シタディス302型


アルストム社のシタディス302ニース仕様。街の中心に位置するマセナ広場を横断するところを撮影。ちなみにフランスのトラムは道路と同じように右側通行。
(撮影:秩父路号)

●蓄電池走行も可能なニース市の先進的LRT

 ニースに初めてトラムが走りだしたのは1900年からで、それ以降どんどん路線網を拡大していき、1920年代には11路線もある大規模なネットワークに発達していった。しかし車の利便性が向上し、バスのほうがルート設定の融通が利くことからトラムは徐々に衰退。1953年には全て廃止になってしまった。

 20世紀後半になりニースの人口が増えると同時に交通の需要も増え、街中での交通渋滞が問題視されてくるようになった。そこで1998年にトラムを再び建設する企画が持ち上がる。交通渋滞を解消するのに有効な手段とみなされ、2003年に軌道の建設が開始。2007年11月にようやく完成し、運行開始した。

 当初はトラムの運行間隔は7分だったが、2011年現在4分にまで縮められた。乗客も2008年には平均一日7万人を運んでいたが、2011年には一日9万人とかなり増えている。実際私がトラムに乗ったときは常に混雑していて、何度も乗車したにも関わらず一度も座れる事はなかった。

 トラムの運行はニース市営交通局がリーニュ・ダズール(Lignes d'azur)という名前で行っている。運賃は一回の乗車につき1ユーロ(2011年7月現在で約110円)とお手ごろな値段。

 現在ニースではトラムはT1系統しかないが、新らたに「T2系統」を開通させる企画がある。開通予定は2015年で、ニース港から海岸線を沿ってニース空港を結ぶ予定だ。更には近くのヴァー川を越える「T3系統」建設の計画もある。

 ニースで使用されている車両はアルストム社のシタディス302(Citadis 302)。車両はニース専用の特別なデザインが施されていて、ニースの建築に合うような形・色合いとなっている。普段はトラムは5連で走っているが、中間車を増結する事も可能だ。軌道は標準軌で、750V DCの架線で電化されている。

 ただしマセナ広場とガリバルディ広場は景観に配慮して架線が張っていないので、トラムに登載されているニッケル・水素充電池で駆動する。さすが美の国フランス、色々と街の景観に対する配慮が行き届いている
(解説:秩父路号)

〇ギャラリー


ガルバルディ広場に差し掛かるトラム。この部分ではパンタグラフを折畳み、電池で駆動する。泊まっていたアパートより撮影。


オペラ・ヴィエイ・ヴィール(Opera- Vieille Ville、旧市街の意)の電停。ほぼ道路とホームが同化している。

ニースの商店街の大通り(ジョン・メデサン街、Avenue Jean-Medecin)。
中央はトラム専用になっていて車はほとんど行き来できないようになっている。

こちらはマセナ広場。架線がなくとてもすっきりした感じ。

マセナ広場を反対方向に撮った写真。トラムがカーブを大きく曲がって北上していく。

軌道には芝生が植えてある箇所がある。

ジョン・メデサン街にあるニース・ノートルダム教会の前を通過するトラム。

トラムのラッピング車その1(マセナ広場にて)

トラムのラッピング車その2(ガリバルディ広場付近にて)

トラムのラッピング車その3(ル・レー電停にて)  

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