カメラについて語ってみる(8) スキャナーについて語ってみる

1.はじめに
 今年は、ひどい冷夏になるといわれてきましたが、予報を覆すような暑さに、少し参っている七ノ瀬です。
 みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 8月に、地元山口に帰りました。普段京都では自炊生活をしているので、実家に帰り、夕食になるとご飯ができていたり、洗濯物がたたんであったりするととても嬉しく思われます。親しい友人たちも帰省しており、地元に帰るのもなかなかいいもんだなあと感じています。

 そんな中、唯一といっていい問題点は・・・ダイヤルアップなのです。インターネットができない。周南市(旧徳山市・・・合併により改称)内なのに、ADSLが引けない。ケーブルもだめ。ふだんADSL常接の生活をしている者にとって、かなり厳しい環境です。とは言っても、一日に一回ほどメールボックスを確認するくらいでいいやと割り切ってしまえば、何てことないのですが(笑)。


2.スキャナーについて語ってみる

写真:所長のスキャナーEPSON GT−8200UF

 今回は、「スキャナーについて」です。「スキャナーのこと、語ってください」というリクエストメールをいただきました。ありがとうございます。その前に、まず最初に訂正を。前回までの文章中で、私は「中版カメラ」と表記していましたが、「中判カメラ」の誤りです。申し訳ありません。ご指摘くださった方、本当にありがとうございました。

 さて、最近になって、またもやデジカメの新製品ラッシュです。NikonからD2H、CANONからEOS KISS DIGITAL、オリンパスからE-1、PENTAXから*ist Dなど、一眼レフ型デジタルカメラだけでもこの夏を中心に発表、発売になっています。コンパクトタイプのデジタルカメラも、どんどん新製品が発表されているので目が離せません。 また、それと同時に、フィルムにも新製品が登場しています。コダック、フジフィルム、コニカの三社から、新型のフィルムが発売されています。
 
 デジカメが銀塩カメラ(フィルムカメラ)を販売台数では追い越しましたが、まだまだフィルムカメラが無くなる事はないでしょう。しかし、これだけ新製品が出てくると、デジタルカメラも欲しくなってしまいます。ですが、安くなったとはいえ、実売価格がもっとも安価な一眼レフ型デジカメでも20万円程度。おいそれと買うことのできる値段ではありません。

 ましてや、20万円程度ということは、CANONやNikonのフラグシップ機とほぼ同額。20万円のデジカメの、純粋なカメラとしての性能を考えると、これらのメーカーの中級機種と同等の性能。もし、現時点で20万円出してカメラを買ったとして、フラグシップ機なら、大切に使って10年それ以上もつと断言できますが、はたしてデジタルカメラでそれが言えるかどうか。もう一度冷静に考えてみても良いのではないでしょうか。

 しかし、デジカメを使うことによってできる、フォトレタッチはとても魅力的です。暗室で苦労した作業がいとも簡単に、正確にできるのですから。しかも、カラーもお手の物。個人でプリントできるのは、大体モノクロだけですからね。カラーは温度管理などが本当に大変で、なかなか個人でできるものではありません。

 で、このフィルムとデジタルの橋渡しをしてくれるのがスキャナーなのです。
 デジカメが普及する前に、DTPではスキャナーによって写真原稿を取り込み、プリントアウトするという手法が用いられていました。

 では、スキャナーについてみていきましょう。


3.スキャナーの種類

 スキャナーには大きく分けて、2種類あります。一つは一般的に、プリントなどをパソコンに取り込むためのスキャナー、もう一つはフィルムを専門に読み込むスキャナーです。前者をフラットベットスキャナー、後者をフィルムスキャナーと呼びます。

 フラットベットスキャナーは、基本的に原稿を読み込むためのものですが、最近はフィルムス(透過原稿)を読み込むことのできる製品また、それを売り物にしている物も多く出おり、注目を集めています。

 

 デジカメの一番の楽しみといえば、フォトレタッチです。それに、撮影後、すぐに画像のチェックができることでしょう。

 しかし、撮影後すぐに画像のチェックができますが、厳密な意味での詳細なチェックは、デジカメ背面の液晶モニターとヒストグラムだけでは不可能です。結局パソコンにつなぐなどして、画像の確認をしなければなりません。しかし、ここで大きな問題になってくるのがパソコンのモニターです。最近ではPC用の液晶モニターも値下がりしているので、多くの人がブラウン管から液晶に換えたはずです。確かに、ブラウン管モニターの重量、スペースを考えると、液晶モニターになることはとてもありがたいことです。

 しかし、液晶モニターとブラウン管モニターでは、色再現性が異なることはご存知でしょうか。無論、液晶でもブラウン管でも、きちんと調節されていなければ話になりませんが、液晶モニターはコントラストが高めに設定されていることが多く、厳密な意味での画像のチェックは、まだブラウン管モニターに軍配があがります。スキャナーであろうと、デジカメであろうと、PCによるフォトレタッチが必要になってきますから、もう一度自分のPCを見直さなければならないのではないでしょうか。

 話が横道にそれてしまいましたが、デジカメの基本的な構造を考えてみると、撮影後のデータを保存する場合に、
 @JPEGで保存(データはこの時点でデジカメ内で完成)
 ATIFFで保存(データはデジカメ内で完成、無圧縮)
 BRAWで保存(撮像素子の吐き出した電気信号そのものを保存。データは未完成、PCでの現像処理が必要)
 の3つがあります。

