思っていただけに、残念。
 ミケランジェロによる木製の「十字架像」などが飾られているそうです。

 こちらはサンタ・フェリチタ教会。

 さて、橋の真南へ戻ってきました。

 そこにある巨大な建物が、ピッティ宮。メディチ家の宮殿の1つですが、元々は1457年、フィレンツェの銀行家ルカ・ピッティが、コジモ・デ・メディチの宮殿に対抗して、自らの力を示すべく建築を始めたもので、設計は先ほども登場したブルネッレスキ。

 そういえば、コジモ・デ・メディチはメディチ・リッカルディ宮の設計に当たって、ブルネッレスキの設計案を「立派過ぎる」として拒否していますので、対比してみると面白い話です。そして、ピッティの死去により宮殿は未完のままに終わりますが、1550年ごろに何とメディチ家のコジモ1世が買収して、工事を再開させました。

 以後、メディチ家(トスカーナ大公)の住居はこのピッティ宮となり、1743年にメディチ家が世継ぎが無く断絶すると、トスカーナ大公の地位と、ピッティ宮はロートリンゲン家のフランチェスコ2世(ハプスブルク家のマリア・テレジアと結婚し、神聖ローマ皇帝フランツ1世としても即位)が継承しました。その後も増改築が繰り返され、現在の姿になったのは19世紀末のことです。

 現在はピッティ美術館として公開され、メディチ家を中心とした歴代の主が収集した数々の美術品を展示。ラファエロの「小椅子の聖母」、ルーベンスの「4人の哲学者」などの絵画を展示するパラティーナ美術館をはじめ、近代美術館、銀器博物館、衣装博物館、陶磁器博物館、馬車博物館があり、さらに裏手には総面積4万5000m2の大庭園「ボーボリ庭園」があります。

 膨大な規模を持つ、フィレンツェ随一の施設ですが、今日は休み。それは私にとって良かったのか、悪かったのか。


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