クラス180「アデラント」 

British Rail Class 180 'Adelante'


グランド・セントラル(GC)のクラス180。オレンジ色のラインが特徴的。

●基本データ

デビュー年 2002年
製造会社 アルストム(Alstom)
最高速度 200km/h
運行会社 グレート・ウェスタン鉄道(Great Western Railway, GWR)
グランド・セントラル(Grand Central, GC
ハル・トレインズ(Hull Trains, HT
運行区間 グレート・ウェスタン本線(FGW)(平日のみ)
●ロンドン・パディントン(London Paddington)〜オクスフォード(Oxford)〜ウスター・フォアゲート・ストリート(Worcester Foregate Street)〜グレート・モーバン(Great Malvern)
●ロンドン・パディントン〜ニューベリー(Newbury)

東海岸本線(GC)
●ロンドン・キングズ・クロス(London King's Cross)〜サンダーランド(Sunderland)
●ロンドン・キングズ・クロス〜ブラッドフォード・インターチェンジ(Bradford Interchange)

東海岸本線(HT)
●ロンドン・キングズ・クロス〜ハル()Hull
編成詳細

クラス180 5連x14本


●流れる流線型の高速ディーゼル車

 アルストム製の動力分散式の高速気動車で、アデランテ(Adelante)という愛称がつけられている。クラス175と同じく、アルストムが製造しているコラディア1000(Coradia 1000)シリーズの列車の一員。ロンドンと非電化地方幹線に位置する主要都市の間の速達列車を様々な会社の元で運行している。

トラブルが多発した期待の高速気動車
 クラス180の導入背景として1990年代後半にイングランド西部の路線を運行するファースト・グレート・ウェスタン(FGW)がロンドンと南ウェールズへの速達列車を30分ヘッドに増やす計画が挙がった事から始まる。当時同社は列車を増発するための車両を持ち合わせておらず、クラス180を5連x14本アルストムから発注し、既存のHSTを補完する形で2000年中に運用を開始する予定だった。2000年4月に最初の編成が落成したものの、頻発するトラブルで本線の試験走行開始が2000年12月までずれ込んだ。予定では2001年5月のダイヤ改正で運用に入る予定だったが結局同年12月の改正で営業運転を開始。

 FGWではロンドンとブリストルやカーディフへの速達列車で運用されていたが信頼性は低く、後にロンドン〜オックスフォードやウスター間などの快速通勤列車に充当された。しかし相次ぐ車両不良による低い信頼性にFGWは痺れを切らす。5連というキャパシティの少なさも相まって2009年には全てイースト・ミッドランズ・トレインズから転属してきたHSTに置き換えられる。

車両性能を発揮する二度目のチャンス
 FGWから余剰となった編成のうち4本は同じファースト・グループの傘下にあるファースト・ハル・トレインズ(HT)へ、5本はグランド・セントラル(GC)へ転属。現在はロンドンとイングランド北東の都市を結ぶ速達列車に使用されている。残り2本は保管され、最後の3本は2008年からノーザン・レイルがリースしマンチェスターからプレストンとブラックプールへの快速列車に充当した。

 2011年にはロンドン・ミッドランドからノーザン・レイルにクラス150が転属、余剰となった3本と保管されていた2本は、再び車両不足に悩むFGWで運用される事になった。これら5本は2012年5月から平日に限りロンドンとオックスフォード、コッツウォルズ地方への列車に運用されている。2015年9月にFGWの社名がグレート・ウェスタン鉄道(GWR)に更新されたが運用は変わらず。

クラス180の仕様
 高速で走る列車としては珍しく液体変速機を使用していて、液体発電ブレーキも備わっている。ディーゼルエンジンはカミンズ製(Cummins)のものを搭載しており、これはクラス185クラス220221と同類のものである。全車両が動力車となっていて、各車両の台車の片方にエンジンが搭載。連結器はシャルフェンベルク式自動連結器を採用しており、非常時の際にはクラス175と併結できる設計となっている。

(解説・撮影:秩父路号、2016年3月更新)

●カラーバリエーション


同じくGCのクラス180。ロンドンとサンダーランド、そしてブラッドフォード間の特急列車を担当する。
(撮影:ハンティントン駅、Huntington Station)


GCのクラス180の普通車のドアは銀色だが一等車のは金色。
(撮影:ロンドン・キングズ・クロス駅、London Kings Cross Station)


GC編成の普通車。2+2列配置でテーブルには退屈しないようにボードゲームがプリントしてあり、売店から必要な小道具を購入することができる。


HTのクラス180。4編成が同社に在籍し、ロンドンとハルを結ぶ。
(撮影:ウェラム・グリーン駅、Welham Green Station)


GWRのクラス180。信頼性の低さで一度は置き換えられたが車両不足を補うため再導入された。
(撮影:ロンドン・パディントン駅、London Paddington Station)


GWR所属編成の一等車。革張りの座席で2+1列配置。


GWRの普通車。2+2列配置となっている。

クラス180の導入当初の旧FGW塗装。
(撮影:オックスフォード駅、Oxford Station)


FGWの一等車。


FGWの普通車。

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Martin Loader's Railway Photography: Class 180
Angel Trains: Class 180

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