第11回 日本人と肉食の歴史
担当:裏辺金好
小泉改革が玉虫色化する中、皆様はいかがお過ごしでしょうか。今回は日本人と肉食について見ていくとしよう。
肉食といえば「文明開化」。しかし、縄文時代の日本は狩猟採集の生活でイノシシやシカを食べていた。また、弥生時代に農耕民族になってからも肉食をやめることはなく、それは奈良時代までは当たり前のことなのだった。
問題はこの後。一体どげな理屈からか、仏教が「生きているものを殺しちゃあいかん」と提唱。植物だって生きていると思うが肉食する奴はとんでもない奴というレッテルが貼られ、肉食はすたれていきました。ただし、キジをはじめ鳥肉はその後もずっと食べれた。いやあ、仏教っていい加減だなあ。おっと、オフレコ!(・・・・になってねえよ)。なお、ニワトリは食べられなかった。ただ羽の色と鳴き声を楽しむだけのものだったそうだ。食用になったのは明治以降。
さて、戦国時代。このころ実をいうと焼き肉が登場。何故かというと、足軽(兵士)の人々が非常食として農家から牛をかっぱらってきて、味噌(普段携帯している)で味付けして鉄板で焼くことを考案したからである。緊急のなせる料理ではあるが、いやあ、おいしかったでしょうねえ。また、宣教師が牛や馬の肉を食べていたことで、九州を中心に肉食が普及。しかし、どうもそれが豊臣秀吉に嫌がられたようで「バテレン(宣教師)追放令」と共に禁止となった。
第一、牛や馬は農家にとって重要な働き手だった。肉食によって失っては駄目だったのである。ついでに言うなら秀吉は農家の出身。そこの事情を考慮したのかも。ただし、飢饉の時はそんなことも言っておられず、食べたようだ。
さて、時代は1853年。
アメリカから
ペリーが日本にやってきた。彼は食料を求め「鶏200羽と牛60頭をよこすように」と言ったらしい。ところが幕府の役人は「なぜ?船の中で耕作はできないですよ」とお答え。この答えにさぞかしペリーはビックリしただろう。そして彼は答えた「食べるのですよ」「えっ?」
ここで「なるほど西洋人は肉を食べるものなのか」と、納得したのが最後の将軍となる
徳川慶喜。特に豚肉がお気に入りになったようで、人々からは「豚一様」と馬鹿にされてしまった。だが、明治維新で人々は文明開化の言葉に酔い、肉食に飛びつく。政府もこれを強力に後押しした(後述)。特にヒットしたのが「
牛鍋」。別コーナー・日本の旅第1回で取り上げた愛知県犬山市の
明治村に行けば、この「牛鍋」を再現したものを食べることができる。ただし、福沢諭吉が描かれた紙1枚は吹っ飛ぶ値段なので所長は遠慮して食べなかった。
何はともあれ1869年に東京の市場としてお馴染みの築地に政府が牛馬会社を設立。1872年には明治天皇も食べた。そしてこれをうけてかどうだか、仮名垣魯文が著した「安愚楽鍋(あぐらなべ)」の中では「牛肉食わねば開化不進奴(ひらけぬやつ)」と書かれておるほど牛鍋は庶民の間に普及した。なお、この牛鍋というのは今の関東風のスキヤキであり、そもそも関西には牛鍋はなく、代わりにこれに似た料理をスキヤキと言って牛肉を食べた。で、大正時代にスキヤキという呼称に統一されたのである。
では、このスキヤキという呼称はどこから来たか。諸説あるが、有力なのは江戸時代に食べられた、タカやカモシカや鴨などの肉を使い古した鉄板の上で焼く鋤焼き(すきやき)に由来するという説。前述に戦国時代の焼き肉としたが、まあこれがその名残なのだろう。なお、他の説としては肉や魚を薄く切ったものを「すき身」ということからきたという説がある。
と、なんだか歴史研究所でやればいい感じになってきたが、おいしい肉料理の観点からすると、このスキヤキというのは、あまり牛肉本来の旨みを引き出さないものらしい。肉汁をなるべくださないことで、肉のおいしさを保った料理を作るのがセオリーなのに、スキヤキは肉汁垂れ流しだ、とのこと。まあ、そういわれればそうですね。でも、おいしいからいいじゃないの!!
ところで話は変わるが、
ビフテキの名前はどこから来ているか知っていますか?
ここで「ビーフステーキ」の略と言った人は甘い。これは、ビフテックというフランス語から来ているのです。さらに言いますと、ステーキとは、ステイクという北欧の言葉だそうです。余計なことですが、北欧と言えば鯨のステーキ。まあ、その話はよし。
そうそう、
焼き鳥の話もせねば。焼き鳥は大正時代の終わり、大正12年の関東大震災の後から始まりました。
初めは高級料理だったそうで・・・。今から考えると信じられなーい。
と、いうわけで長くなりましたが今回は終わります。いやあ、本来ならば5〜6行くらいの雑学を大量に提示しなければならないのですが、徹底研究がモットーのわが研究所はどうしてもこうなってしまいます。しかし、これが世の中に多くで回る雑学に関する本との違いじゃ。恐れ入ったか。ハッハー(←崩壊)。