担当:裏辺金好
| ○長らく禁令だった「ふぐ」ですが |
山口県出身の水澄所員が、正月に帰省した土産として、「料亭の味を再現 ふぐ炊き込みご飯の元」みたいなのを筆者に持って来ました。中には当然、商品の解説が入っているわけですが、それによると、「ふぐ」を一般の食卓に普及させたのは、なんと山口県出身の政治家、伊藤博文なのだとか。てなわけで、ちょっと調べてみました。
そもそも、日本で「ふぐ」を食べること自体は文化としてありました。
縄文時代の人々だって食べていたようです。
しか〜し、ご存じの通り、調理法を誤ると毒で死者が出ることもあります。なにしろ、その毒はテトロドトキシンと呼ばれる物質で,0.5mgから1rで人を死に至らしめるのです。これ、青酸カリの約1000倍の毒素で、加熱調理等でも無くなりません。うわあ、危険〜。
そのため「”ふぐ”の毒で部下達に死なれては困る」として、特に室町時代以降、時の為政者達は度々、「河豚食禁止令」を出します。それでも、食べようとする人々は多くいたもので、特に豊臣秀吉が朝鮮に戦争を仕掛けに行った際、下関で兵士達が「ふぐ」を食べて中毒死するのには困ったとか。一方、江戸時代の俳人として名高い小林一茶は
「河豚食わぬ奴には見せな不二の山」
として、ふぐを食べない奴には富士山を見せるな、とまで言い切っています。
このように、明治初期まで「”ふぐ”を食うな!」と禁令が出ながら、密かに食していた人はいたわけですが・・・。
| ○伊藤博文と「ふぐ」の運命的な出会い |
| ○では、ふぐ調理師試験とは? |
戦後になると、都道府県ごとに「ふぐ調理師免許」の試験が実施されており、これを取得すれば、その都道府県内で「ふぐ」を調理し、販売出来ます。
ただし、試験の内容や難易度は、都道府県によって色々です。
そのため原則として滋賀県で免許を取った場合は、滋賀県でしか免許は通用しません。ただし、例えば東京都の場合は、埼玉県、神奈川県、鹿児島県、滋賀県のいずれかの「ふぐ」の取扱いに係る試験に合格し、都道府県知事の免許を得ており、なおかつ東京都のふぐ取扱者資格受入講習に参加し、そして調理師の免許を持っていれば、東京都でも「ふぐ調理師」の免許が与えられます。
| ○ふく と てっちり |
最後に、「ふぐ」の別名について。
山口県で「ふぐ」を食べようとすると、「ふく」と表記されていることにお気づきでしょうか。
これは、「ふく」=福、「ふぐ」=不倶を連想させることに由来していますが、日本最初の漢和辞書である「倭名類聚抄」や、1603年に刊行された「日葡辞書」(日本語とポルトガル語の辞書)では、「ふく」とされていることから、「ふく」の方が古い名前だ!という説もあります。
*参考:ふぐ専門店 やぶれかぶれ http://820.jp/shinbun.php
一方、「てっちり」という名前も聞いたことがある人もいるでしょう。
これは、「ふぐ」の毒が鉄砲のようだ・・・「ふぐの刺身(鍋)」→「鉄砲の刺身」or「鉄砲のちり鍋」→「てっちり」なのだとか。
最後に、「ふぐ」を漢字で書くと「河豚」になりますが、これは何で?
実は、中国で「ふぐ」は河によく棲息していた。そして、あの膨れた顔や鳴き声が豚のようだ・・・てなわけで、河豚。
そのまんまです。
というわけで、今回は「ふぐ」のお話でした。