恐竜・翼竜大図鑑 (8)恐竜はなぜ絶滅したの?

○はじめに

 恐竜は6550万年前に絶滅しました。鳥類として生き残ってはいますが、この羽毛の生えた飛行動物以外の恐竜は現在地球上に生息していません。別コーナー「生命36億年の歴史」の白亜紀の項目でも、そのとき何があったかは紹介しましたが、ここで多少補足を行いながらおさらいをします。

 今回は二つに分けてお話をします。まず、以前お話した「絶滅した際(6500万年前に)何が起こったか」。次に、「恐竜にどのくらい影響があったかどうか」という二つです。


○白亜紀末の大量絶滅

 白亜紀の最後(6550万年前)には、もっとも有名な大絶滅が起こります。いわゆる恐竜の絶滅です。白亜紀(Cretaceous)第三紀(Tertiary)の境で起こったことから、K-T境界の大絶滅とよく呼ばれます。なぜC−T境界の大絶滅といわないのかというと、頭文字がCで始まる地質年代が多いため、紛らわしいからです。そのため、ドイツ語でいう白亜紀、Kreideの頭文字を使っているのです。


 もっとも現在では、第三紀という区分は無くなっています。それらは、古第三紀(Paleogene)新第三紀(Neogene)に分けられてしまいました。このため近年の展覧会などでは、K-P境界の大絶滅などと違う表現を使うようになっています。

 

 この絶滅では、恐竜のほかにも、翼竜、首長竜、モササウルス類、アンモナイトなどが絶滅しています。現在、生き残っているグループでも鳥類や有袋類は全体の75%の種類が絶滅するなど、かなりの打撃を受けています。一方で、魚類や他の爬虫類は比較的被害は少なく、たとえば魚類は全体の15%の絶滅でとどまっています。

 

 この絶滅の原因として有力とされているのが、隕石の衝突による核の冬です。この時期、隕石が衝突したのは確実です。現在のメキシコ、ユカタン半島から当時のチュチュルブクレーターが発見されているからです。また、K-P境界の地層にはイリジウムが多数存在します。これは、地表にあまり存在しておらず、隕石由来、もしくは火山由来と考えられています。


 この隕石は世界中に粉塵をばら撒き、太陽光がさえぎられたと考えられています。また、北米には直接衝撃波を受けてしまった地域もあったようです。これに始まる環境変動から、恐竜が絶滅したと考えられています。他に恐竜絶滅に関連していると考えられているのは、インドのデカン高原を作った活発な火山活動などです。また、長期的な環境変動自体がこの大量絶滅に影響しているという学者もいます。 

 

 具体的な環境変動としては、多くの植生がなくなったことや、気温の低下などが考えられています。気温は20度以上低下したといわれます。北米での調査では、K-P境界の上の(つまり隕石衝突後の)地層の花粉化石は、シダ植物が圧倒的に多くなっています。既存の森林がなくなり、あいた空白を埋めるようにシダ植物が増えていったようです。さらに、古第三紀の植生へと変化していきます。植物の消失と、その後の植生の変化、これに多くの陸上動物は苦しめられたことでしょう。

 

○なぜ「恐竜が」絶滅したのか?

 このように、6550万年前に大事件があったことはほぼ間違いないと考えられています。

 しかし、すでに説明しているように、同じ大事件に遭ったにもかかわらず、生き物のグループによってその影響はだいぶ異なります。6550万年前、なぜ恐竜のようなグループ「が」絶滅したのか、という点については現在も議論の的となっています。恐竜には1mくらいの小型種から13mのティらのサウルスまで、様々な種類がおり、これらがまとめて絶滅した理由はなかなか解っていません。

 

 考えられる一つの原因としては、隕石衝突時には恐竜の多様性が減少していたということです。たとえば、現在発見されている北米の恐竜グループは6550万年前の隕石衝突の前にだんだんと属数を減らしています。「隕石が衝突する前に、活発な火山活動ですでに衰退に向かっていた」のかもしれませんし、「数はむしろ増えていたかもしれませんが、多様性が減っており、環境変動に弱くなっていた」のかもしれません。

 いずれにせよ、その状態で隕石が衝突してとどめをさしたというわけです。
 ただし、これも一部の地層のデータであり、属数が減っていること自体が否定する研究もでています。

 

 また、少なくともワニなど爬虫類はしばらく餌がなくても生きていけます。こういった動物が優先的に残り、餌を食べなくてはいけない鳥類、そしておそらくは恐竜などの中から運がよかったものが生き残ったのかもしれません。

 

 これについては、いまだ明確な答えが出ておらず、今後の研究が待たれています。


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