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さて、この黒田氏による姫路城。これを羽柴秀吉が対毛利氏の拠点として孝高から貰いました。そして天正10(1582)年、三重の天守閣を築きます。もちろん、今の天守閣より遙かに小さいもの。その後、羽柴秀長(秀吉の弟)、木下家定(秀吉の正妻おねの兄)が城主となります。 そして慶長5(1600)年、関ヶ原の戦いの論功表彰で、播磨国52万石の大名となった池田輝政がこの地を治めることになり、姫路城の大改築工事が始まります。これが、現在私たちがみる姫路城です。特に、天守閣は1609年に完成してから、約400年間にわたり、当時の威容を伝えています。ちなみに、当時はこの一帯は田園地帯でしたが、輝政によって城下町へと変貌することになります。 しかし、輝政死後の1617年、この地は山陽の重要な場所だったため、江戸幕府は、まだ幼少だったことを理由に孫の光政を鳥取へと追い出し(その後岡山へ。名藩主となり、岡山池田家は幕末まで続く)、譜代大名である本多忠政を配します。ただし、石高は25万石と小さくなっています。つまり、分割されたわけです。 なお彼の嫡男、忠刻の嫁さんが、豊臣秀頼に嫁いだ千姫(2代将軍秀忠の娘)。大阪夏の陣のあと再婚したのです。ですから千姫にふさわしい建物をと、西の丸に色々造りました。ですが現在は、櫓や侍女達が住んだ長局を残す以外、千姫達の居住部分は何も残っていません。 その後、譜代大名が入れ替わり立ち替わり転勤(笑)になり、本多家に戻ったり、松平家になったり、榊原家になったり・・・と、結局、寛延2年、酒井忠恭以降、9代で明治維新を迎えています。 明治維新を迎えると、姫路城も不要の存在。壊されそうになりました。ところが、陸軍の中村重遠中佐が「要塞として興味深く、またデザインも素晴らしい」と保存を働きかけ、一部応急修理の上、放っておかれました。 そのため、折角残ったのに荒廃が進みます。そして、崩れかけていました。それが新聞で報じられたことから、明治43年、ようやく陸軍省が動き出し1年間かけて大修理をします。この時の写真がたまたま、しかし40枚も残っています。昭和31年、やはり再び荒廃の進んだ姫路城の修理をする際、提供されました。 その昭和31年の修理を「昭和の大修理」といい(そのままじゃ)、ぼろくなったパーツの取り替えから何からすべて行われました。解体と再建築です。そうして、昭和39年に完了。平成5年には世界遺産に指定されました。
さて、まっすぐ歩いてゆくと大きな門が。これが、菱の門です。ここより左手に行けば西の丸、まっすぐ行けば天守閣へ。また、右手からも行くことが可能です。見学のモデルコースとすれば、まずは西の丸を見てゆくべきでしょう。 西の丸は、前述のように館の部分はありませんが、櫓がしっかり残っています。櫓の中には入ることができ、ここには昔、侍女が住んでいました。その跡も見学することが出来ます。 そして、天守閣へ。曲がりくねった坂道が、少しきつい。敵に攻められた時の対策ということが身にしみて感じます。敵がゆっくり登ってくる間に、そこら中から矢や銃を撃つことを想定されたのが解ります。 天守閣といっても大天守、小天守(西、乾)とあります。私が行った時は小天守は工事中。写真写りが悪くて残念・・・。大天守の中は見学可能で、天守内部にも様々な仕掛けが。武者隠し、武具掛けなど色々。また、城の特性として階段が非常に急です。内部では城主に関する展示もありました。 天守からは、姫路の街が一望できます(写真右 真ん中の道路を行くとJR姫路駅)。そして降りてきて今度は別ルート。まずは、天守の下にある広場、備前丸。土塀もなく広場となっていますが、元々ここにも建物がありました。本丸御殿です。しかし、これは明治15年に消失。以後、そのまま放置されています。ぜひ、発掘調査の上復元を期待したいところ。と、いいますか、実は姫路城、「建物が残っている」という割には、元々が凄かっただけに、案外貧相です。 今回これを書くにあたって参考にしたのが、学研の歴史群像名城シリーズの姫路城という本。これを読めば解りますが、意外にも多くの建物は既に失われているのです。完全復元したら凄いですよ。 そして、下に降りてゆくと三国堀。ここから姫路城を写すとベストショットです。と、そこはもう最初の菱の門の横。だいたい、姫路城はこんな感じです。ただし、天守閣の周りの堅固な土塀という図を写したい方は、姫路城の周りをグル〜っと、歩いて背面に。付近あるレンガ造りの古そうな建物は旧陸軍第10師団兵器庫(現・姫路市立美術館) 1906(明治39)年の建築です。昭和22年から55年にかけては市役所として使われていたとか。 また、姫路城を歩く時には門の形、それから配置にも注目してください。他の城とは違った面白い雰囲気であることが解ります。まあ他の城は、残っている門そのものが少ないですけど・・・。 |