1.幻の首都、水原の華城

 このコーナーでは孟保世所員が2003年に旅行をした韓国の歴史遺産や風景を御紹介します。
 その1ページ目は、ソウル!・・・ではなくて、いきなりソウルから南へ約30km、京畿道水原市にある世界遺産、水原(スウォン)の華城(ファソン)。朝鮮王朝(1392〜1910年 通称・李氏朝鮮)第22代国王である正祖(位1776〜1800年)が建設させました。

 この水原の華城が建設されるずっと前、正祖の親父さんである荘宗は、可愛そうにその父親である21代国王英宗に無実の罪を着せられ米びつの中に投獄! わずか28歳にしてなくなるという悲劇に見舞われました。この時、正祖は10歳だったのですが、いつか父親の供養を盛大にしたいと考えていました、

 そこで、正祖は即位すると1789年に親父の墓を、ここ水原に移し、さらに首都移転を計画して巨大な城塞の建設を開始します。親父の眠る地に城を築くことで名誉を回復させ、さらに城を建築することは王権が強大であることも示せます。

 そして1796年、2年10ヶ月の歳月をかけて完成し、正祖は移住。予定通り首都として遷都しようとしますが、群臣達は猛反対し、ほどなくして正祖も死去。結局、城塞は出来たが首都にならないということで、その後は荒廃していきます。

 挙げ句の果てに1950年の朝鮮戦争でボロボロとなり、門の一つである蒼龍門は焼失する始末。しかし。1970〜75年の復興作業で復元され、昔日の威容を取り戻します。首都として計画されただけのことあって、非常に重厚かつ広大、立派な城塞です。

 煉瓦や石をふんだんに使用し、銃弾や弓、槍の攻撃に強固。また、建物の中には彩色されて美しいのもあり〜。さらに、現在残る41の建物のうち、同じ形の物は一つと無いときた!ちなみに、建設当初は48の建物があったそうです。

 さて、写真一番上は八達門という、城の南の門です。ソウルにも類似の物として南大門があり、テレビに時々登場しますが、八達門の方が大きく、高さは20mです。

華西門。城の北西部の防御をする門です。
半円形にせり出した塀が特徴的で、これを甕城(おうじょう)といい、門の守りを堅固にしたたそうです。