クラス153「スーパー・スプリンター」 

British Rail Class 153 'Super Sprinter'


アライヴァ・トレインズ・ウェールズ(ATW)のクラス153。
(撮影:カーディフ・クイーン・ストリート駅、Cardiff Queen Street Station)

●基本データ

デビュー年 1991年
最高速度 120km/h
製造会社 クラス155製造:ブリティッシュ・レイランド社(British Leyland))
クラス153への改造:ハンズレット・バークレイ社(Hunslet-Barclay)
運行会社 アライヴァ・トレインズ・ウェールズ(Arriva Trains Wales, ATW
グレート・ウェスタン鉄道(Great Western Railway, GWR)
イースト・ミッドランズ・トレインズ(East Midlands Trains, EMT
ロンドン・ミッドランド(London Midland, LM)
アベリオ・グレーター・アングリア(Abellio Greater Anglia, AGA
ノーザン・レイル(Northern Rail, NT
運行区間 こちらを参照
編成詳細

クラス153 70両

(クラス155 2連x35本を改造)


●クラス155を単両に改造した俊足気動車

 イギリス国鉄が導入した「スプリンター・ファミリー」の一員で、クラス155からの改造車。スプリンターはベースになったクラス155の他にもクラス150、158と159が存在し、老朽化した第一世代気動車を置き換えた第二世代気動車である。

誕生経緯と国鉄時代
 上記の通りクラス153は元々2連だったクラス155を単両運行できるように改造した車両である。英国鉄は1980年代の終わりに支線で運用されている旧世代のクラス121と122を置き換える政策を打ち出した。当初は二軸車であるペイサーで置き換える予定だったが、線形が悪く急勾配がある支線に不向きだったのでクラス155が流用される事になった。35編成に工事を行い運転台を付け加えるなどして70両の単両のクラス153が出来上がった。新しい運転台はドアの位置を修正せずに新設したため、とても狭く運転手や車掌には不評らしい。クラス153にはBSI式の連結器が備わっているため、他のスプリンターの気動車のみならず、より新しいクラス170とも併結して運用できる。

 英国鉄の民営化後はそれぞれの地域の運行会社にクラス153は受け渡され、未だに全国中で運用されている。

現在の運用(地方別)
ウェールズ
アライヴァ・トレインズ・ウェールズ(ATW)には8両所属していて、主にシュルーズベリー〜スワンジー(ハート・オブ・ウェールズ線)やクルー〜シュルーズベリーなどのローカル線で運用されている。

イングランド中部
 ロンドン・ミッドランド(LM)が8両保有していて、主にコベントリー〜ナニートンとベドフォード〜ブレッチリー(マーストン・ヴェール線)で使用されている。かつてはスタウアーブリッジ(Stourbridge)支線でも運用されていたが、より軽量で小回りの利くクラス139に置き換えられた。
 イースト・ミッドランズ・トレインズ(EMT)は17両保有しており、ノッティンガム周辺などのローカル線に投入されている。

イングランド南西
グレート・ウェスタン鉄道(GWR)が14両保有していて、コーンウォール州、デヴォン州とブリストル周辺のローカル線に投入されている。2007年からは改装工事が行われ、カーペットやトイレなどを更新したり、座席を新調したりと大幅に内装がリニューアルされた。

イングランド北部
ノーザン・レイル(NT)には18両所属しており、リーズ、ドンカスターやシェフィールド周辺のローカル線で使用されている。元々はファースト・ノース・ウェスタンとアライヴァ・トレインズ・ノーザンから転属してきた寄せ集めだったが、2007年からは塗装が一新されNTのものとなっている。

イングランド東部
AGAは5両保有しており、ノリッジを起点とするローカル路線で運用されている。ノリッジ〜シェリンガム、グレート・ヤーマス、ロウェストフトなどがそれに該当し、イプスウィッチ〜イーリー間でも使用される事がある。

(解説・撮影:秩父路号、2015年9月更新)

●ギャラリー


AGA所属のクラス153。
(撮影:グレート・ヤーマス駅、Great Yarmouth Station)


GWRの前身であるファースト・グレート・ウェスタン社のクラス153。
(撮影:ペンザンス駅、Penzance Station)


旧ファースト・グレート・ウェスタンのクラス153の車内。2+2配置のクロスシートとなっている。

LM所属のクラス153。ラッシュ時はクラス170と併結して運用される。
(撮影:ドロイトィッチ・スパ駅, Droitwich Spa Station)

EMT所属のクラス153。こちらは同社のクラス156や158との併結運用がある(写真ではクラス156と併結)。
(撮影:グランサム駅、Grantham Station)


旧one社塗装のAGAのクラス153。
(撮影:ブランダル駅、Brundall Station)


クラス158/0を後方に併結して走るノーザン・レイル(NT)のクラス153。他のスプリンター系列との運用は頻繁に行われる。
(撮影:サルテア駅、Saltaire Station)


NT所属のクラス153の車内。長距離路線を担当するためテーブル付の席が比較的多い。


NT所属のクラス153。塗装は旧アライヴァ・トレインズ・ノーザンのものだが現在は全編成がNT標準塗装に更新されている。NTではクラス143や144などのペイサーとの運用が多い(写真はクラス144と併結)。
(撮影:カーライル駅、Carlisle Station)


NT所属のクラス153のリニューアル前の車内。

旧アリーヴァ・トレインズ・ノーザン社(Arriva Trains Northern)のクラス153。ハート・オブ・ウェールズ線の特別ラッピングが施されている。
(撮影:チェスター駅、Chester Station)

左の車両の車内。2+2列配置。





クラス155(右編成)と併結するNTのクラス153(左)。
(撮影:ネアーズバラ駅付近、Knaresborough Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Wikipedia: British Rail Class 153
North Wales Coast Railway: Class 153

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