| 1705年 |
ニューコメンが蒸気機関を開発。 |
| 1721〜42年 |
「国王は君臨すれども統治せず」でお馴染みのウォルポール内閣による政治。 |
| 1733年 |
ジョン・ケイが「飛び杼」を発明。 |
| 1753年 |
大英博物館が出来る |
| 1754〜63年 |
フレンチ=インディアン戦争で、北アメリカにおけるイギリスの覇権が確立。 |
| 1769年 |
ワットが蒸気機関を改良。 |
| 1772年 |
(日本)田沼意次が老中になる。 |
| 1775〜83年 |
アメリカ独立戦争。76年にはアメリカ独立宣言。 |
| 1789年 |
フランス革命が勃発。また、アメリカではワシントンが初代大統領に就任。 |
| 1793年 |
オーストラリアへ初の移民。また、中国の清にマカートニーを中心とした使節を送る。 |
| 1799年 |
ナポレオンを中心とした総裁政府の成立。 |
| 1801年 |
イギリスがアイルランドを併合し、連合王国を成立。今の国旗であるユニオン=ジャックが誕生。 |
| 1804年 |
神聖ローマ帝国が完全に解体しオーストリア帝国成立。また、ナポレオンはフランス皇帝の座に。 |
| 1814年 |
ナポレオンが追われ、フランスで王政復古。ルイ18世が即位。 |
| 1819年 |
イギリスがシンガポールを領有。 |
| 1830年 |
マンチェスター〜リヴァプールで鉄道輸送が開始。 |
| 1837年 |
ヴィクトリア女王即位。 |

18世紀後半、イギリスでいわゆる「
産業革命」が起こります。
産業革命というのは、簡単に言ってしまえば農業中心から工業中心へ移行すること。
また、工場で働く「
労働者」という階級が誕生したことも大きな出来事です。
革命と言っても、突然全てがガラリと変わった、と言うわけではなく、各国ごとに少しずつ様々な産業に変化が起こっていったのですが、その変化は確かに「革命」的なものでした。このために人々の生活様式は激変し、そしてヨーロッパ各国は、アジアやアフリカへ植民地支配をすべく本格的に乗り出していきます。
さあ、この産業革命とはいったい何なのでしょうか? そして、何故イギリスで最初に起こったのでしょうか。
今まで見たとおり、イギリスは
東インド会社によるアジア・インド方面への進出や、移民によるアメリカへの植民(
ニューイングランド植民地)などで海外に数多くの市場(しじょう)を持つ貿易大国となっていました。1664年にはオランダからニューアムステルダムを奪い
ニューヨークと改名して発展させ、1754〜63年にはフランスと北アメリカで戦争(
フレンチ=インディアン戦争)し、これに勝利。カナダ&ミシシッピ川より東のルイジアナ・フロリダ・西インド諸島、セネガルという広大な範囲を領土として獲得するに到ります(
パリ条約 1763年)。
もちろん、いくら何でも一度に獲得した領土が広すぎる。ここが後に本国と現地で様々なズレを生じていくのですが・・・。そして、労働力不足を補うためにアフリカから黒人を輸入するという
奴隷貿易を行い、さらに黒人に働かせて商品を造る(例えばタバコ、砂糖をイギリス本国に輸出し、さらに他のヨーロッパ各国に再輸出)というシステムで莫大な利益を上げます。
少し話がずれましたが、このようにイギリスは領土の確保と、さらに海上における一大覇権国家となりました。
さらに、農業は資本家たちによって大規模耕作が開始。小さな農地に農民を点々と置くのではなく、彼らを追い出して少人数で一気に耕すようになります。そうすると、失業した農民があふれます。
このように人、カネ、資源が余るようになっていきますと、当然これを活用して大量生産・・・と考えるのは自然ですね。
なお、今回のお話の途中(1775年)ではアメリカ独立戦争なんかも起こっています。詳しくは次回見ていきますので、今回は「ふ〜ん、そんなのが起こりつつ、産業革命が進行しているんだな」と感じていただければ幸いです。
そこでまず変化が起こったのが木綿工業の分野でした。
それまでイギリスの工業と言えば、羊でお馴染みウール100%(?)の毛織物でしたが、18世紀になると東インド会社がインド産の綿織物を輸入を開始。これが吸湿性・耐久性に優れていることから大ヒットし、これからは「綿」の時代だ!となります。そして、これをイギリスでも生産してしまおう、となります。
と、そこで運の良いことに。
ジョン=ケイ(1704〜64年?)という職人が
飛び杼(とびひ)を発明します。こういう機械の解説って難しいんですけど、簡単に言ってしまえば織り方の改良によって、今まで織物を織るのに2〜3人必要だったのが1人で済むようになった、ということです。これによって綿織物の生産量が急増(もっとも、ケイ自身は職人さん達から「仕事を奪うな」と批判され、仕事場を壊されるという不幸な出来事が起こります)。
