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 これが日本の政治システムだ!

担当:裏辺金好
○はじめに

 ニュースで色々な政治用語が出てきますが、よく解らない事って多いですよね。特に外国の政治になるとさっぱりなことが多い。何故かといいますと、もちろんその政治用語の意味が解らないということではありますが、そもそも大前提となる政治システム、つまり内閣の仕組みだとか国会の仕組みだとかが解らないので、いくら単語単位で一時的に覚えたとしても直ぐに忘れてしまうんですね。そこで、ここでは世界各国の政治システムについて御紹介しようとも思います。

 第1回目は、比較対象となる国が必要なので、もちろん日本。
 中学の公民や、高校の政治経済の復習みたいにはなりますが、その他にも色々追加しているので是非見てください。ちなみに引き続き大韓民国、さらに中華人民共和国を見ていきます。なお、日本の仕組みはだいたい知っているという人は、つまらなくなる前にさっさと飛ばしてください。


1.まずは図で御紹介


2.基本

 日本は日本国憲法によって、国家権力を国会、内閣、裁判所がそれぞれの権限を持ち牽制し抑制し合う権力分立の仕組みをとっています。大日本帝国憲法でも権力分立仕組みはとられていましたが、あくまで天皇を補佐する機関としての仕組みでした。現在は主権は天皇ではなく国民にあり、国民の権利と自由を守るための統治機構になっています。


3.天皇

 図には出ていませんが、日本には天皇が存在します。戦前には憲法上は主権を持ち、大権が与えられていましたが、戦後の日本国憲法では「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存ずる日本国民の総意に基づく」と規定され、主権を持っている日本国民の意思によって、わが国の象徴的地位に就いていることが規定されました。また、皇室に関する規定は「皇室典範」に定められているのですが、これも戦前と異なり、現在では国民が選んだ議員で構成する国会の議決で定める法律となっています。ちなみに皇室典範では、例えば「皇位は世襲である」などが定められています。

 それから、天皇は国政には関与できませんが、憲法で定められた国事行為を行います。国事行為とは、いわば形式的な行為であり、内閣の助言と承認を必要とし、何か問題があった場合には内閣が責任をとります。ちなみに、以下の行為が国事行為として定められています。

 1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること(公布=広く国民に知らせること)
 2.国会を召集すること  

 3.衆議院を解散すること
 4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 5.国務大臣及び法律で定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
 6.大赦、特赦、減刑、刑の執行免除及び復権を認証すること。
 7.栄典を授与すること。
 8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を承認すること
 9,外国の大使及び公使を接受すること
 10.儀式を行うこと

4.内閣

 内閣は行政を行います。行政とは何かということについては色々な考え方がありますが、まあ、だいたい皆さんが漠然とするイメージが行政でしょうか。というか、法律を作るのが立法、裁判をするのが司法ですから、それ以外が行政であると考えて良いと私は思います。

 日本は議院内閣制と言いまして、内閣は国会に大きく依存しています。
 まず、首相は国会議員の中から、国会で選ばれます。さらに、国務大臣(つまり外務大臣とか厚生労働大臣とか)の過半数は、国会議員でないといけません。この国務大臣ですが、14人を原則として3人まで増員が可能と定められています。そして各中央省庁のトップとして各々が事務を分担しています。ちなみに今の首相は、内閣を主催するリーダーですが、戦前の内閣における首相は、あくまで同格中の主席程度で、権限も小さいものでした。

 それから、衆議院で内閣不信任案が可決されると、内閣は総辞職するか10日以内に衆議院を解散しなければいけません。他、色々ありますが法律を紹介するコーナーではないのでこの程度で省略。

5.議会

 日本は衆議院と参議院の二院制を採用しています。
 二つの議院は色々と異なりまして、図で表すとこんな感じです。

  衆議院 参議院
任期 4年 解散あり 6年 解散無し
選挙権 満20歳以上の日本国民 満20歳以上の日本国民
被選挙権
(立候補)
満25歳以上の日本国民 満30歳以上の日本国民
選挙方法
定員
小選挙区比例代表制 480名
内訳
小選挙区 300人
比例代表区 180名
242名(3年ごとに半数改選)
内訳
大選挙区 146人(73人)
比例代表区 96人(48人)
優越 予算先議権
議決に関する優越など
これらを衆議院の優越と言います
なし
ただし、重要案件や、予算の審議中に衆議院が解散された場合、参議院の緊急集会で成立されることが出来る(その後、衆議院の賛成が必要)。

*予算先議権とは、予算を最初に審議する権利
*(衆議院の)優越は、つまり衆議院で可決された法律が、参議院で否決された場合、2つの議会で両院評議会を開いても一致しなければ(必ずしないといけないわけではありません)、衆議院で再び出席議員の3分の2以上で可決され場合、それが認められること。

 また、憲法改正は、各議院の総議員3分の2以上の賛成で国会がこれを発議し、国民投票で過半数の賛成があると改正できます。

5.裁判所

 書いている方が、だんだん面白くなくなってきたのですが、他の国と比較した時に面白くなるのでもう少し我慢してください。
 基本的には最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所&家庭裁判所があります。

 最高裁判所の長官は内閣が指名して、天皇が任命します。 その他の裁判官については、内閣が任命します。
 このうち最高裁判所について見ていきますと、ここの裁判官は「識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者」の中から15人が選任されます。このうち、最低10人は高等裁判所長官又は判事の職に10年以上在職した者か、判事・検察官・弁護士・大学の法律の教授に20年以上在職した者でないといけません。

 逆に考えると、5人までは識見が高い人なら、法律系の人でなくても良いわけで、また、その辺の地方裁判所の裁判官が最高裁判所裁判官にまで上り詰めることは、殆どの場合はないでしょう。また、高裁以下の裁判官(定年:65歳)が、一応10年という任期があって再任可能、実務上では、それごとに「裁判官が続けられるかどうか」審査されるのに対して、最高裁判所裁判官には任期が無く、衆議院選挙に同時に行われる国民審査で落とされない限りは、70歳の定年まで続けることになります。

 あと、国会が定めた法律に対して憲法に違反しないかを調べる違憲審査権もあります。ただし勝手に裁判所が調べるのではなく、訴えがあった時にやることになります。

・・・とまあ、ざっと見ていきました。
 本来はもっと書かないといけないことがあるのですが、それはまた法律紹介所で。
 おそらく、もう読み疲れてぐったりなっている人も多いと思います。何を隠そう、私がその一人です。では、これをベースに他の国についてみていきますよ〜。

 (写真:国会議事堂/撮影:裏辺金好)



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