クラス360 

British Rail Class 360 'Desiro'


空港アクセス列車のヒースロー・コネクトを担当するクラス360/2。
(撮影:ウェスト・イーリング駅、West Ealing Station)

●基本データ

デビュー年 2003年
最高速度 160km/h
製造会社 シーメンス
運行会社 ヒースロー・コネクト(Heathrow Connect、HC
ヒースロー・エクスプレス(Heathrow Express、HX
アベリオ・グレーター・アングリア(Abellio Greater Anglia、AGA
運行区間 ヒースロー・コネクト(HC)
●ロンドン・パディントン(London Paddington)〜ヒースロー第4ターミナル(Heathrow Terminal 5)

ヒースロー・エクスプレス(ターミナル間シャトル)(HX)
●ヒースロー中央(Heathrow Central)〜ヒースロー第4ターミナル(Heathrow Terminal 4)

グレート・イースタン本線(AGA)
ロンドン・リヴァプール・ストリート(London Liverpool Street)〜イプスウィッチ(Ipswich)
ロンドン・リヴァプール・ストリート〜コルチェスター・タウン(Colchester Town)
ロンドン・リヴァプール・ストリート〜 クラクトン・オン・シー(Clacton-on-Sea)
ロンドン・リヴァプール・ストリート〜 ウォルトン・オン・ザ・ネイズ(Walton-on-the-Naze)
ロンドン・リヴァプール・ストリート〜 ハーウィッチ・タウン(Harwich Town)
編成詳細

クラス360/1 4連x21本
クラス360/2 5連x5本


●グレート・イースタン本線のフラッグシップ近郊電車

 シーメンス製の近郊型電車で、交流型のクラス350や直流型の450を含む英国用デジーロ(Desiro UK)シリーズの一員。イギリスでは派生型が二つあり、2002から2003年の間に製造されたクラス350/1と2004から2005年に造られた350/2が存在する。

交流・非貫通のデジロの登場
 クラス360/1は当初ロンドンとアングリア地方やエセックス州等、イギリス東部への列車を運行していたファースト・グレート・イースタン(First Great Eastern)が導入。4連x21本が導入され、旧型多扉式電車のクラス312を全面的に置き換えた。元々はクラス350と同様に車両前面に貫通扉が設置される予定だったが、それによる視界不良がワンマン運転時に危険と判断されたため前面は非貫通となっている。2004年にナショナル・エクスプレス・イースト・アングリ(National Express East Anglia)アに引き渡され、再び2012年に現運行会社であるアベリオ・グレーター・アングリア(AGA)に転属した。現在でもロンドンからイギリス東部への近郊列車に使用されている。ラッシュ時には連結し、8連や12連で走る。

 クラス360/2は2005年にHCが5連x5本を導入。ロンドンとヒースロー国際空港間の空港アクセス列車「ヒースロー・コネクト」として運用されており、クラス332が使用されるヒースロー・エクスプレスとは異なり各駅停車として走っている。2010年には360205編成がヒースロー・エクスプレスに転属し、ヒースロー・第4ターミナル駅〜ヒースロー中央駅間のシャトル列車として運行されている。350/1との主な相違点は5連である事と、荷物置き場が設けてられてある事だ。ヒースロー・コネクトは地元の通勤輸送も担っており、空港を目指す乗客以外にも頻繁に利用されている。

 クラス360が空港アクセス列車として活躍しているのはロンドンだけでなく、タイのバンコクでも同じ用途で使用されている。スワンナプーム・エアポート・エクスプレス(空港への速達列車)用に4連x4本、そしてシティ・ライン(各駅停車)用に3連x5本が製造され、2008年より運行している。HCのクラス350/2とほぼ同じだが、タイの気候に合わせるため空調設備が強化されている。

(解説・撮影:秩父路号、2016年4月更新)

●ギャラリー


クラス360/2の車内、3+2列配置の固定式クロスシート。


車イス対応トイレの様子。



HXがヒースロー空港のターミナル間のシャトル列車として運用している360205編成。クラス332HX塗装を模している。ヒースロー・コネクト運用に入るのも珍しくない。
(撮影:ハンウェル駅、Hanwell Station)


360205編成の車内。HCが保有しているクラス360/2と内装が異なる。


AGAが近郊快速列車として運用しているクラス360/1。
(撮影:マナー・パーク駅、Manor Park Station)


旧ナショナル・エクスプレス・イースト・アングリアが運行していた頃のクラス350/1。塗装に違いはなく白帯のロゴマークだけが異なる。
(撮影:フォレスト・ゲート駅、Forest Gate Station)


旧ファースト・グレート・イースタン塗装のクラス360/1。
(撮影:プディング・ミル・レーン駅、Pudding Mill Lane Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Siemens: Class 360 - National Express East Anglia
Wikipedia: British Rail Class 360

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