5.台南その3:日本時代の近代建築巡り

 最近の日本では、戦前に建てられた近代建築がようやく評価され始めていますが、実は台湾でも戦前、つまり日本時代の近代建築が観光の目玉として修復整備されています。

 それはこの台南も例外ではなく、前々回でも少し近代建築が登場しましたが、特に孔子廟周辺に壮大な近代建築たちが建ち並んでいます。というわけで、台南の近代建築たちを見ながら台南駅へ戻り、いよいよ台北へ向かうことにしましょう。

 まず上写真は土地銀行台南分行。もと日本勧業銀行台南支店で、1937(昭和12)年築。交差点に面し、威厳のあるデザインになっています。

○大天后宮と祀典武廟など


旧林百貨店
 1932(昭和7)年築。戦前の台湾で最大だった百貨店で、戦後は国民党が接収。さらに今は台南市が管理していますが、廃墟のような状態。しかし、しっかり近代建築として宣伝していますので、これから修復されると期待しています。
 なお、上で紹介した旧日本勧業銀行台南支店の向かい側に建っているもので、このあたりはかつての繁華街でした。

台南山林事務所
 建築年不詳。孔子廟の裏に建つ近代建築です。
旧台南武徳殿(現、忠義国小礼堂)
 1936年築。孔子廟の西隣にある和風の建物で、我々が訪問したときには修復中j。かつて台南神社があった場所にも近いようです。
旧台南地方法院
 1912年築。博物館化に伴う修復中につき、覆いが設置されているため、ちょっと迫力と壮大さが解りづらいですが、台南を代表する近代建築。裁判所として長年活躍をしていました。
旧嘉南大組合事務所(現、嘉南農田水利会)
 1940年築のシンプルな建物。戦前、台湾南部の農業を一新した組織の事務所が今も後継の組織の事務所として使用。当時の技師であった八田與一は特に名高く、烏山頭ダムの建設などに大いに尽力し、水事情が悪かった台湾南部の環境を改善し、農業を大きく発展。未だに台湾南部では敬愛されているそうです。
台南警察局
 1931年築。戦前、台南市警察として建てられたもので、つまり今でも警察の建物として現役ということです。
旧台南州庁(現、国家台湾文学館)
 1916年築。戦後は空軍司令部、台南市政府として使われたもので、現在は国家台湾文学館として、台湾文学の収集と研究を行っています。
旧台南州庁(現、国家台湾文学館)
 側面から見た雰囲気。
旧台南合同庁舎(現、台南市消防局)
 1938年築。未だに現役の消防署で、戦前は警察関連の組織との合同庁舎でした。
台南測候所
 1898年築。典型的な測候所建築ですが、今では台湾でもここにしか残っていないとか。気象博物館として整備されているようです。

○いざ、台北へ

 一通り近代建築群を堪能したあと、ビル街を通って台南駅へ戻ります。
台南駅への道
 バスとかタクシーとか選択肢はあるんですけど、ついつい歩いてしまうんですよね。外は暑いには暑いですけど、11月ですので、まあ耐えられます。
台南駅への道
 

台南駅
 というわけで戻ってきました、台南駅。事前に預けていた荷物を受け取り、列車に乗り込むことに。

自強号
 特急列車に当たる自強号。電気機関車が客車を牽引するスタイルです。え〜、実は切符を無くすという大失態を犯した所長。ムスタファさんの説明と機転で何とか事なきを得ましたが、中国語が出来ない私は何も出来ませんでした。有難うムスタファさん、そして親切に対応してくださった車掌様。
車窓
車窓
 台湾の鉄道は急速に近代化が進むようですが、こうした懐かしい雰囲気の客車たちは、今後どうなるのでしょうか。
車窓
車窓
車窓
 途中、扇形機関庫を子兼ね備えている彰化駅を通過。日本時代のもので、きちんと保存されているとか。
台北駅
 台北駅に到着。ホームは地下にあり、首都の中心駅ではありますが、ホームは2本、線路は4本。これに隣接して台湾新幹線(台湾高鉄)のホームが加わります。それでも、そもそも路線が少ないだけに、東京駅などと比べるとホームの数が少ないですね・・・。
自強号
 自強号は、まだこの後先に向けて出発します。