九段会館テラス(旧・九段会館)〜東京都千代田区〜


 九段会館テラスは、元々は1934(昭和9)年に帝国在郷軍人会を事業主体として建設された軍人会館を前身とし、川元良一が設計しました。昭和天皇の即位の礼を記念する「昭和御大礼記念事業」の一環として建設計画が進められたこともあり、城郭を思わせる威厳のある雰囲気が印象的で、愛知県庁などと同様、当時流行した帝冠様式と呼ばれるデザインです。
 1936(昭和11)年の二・二六事件では戒厳司令部が設置されたほか、1937(昭和12)年には満州国皇帝・溥儀の弟である愛新覚羅溥傑(あいしんかくら ふけつ)と嵯峨浩《さがひろ》との結婚式が行われるなど、重要な政治の舞台となりました。
 戦後はGHQに接収され、連合国軍宿舎「アーミーホール」として使われたのち、接収解除後は日本遺族会へ無償貸与され、九段会館として宿泊・結婚式場・貸しホール等として活用されます。しかし、2011(平成23)年の東日本大震災においてホール天井の一部が崩落し、2人が死亡したことを受けて廃業。
 このため、帝冠様式をもっとも表している建物北側と東側部分をL字状に保存した上で、地上17階建、地下3階建てのオフィスビルとして改築され、2022(令和4)年に九段会館テラスとしてオープンしました。保存部分は国登録有形文化財に指定されています。
 (撮影:裏辺金好)

○場所



○風景


改築前の全景(北東から)



改築前の風景(南東から)


改築後の風景(南東から)


改築前の風景(北から)


改築後の風景(北から) ※以下、すべて改築後の風景


正面玄関
庇の先端部や照明器具など創建時の意匠に復原されています。



エントランスホール(プラザ)。新築部分も保存部分とのデザインの連続性が意識されています。また、皇居側(お濠側)を全面ガラスカーテンウォールとしています。

保存棟の階段

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