さらに1764年、
ハーグリーヴズ(?〜1778年)がジェニー紡績機こと
多軸紡績機を発明(一度に数多くの糸を紡げる)。ところが・・・やっぱり、彼も職人さん達から襲撃を受けてしまいます。
ですがそれでも機械化の道は止まらず・・・。
1769年には
アークライト(1732〜92年)が
水力紡績機(水力を動力とし、ボビンの取替えと糸切れ時の処理以外、基本的に自動なので熟練した職人を必要としない・・・よって、大規模な工場で多数の一般人を働かせることが可能に)を発明。彼は前2人と違って工場経営者、資本家として大成功を収めます。
1779年には
クロンプト(1753〜1827年)が
ミュール紡績機(より強くて、しかも細い糸を紡ぐことが可能に)を発明します。と、ここまでは前座。
さらに、革命的な出来事になったのが、
蒸気機関の発明です。
蒸気機関とは何ぞや、と言うことですが、蒸気の熱エネルギーを機械的なエネルギーに転換し、推進力を生みだしたり、発電するなどの用途に使われる装置のことです。
人力なんかより遙かに強力な、この蒸気のパワーで、さらに機械の性能が向上していくことになります。しかし、当然最初からすごい物が出来たわけではありません。先駆けとなる発明自体は1690年、フランスの物理学者で発明家でもある
デニス・パパンによって開発されます。これは、水をくみあげるために使われましたが、実際のエンジン作動が蒸気の圧力ではなく、大気圧でうごく装置であり、まだまだパワー不足で効率も悪いものでした。
具体的にどんな仕組みだったかというと
1.1本のシリンダーの底に少量の水をいれ、蒸気が発生するまで熱する
2.蒸気の圧力でピストンが押し上げ、シリンダーの底から熱源をとりのぞく
3.シリンダーが冷却すると蒸気が凝縮され、ピストンの上にある大気圧でピストンをおし下げる、というもの。
さらに1705年、イギリスで小さな鉄工所を経営していた
ニューコメン(1663〜1729年)によって、画期的な蒸気機関が開発されます。事実上、これをもって蒸気機関の最初とすることもあり、その仕組みですが・・・
1.石炭でボイラーを熱して蒸気を発生
2.それをシリンダーに通して、低圧力でピストンを押し上げる
3.さらにシリンダーに冷水を入れて熱ををとりのぞく
4.するとシリンダーが冷却され、蒸気が凝縮して水に。
5.すると、シリンダーが真空状態になり、大気圧でピストンを押し下げられパワーが出る
というわけ。解ります? 筆者はよく解りません。こういうのは動画で見ると解りやすいんでしょうね。んで、ある程度普及しますが、これでもまだ燃費も悪く出力も弱かったんですね。
ところが約半世紀以上過ぎた1769年、
ジェームス・ワット(1736〜1819年)が改良しますと、遥かに便利になり大ヒット!!
何を改良したのかというと、シリンダーの蒸気を冷却器に導いて冷やし、さらにピストンを下げるときにも蒸気を使うこと。
これによって
出力を従来の2倍以上増加&
石炭消費量を7分の1に減らす&機関の小型化に成功します。なお、ワットは、スコットランドのグラスゴー大学に出入りする機械職人だったのですが、大学からニューコメン方式の蒸気機関の模型の修理を依頼されたんですね。
そこで、
「どうせなら改良した物を造ってしまえ!」
と思いついて、歴史に名を残す大改良につながる・・・。人間、どこで歴史に名を残す出会いがあるか解らないものです。ちなみに、電力記号の
W(ワット)は彼の名前にちなんだものだったりします。
さらにワットは1781年、ピストンの往復運動を回転運動に替えることに成功し、蒸気機関は様々な分野で無くてはならない動力源としてイギリス産業革命の代表となります。また、先ほどのアークライト紡績機も水圧に頼っていた物が蒸気機関向けに改良され、さらに便利になります。
さらに1785年には
カートライト(1743〜1823年)が蒸気機関を用いた
力織機を発明し、さらに紡績の効率が上がります。何と言っても、水力を使う必要がないし、機関が小型になったので色々な場所で工場を造ることが可能になったんですね。
また、紡績の原料である綿花をアメリカで奴隷に栽培させて輸入。さらに、こうした綿花や、鉄鉱石、蒸気機関に必要な石炭を素早く輸送するためにイギリスでは
運河が発達します。また、1807年にはアメリカ人の
フルトン(1765〜1848年)が
蒸気船を発明し、海上交通に革命的な安定性とスピードアップをもたらします。
何と言っても、1819年には蒸気船
サヴァンナ号が大西洋(アメリカのニューヨーク〜イギリスのリヴァプール)を29日で横断(それまでは2ヶ月かかった)。さらに1840年代には同区間が14日に短縮という、めざましいスピードアップを遂げ、人と物の動きが活発になっていくのです。