 このなかで、コンパクトデジカメには@のみ、もしくは@とAの二つしか搭載されていないものがほとんどです。コンパクトタイプデジカメでも、ハイスペックな物には、@〜Bもしくは@とBが搭載された物もあります。また、一眼レフタイプデジカメは@〜Bまたは@とBの保存形式があります。

 通常、RAWはPCで現像処理をしなければなりません。この段階で、ホワイトバランスや露出などを操作してJPEGなどの画像ファイルに変換します。

 結局、JPEGやTIFFで撮影しても、RAWで保存しても、フォトレタッチの時点ではJPEGなど、完成されたファイルを扱うことになります。そのため、手を加えれば加えるほど、画質が劣化してしまいます。ということは、PCに画像ファイルを取り込むという意味においては、デジカメもスキャナーも、大差ないということになります。
 
 さらに、デジタルカメラも数年前に比べると格段に高画質になってきてはいますが、35mmフィルムのクオリティーを超える機種は少なく、しかも、そのようなデジカメはきわめて高価な存在であることは言うまでもありません。


5.スキャナーの紹介

 これまでだらだらと、スキャナーとデジカメの相違点等を書いてきましたが、今回の目的は、スキャナーについてです。それでは、タイプ別にスキャナーを見ていくことにしましょう。

 まず、フラットベットスキャナーについてです。
 さきほども申しましたとおり、本来はプリントなどの原稿を読み込む物だったのですが、最近は透過原稿を直接読み込む機能を持った製品が人気を集めています。実際に、私も現在このタイプのスキャナーを使っています。私のスキャナーでは、光学解像度が2400dpiですが、現在はフラットベットタイプでも3200dpiなどの高密度で読み込むことのできる製品もあります。また、メーカーによってはゴミ取り機能、退色復元機能などを搭載している物もあります。さらに、フィルムスキャナーと同様に、スリーブでの連続読込み(=6コマ連続読み込み)ができるものまで出てきました。

 私の場合、必要な写真はプリントしてカタログを作っていますので、必要な場合は、フィルムから直接読み込む場合と、プリントを読み込む場合があります。そのため、フィルムスキャナよりも、フラットベットの方が便利なのです。

 しかし、35mmのフィルムから最高解像度で読み込んでも、家庭用プリンターで印刷して使えるのはB5サイズどまりです。それよりも大きなサイズが必要な場合は、カタログ用にプリントした写真原稿をスキャンするか、あっさりと外注しています。

 次にフィルムスキャナーですが、フラットベットに比べると、多少専門色が強くなります。もともとフィルムのみの読み込みを目的としていますので、フラットベットに比べると、はるかに高解像度でフィルムを読み込むことができます。手元にある資料を見ても、光学解像度5400dpiという製品もあります。5400dpiをデジタルカメラ風に画素数換算すると、約4000万画素になります。CCDなどの撮影素子は1ピクセルで一色の色情報しか読み込むことができませんが、スキャナーの場合はそれぞれにRGB情報があるため、仮に4000万画素のデジタルカメラと比べた場合でも、明らかに色解像度も高くなります。

 これだけの解像度があれば、A3ノビはもちろん、A1までのプリントでも十分実用になります。
 問題点といえば、これだけの高解像度のファイルですから容量が大きくなるということでしょう。しかし、デジカメでもいえることなので、今回は問題にしないことにします。
 フラットベットとフィルムスキャナーを見てきましたが、原稿もフィルムもという人は、フラットベットが、フィルムだけをより高画質にと思われる人はフィルムスキャナーという選択になると思います。

 最後に付け加えです。フラットベットの方が一般的であるため、価格もこなれています。各メーカー最高スペックの物でも、5万円程度。それに比べてフィルムスキャナーの方は安価な製品で10万円近くします。ものによっては、中級クラスのレンズ交換式一眼レフ型デジタルカメラよりもはるかに高価な物もあります。最後の判断は皆さんにお任せしますが、参考としては、いまだに発展途中のデジカメに安易に手を出すよりも、フォトレタッチが本当に必要ならば、フィルムスキャナーを選んだほうが良いのではないでしょうか。

 私のお勧めのフィルムスキャナーは、MINOLTAの『DiMAGEスキャンエリート5400』です。フィルムスキャナーとしては実販で10万円以下ですが、光学解像度5400dpiの性能を持ち、十分満足できるものだと思います。以上、私の気持ちでした。


6.おわりに

 さて、今回は久しぶりの原稿ということもあり、なんともだらだらと書いてしまいました。「スキャナーについて」とリクエストしていただきましたが、このようなとりとめのない文章になってしまいました。もう少し、私がデジタル分野に精通していれば良いのですが、私のメインはまだまだフィルムなので、これが限界です。私よりも、もっと詳しい方がいらっしゃるのでしょうが、今回はこれで終わります。

 さて、これから残暑がとても厳しくなるそうです。皆さんも、お体に気をつけられてください。また、間違いなどございましたら、ご指摘ください。リクエストもお待ちしております。私のできるかぎりでお答えして行こうと思います。
アドレス yuhki7@soviet.biz


*さて、別件です。以前Nikonのカメラをオークションで買われた方から、使い方を聞かれたことがありましたが、そのときの回答が当方では不十分だったと思い、少し調べてみましたところ、双葉社から出ている 『ニコンマニュアル大全2』という本が参考になると思います。また、東京近郊の方であれば、新宿中古カメラ市場というお店で、取扱説明書を一回50円でコピーできます。住所は〒160-0023新宿区西新宿1-13-2松原ビル2F п@03−3348−0118 です。

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