キハ110系一般形気動車


キハ110系標準塗装。東北から関東まで幅広く見られる。
(写真:東北本線 平泉駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1990(平成2)年
運行区間:八高線、小海線、北しなの線、飯山線、羽越本線、磐越西線、磐越東線、左沢線、北上線、釜石線、東北本線、石巻線、八戸線、花輪線、岩泉線、山田線、陸羽東線、陸羽西線、IGRいわて銀河鉄道線など
元運行区間:水郡線、仙石線

●JR東日本標準の高性能気動車

 JR東日本がローカル線のサービス改善を図るために投入した気動車。車体の長さ、両運転台または片運転台などは、投入線区に合わせたバリエーションが存在。車体の長さが16mと小型なのがキハ100系、20m級と大型なのがキハ110系と分類される。

 特に最初に投入されたキハ110系0番台は、釜石線の急行「陸中」用として回転リクライニングシート装備。「陸中」廃止後も、快速「はまゆり」などで活躍中。ちなみに、登場時は前面が黒色で塗装されていた。

 また、秋田新幹線工事期間中に、特急「たざわ」の代役として北上線経由で盛岡〜秋田を結んだ特急「秋田リレー」用のキハ110系300番台は、0番台にデッキを追加するなど特急運用に対応した構造だった。同番台はJR東日本で唯一の特急形気動車となったが、秋田新幹線開業後は一般形の200番台に外観、内装とも改造されて消滅した。

 塗装は殆どの路線で同じ配色だが、左沢線用のキハ100系と、山形新幹線新庄延伸に合わせて陸羽東線、陸羽西線に投入されたキハ110系は専用塗装が施されている。

 2007(平成19)年から水郡線にキハE130系が導入されたのに伴い、同線で数多く活躍していたキハ110系が各地へ転出。これによって特に岩手県を中心とした東北地方で活躍の場を広げ、最地の活躍を続けていたキハ58系、キハ52形を一掃した。このほか、2011(平成23)年の東日本大震災で仙石線の一部区間が不通になると、矢本〜石巻間で運用。これは2015(平成27)年5月まで続き、運用終了後は石巻線に転出してキハ40系を置き換えた。

 また、2012(平成24)年12月には、大船渡線を中心に活躍する「POKEMON with YOUトレイン」が登場したほか、2013(平成25)年10月からは、八戸線にキハ110系3両を改造したジョイフルトレイン「TOHOKU EMOTION」が登場。これは、列車全体を「移動するレストラン」としたもので、2号車はライブキッチンスペースとして改造され、初の形式「キクシ」を冠したキクシ112−701となっている。

 さらに、2015(平成27)年4月からは飯山線で観光列車「おいこっと」が運転開始。列車名はTOKYOの英語表記を反対にした上で、ひらがなで表現。内装は古民家風のデザインとなっている。このほか同年には、小海線開業80周年記念事業の一環として首都圏色と国鉄急行色、2017(平成29)年には小海線に「HIGH RAIL 1375」が登場するなど、塗装のバリエーションが増殖中である。

○カラーバリエーション


山形県の左沢線で運用されるキハ101形は、フルーツライナーのロゴと共に専用塗装が施されている。
ちなみに、同じ小型車グループのキハ100形と異なり、車内はオールロングシート。トイレもついていない。
(写真:左沢線 山形駅/撮影:裏辺金好)

山形新幹線新庄延伸に合わせて投入され、主に陸羽西線で活躍するキハ110系。貫通扉が黒色に塗られ引き締まった印象。また、側面に赤系統のアクセントカラーが施されている。
(写真:陸羽西線 新庄駅/撮影:裏辺金好)

山形新幹線新庄延伸に合わせて投入され、こちらは主に陸羽”東”線などで活躍するキハ110系。陸羽西線用と異なり、側面に黄色のアクセントカラーが施されている。
(写真:仙石線 石巻駅/撮影:裏辺金好)

2013(平成25)年10月に登場したキハ110系700番台 TOHOKU EMOTION (東北エモーション)。列車全体を「移動するレストラン」として運用し、2号車は初の形式である「キクシ」として改造された。八戸線を団体臨時列車として走行する。
(写真:八戸線 本八戸〜長苗代/撮影:ネオン)

2012年12月に登場した「POKEMON with YOUトレイン」。一ノ関運輸区に所属するキハ100−1と、キハ100−3の2両へ、内外装ともにポケットモンスターのキャラクターを装飾した。
(写真:大船渡線 一ノ関〜真滝/撮影:ネオン)

2017年7月にリニューアルされた「POKEMON with YOUトレイン」。今度はピカチュウだらけの内外装になった。
(写真:大船渡線 一ノ関駅/撮影:ネオン)

2014年10月に登場したキハ38形のリバイバルカラー。八高線全通80周年を記念したもので、キハ112-204+キハ111-204が対象。
(写真:八高線 高崎駅/撮影:G列車)


2015年に登場した「おいこっと」。長野総合車両センター所属のキハ110−235,236が改造されて登場。写真1枚目がキハ110−235で、こちらは2014(平成26)年12月に改造を完了している。
(写真:北しなの線 長野駅/撮影:裏辺金好)

2015年に小海線に登場した首都圏色。キハ110−121に塗られている。
(写真:小海線 野辺山駅/撮影:裏辺金好)


2015年に小海線に登場した国鉄急行色。キハ111−111とキハ112−111に塗られている。
(写真1枚目:小海線 野辺山駅/撮影:裏辺金好)
(写真2枚目:小海線 小淵沢駅/撮影:裏辺金好)

2017年に復刻された飯山線色。1991〜97年までキハ40系などに塗られていたもので、青・白の塗装に3色のストライプが入る。車体にレタリングされた「VOITURE AMITIE'」とは、「友情の列車」という意味のフランス語。キハ110−231とキハ110−233の2両に塗られている。
(写真:北しなの線 長野駅/撮影:リン)

○車内の様子


高崎車両センター所属(*H23時点)のキハ111−204の室内。緑色のモケット。
(撮影:G列車)

高崎車両センター所属(*H23時点)のキハ112−204の室内。緑色のモケット。
(撮影:G列車)

急行「陸中」用だったキハ110系0番台急行仕様の車内。現在も活躍中である。
(撮影:リン)


飯山線の観光列車「おいこっと」車内。内装を木目調としたほか、ソファータイプのロングシートも特徴。
(撮影:裏辺金好)

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