FS 二階建て客車(Due Piani)


ナポリ中央駅に停車中の二階建客車。イタリア南部ではまだ都市圏で活躍している。(撮影:秩父路号)

●基本データ

デビュー年:1980年(運行開始は1981年)
保有会社:FS(トレニタリア)
最高牽引速度:140km/h

●解説

 この客車の正式名称は「Carrozza Due Piani」であり、直訳すると二階建客車となる。以下「二階建客車」と表記する。
 イタリアでは1970年代後半に都市圏での通学・通勤客による鉄道の需要が増加したため、既存の車両では輸送力不足となっていた。これに対応するためにカサラルタ社(現フィレーマ社)が製造したのがこの二階建客車である。合計で450両製造され、そのうち78両は制御車。客車はステンレス鋼をベースに木やプラスチックを使用する事によって重量を抑え当時現役だった旧型の一階建客車よりも軽量だった。

 イタリア製の客車では初めて空気バネが採用され、ドアの幅も従来の客車の1400mmから1800mmに広げられ、混雑時でも乗客の昇降に支障がないように設計された。おかげでイタリア都市圏の鉄道の輸送力増強に大きく貢献した。
 導入当時は都市圏の近郊・通勤型列車として運用されていて、イタリア南部では現在も同じ用途で使用されている。北部ではヴィヴァルト客車に置き換えられ、主に地方幹線などで使用されている。2000年代初頭には座席を部分的に一等席に改造した客車が現れたが、地方線での一等席の利用率が低いのと客車そのものが長距離運用に適さない事から改造工事は打ち切られた。改造済みの車両は現存し、他の二階建客車と共に運用されている。
(解説:秩父路号)

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