第1回 RPGでよく見る構文を・・・?

○今回はイントロダクション
 では、初回である今回はイントロダクションとして、RPG、特に戦闘画面でよく見る文章を英語にしてみましょう。普段、何気なく見ている文章でも英語にしてみると意外な発見があったりするものです。

1. Monsters appear! (モンスターが現れた!)
 さて、戦闘開始です。日本語を忠実に訳すなら動詞は過去形のappearedでしょうが、「現れてしまってもういない」という過ぎ去ってしまった事実ではないので、コレは不適。ならば現在完了でhave appearedにしてもいいでしょうが、なんか歯切れが悪い。よってここは現在形で受けてみましょう。これなら「モンスターが出現!」という感じで臨場感も出ます。

2.The hero attacks a large crow with a copper sword.
(勇者は銅の剣で大ガラスを攻撃した。)
 「大きい」を表す英語にはbigやgreatもありますが、どちらも心象的に「大きい」というニュアンスを含むことがあります(特にgreat。bigは物質的に大きいことを表すことも多い)かといって、huge(巨大な)ってほど大きくないでしょう、大ガラスとはいえ。よってここはlargeで受けることにします。

 手段、道具を表すときは前置詞withを用います。
 銅は英語でcopper。ちなみに元素記号は「Cu」ですがコレは確か、ラテン語から取ってるんだったかなぁ。

3. He gave the large crow eight points of damage. He beat it .
(大ガラスに8のダメージ。大ガラスをやっつけた。)
 damageは抽象名詞なので数量を表すには単位が必要。ここではpointが単位です。で、やっつけた(beat)わけですから、コレはもう過去の事実。過去形を使いましょう。

 さらに、2の文章では大ガラスを「a large crow」にしていましたが、ここでは「the large crow」。つまり、2の文章の時点では「どの」大ガラスかわからなかったので不定冠詞の「a」、3の文章では既に「勇者が攻撃したその大ガラス」であり、特定されているため定冠詞「the」を用いました。うーん、めんどくさい。

 ちなみにこの文章、現在形で受けて臨場感を出す、「歴史的現在」という時制もありますが、これはまたいずれ解説しましょう。いつになるかはわかりませんが…。

4. The wizard utters the incantation of Mera to a slime.
(魔法使いはメラの呪文をスライムに唱えた。)
 「魔法使い=wizard」。他にも、charmer, conjurer, enchanter, enchantress, magician, sorcerer, sorceress, warlockなど、「魔法使い」にもいろいろ訳語があります。
 
 「呪文を唱える」は「utter the incantation」。「唱える」は「chant(詠唱する)」でもいいかもしれませんが、「(説を)唱える」などの「advance」、「(異議を)唱える」などのadvocateはちょっと違うでしょう。「呪文」の方は「spell」でもいいと思います。このあとスライムは倒されますが、その下りは省略。3の文章を参照してください。

5.The herd of monsters was annihilated. (モンスターの群れは全滅した。)
 群れ=herd、全滅させる=annihilate。
 「群れ」を表す英単語は多く、他にはgroup(一般的)crowdまたはthrong(人)mob(暴徒)pack(猟犬、狼)flock(羊、山羊、鳥)flight(飛ぶ鳥) swarm(虫)school、shoal(魚、鯨)cluster(植物)などがあります。herdは本来、獣の群れ。

6.They get four points of experience and 5 golds.
( 4ポイントの経験値と5ゴールドを獲得。)
 抽象名詞に関してはさっき説明したし、他には特に説明の必要は無いでしょう。
 しかし、お金の単位としての「ゴールド」の綴りはこれでいいのかなぁ。

7.There is no reaction.They must be the ordinary carcasses.
(反応は無い。ただの死体のようだ…。)
 オマケです。倒したモンスターをちょっとつついてみました。ただの=ordinary。ふつうの、とか、平凡な、とかいう意味も持ちます。動物の死体はcarcass。人間ならばcorpse。解剖用ならcadaver。いっそ単純に「dead body」で受けるという手もありますし、さらにbodyだけでも死体を表すことがあります。で、7の文章を少しいじくるとこんな文章ができます。

 There is no reply.It must be the ordinary corpse.(返事が無い。ただの屍のようだ…。)

 返事=reply。answerでも可。よく見る台詞ですね。
 たとえ元は人間であっても、屍は所詮「モノ」でしかないのでitで受けます。

 よし!
 以上で本日の授業を終わる! 全員、腕立て伏せ100回の後、速やかに就寝せい!!


棒