鳥類は何故、恐竜と共に絶滅しなかった?

○はじめに


 神奈川県にお住まいの、裏辺金好さんからの質問です。

 鳥類が恐竜から分化したものであろうことは、だいたい定説になってきましたが、では何故、
@ 恐竜と一緒に鳥類の先祖は絶滅しなかったのか。
A 現在の鳥類の中には、恐竜とは無関係に鳥類に進化したものは無いのでしょうか。

 そこにいる、我がスタッフの馬藤さん、教えてくださいな。

○鳥類の進化は1つなのか?

 馬藤永徳(裏辺研究所古生物担当)による回答
 まず、答えやすい二番目から答えましょう。生物は必ず祖先の持つ由来をもちます。人間でいえば尾の跡が未だにのこっていたりしますね。この生物の形態というのは、進化の歴史を反映しています。さらに人間はそれを認識することができます。たとえば、同じヒレでも、クジラのヒレと魚のヒレは異なります。

 前者は祖先である陸上脊椎動物の手のような骨があるのに対し、後者にはありません。同じ環境(水中)に同じ方法(ひれ)で適応しても、形態には祖先により必ず差異ができるのです。普通は、おなじ形態にはなりません。

 同じように、空中に適応した鳥類には独自の特徴、翼や肺の構造、体の基本的な構造など、独自の特徴をもちます。これらは、祖先である恐竜から進化する際に引き継いだものです。これらの共通する特徴をたくさん持つ以上、鳥類は一つの祖先から生まれたと考えるのが自然です。



 逆の例をあげます。
 その前提条件として、収斂進化(しゅうれんしんか)というのがあるのですが・・・。
 例えば、空を飛ぶ動物がいます。体をよほど軽くしないかぎり、飛ぶ方法というのは限られています。そのうちの一つが翼です。この場合、空に適応する生物というのは、それが羽であれ翅であれ、皮膜であれ、翼をもつことになります。このように、違う祖先から進化した違う生物が、同じ環境に適応した結果、同じような形をもつこと、これを収斂進化と呼びます。

 さて、確かに収斂進化の結果、異なる先祖を持ちながら、同じように空に適応した動物もいます。
 コウモリ、と鳥の関係なんかがそうですね。でも、コウモリは鳥類とは決定的に異なっています。
 
 例えば、コウモリは鳥類のような肺の構造(気嚢とよばれる袋がついた構造)をもちませんし、翼も羽でなく皮膜でできています、体の基本的な構造も違います。違う祖先から生まれた結果、鳥類ではない生物となっているわけです。と、いうわけで、鳥類の一部が別の祖先から進化しているという事は、無いと考えられます。

○鳥類が大絶滅を生き残ったわけ


  恐竜の絶滅がまだ完全にわかっていない以上、推測の域しかでませんが、鳥類は絶滅しにくい大きな特徴を持っています。飛ぶということです。環境が悪くなっても場所を変えることも可能ですし、交配相手を探す範囲も広くなります。ひと所に隔離しにくいのです。

 でも、鳥類ならみんな生き残ったわけではなく、絶滅した鳥類はやはりいます。例えば孔子鳥だって今、さらには新生代にはいません。まあ、これは大絶滅のあった6500万年前より前にいなくなったでしょうが。 生物は常に一定数は絶滅しているのです。

 その中で特に、6500万年前の大絶滅では、たくさんの生物が絶滅しています。アンモナイト、翼竜、首長竜、恐竜、そして今現在生きている生き物たちの祖先たちもすべてが全て生き残ったわけではないのです。哺乳類も鳥類もある程度絶滅しています。ただし、生き残った種がいたということです。

 (所長の声)その反面、同じく飛ぶはずの翼竜が絶滅したのは何故なんでしょうねえ。

 古い番組(生命)の説明だと、隕石衝突の際の突風で飛べなかった(大型なので風の影響を強くうける)ということですが、単に種数が少なかったため、たまたまみんな生き残れるようなニッチに居なかったという可能性もあります。その点は正直なところわかりませんし、まだ解明されていないと思います。

*ニッチ・・・経済用語では適所、適切な地位という意味から転じて、ニッチ産業=隙間産業となどと使いますが、この場合は生態的地位の意味で、その生物が活動する最適な生息場所、例えば時間や空間、餌等、環境などの資源とその利用の仕方のことを指します。*所長追記

○おまけ

所長 最後になりますが、恐竜について、未だに良く一般的に誤解されているようなことってあるのでしょうか。
馬藤 一般的ですかあ・・・。恐竜が鳥類に近いことは知られていますが、爬虫類の中で近いものをあげるとすれば、トカゲや蛇でなく、ワニです。誤解というかよく知られていない点であると思います。
所長 イグアナって、恐竜に似ているような気がするんですが、どうなんでしょう。
馬藤 イグアナはトカゲの仲間です。簡単な見分け方は、前眼窩窓と呼ばれる穴が頭骨に開いていることです。 要は、眼窩の前にも穴がありますよということです。


棒