3.台南その1:安平古堡とその周辺

 さて、いよいよ本格的に観光を開始。台南は台湾最古の都市であり、漢民族が最も早く移住して来ました。その際、先住民族がこの地を「タイワン」と呼んでいたことから、台湾という名称が誕生します。
 1624年、オランダ人がこの地を占領し、漢民族を移住させてプランテーション的経営に乗り出し、植民地として支配。ちなみに、1626年にはスペインが台湾北部を占領しますが、1642年にオランダによって追い出されます。
 ところが、オランダも1661年、清によって倒された明を復興しようと立ち上がった、鄭成功(1624〜62年)のグループによって追い出され、支配を終えました。そして、その鄭氏による政権も3代22年で幕を閉じ、1683年に台湾は清の支配下に入ります。
 1885年、新たに台湾省が設置されるにあたって省都が台北に設置。台南は台湾の中心としての役割を負え、数多くの史跡がかつての栄華を物語っています。

○オランダ時代の名残をとどめる安平古堡

 前述のように、まずはタクシーに乗車して高層ビルが建ち並ぶ台南運河を渡り、安平(アンピン)地区へ。
 まずは、安平古堡(アンピンクーパオ)を見学します。
 ここは、1627年にオランダ人が造った要塞で、当時はゼーランジャ城(ゼーランディア城)と呼ばれました。明の復興を掲げる鄭成功らは、このゼーランジャ城を攻め落としたことでオランダを追い出し、台湾を占領しました。ちなみに、鄭成功は長崎の平戸で父の鄭芝竜と日本人の母の間に生まれた人物。満州族の清を倒して、漢民族の明を復興しよう、と中国南部で戦い続け、1658年には南京にまで攻め込みますが敗北。そのため、台湾を新たな根拠地にしようと考え、オランダと戦い、ここを占領したんですね。
 ちなみに、ゼーランジゃ城はその後、あまり使われることなく廃墟と化した上、1871年に弾薬庫が設置されていた場所が爆発し大損害。多くのレンガ城壁が他の建物に転用され、日本統治時代は税関の宿舎が設置されます。しかし、台湾(中華民国)政府が統治するようになって、安平古堡という名称で国家一級古蹟に指定。博物館として各種資料を展示しているほか、オランダ時代の城壁も僅かに残り、近年の発掘調査による結果も展示されています。

入り口
 

復元模型
 資料館内部で展示されている模型。かつてゼーランジャ城は海に面していました。
資料館内部
 16〜17世紀の中国の武器などを展示。
資料館内部
 16〜17世紀のヨーロッパの武器なども展示されています。
資料館内部
 16〜17世紀のヨーロッパの防具なども展示されています。
絵画
 かつてのゼーランジャ城の様子を描いた絵画。
フレデリック=コイエット胸像
 鄭成功が攻めてきたときにオランダの台湾長官を務めていたフレデリック=コイエット。台湾陥落後は敗戦の責任を問われて一時収監された後、帰国しています。
鄭成功胸像
 台湾を占領した鄭成功でしたが、程なくして死去。しかし、その後も民族英雄として崇拝を受けています。中国本土と台湾で、その位置づけが微妙に異なってますけど。
オランダ時代の城壁
 手前の城壁はオランダ時代のもの。
復元された大砲
 かつて海に向かって設置されていた大砲を復元したもの。
風景
 展望塔が設置されており、周辺を一望できます。
発掘されたオランダ時代の城壁
 近年の発掘調査で見つかったオランダ時代の城壁。
旧城壁
 こちらは旧来の姿をかなりとどめている城壁。
旧城壁
 別の角度から。
安平開台天后宮
 アンピンカイタイティエンホウコン。安平古堡脇に建つ廟で、建物は30年ぐらい前のものと新しいですが、さすがは台湾。とにかくゴージャスです。ちなみに、廟は地域信仰の場所であり、色々な人や物が祭られています。戦前に台湾を治めた日本人や、日本の軍艦の模型まで信仰の対象にしているところもあるとか。
安平開台天后宮内部
 内部はこのとおり。きらびやかな姿には、ただただ圧倒されるばかり。やりすぎじゃないんですか、ひええ〜。
安平小砲台
 安平古堡近くに残る昔の砲台跡。
安平小砲台
 かつてはここで敵を迎え撃っていたわけですね。

○安平地区、そのほかの見所

 安平地区はこのほかにも見所が満載。以下で紹介する以外にも、延平街と呼ばれるエリアは昔ながらの町並みが残り、また時間の都合で、泣く泣く省略した億載金城(イーツァイチンツェン)は清朝末期の要塞跡。フランス式の星型に近い形の要塞で、史跡公園として整備されています。

安平外商貿易紀念館
 記念じゃなくて、紀念。誤植じゃありませんので、あしからず(笑)。かつての外国商館を活用したもので、貿易に関する展示があるそうですが・・・時間の都合で外観の撮影だけにしました。

安平樹屋
 どうやら最近整備されたらしい、イギリス商館「徳記洋行」、のち大日本塩株式会社の倉庫を利用した小さなテーマパーク。ここは普通に、日本時代の展示がされているだけですが・・・。
安平樹屋
 奥に入るとビックリ。朽ち果てたレンガ造りの建物に、ガジュマルの木が覆いかぶさり、驚きの風景となっています。ジブリの宮崎監督が大喜びしそうな、大自然に人間の工作物が負けた風景ですね(苦笑)。
安平樹屋
 建物内部はこのとおり。大自然の驚異!!
 面白いと感じる人は多いようで、観光客でにぎわっていました。
安平樹屋
 階段が整備されており、屋上に出ることが出来ますが・・・こりゃ凄いわ。あまりの迫力に、ただただ「恐れ入りました」と感じるばかり。
台湾開拓史史料蝋燭館
 安平樹屋と同じく、かつてのイギリス商館「徳記洋行」の建物を活用した資料館。内部は、台湾の歴史を蝋人形を使って展示していますが、5分で台湾の歴史がわかる優れもの(・・・かもしれない)。先住民族がいて、オランダ人が来て、鄭成功がこれを追い出して・・・と、一目瞭然の展示。
日本時代の家屋?
 朽ち果てつつある民家。日本時代のものでしょうか。
安北路
 普通の風景を一枚パチリと撮影。
なつかしのセブンイレブン
 今や日本のセブンイレブンときたら、セブンアンドアイホールディングスなる、不思議な看板に変わってしまいましたが、こちらは従来のデザイン。見慣れた看板に安心!?

 死んでいるわけじゃありません。ただ、やる気が無いだけです。アジアでは良く見られるようですが、犬が道路上に寝そべって、グダ〜ッとしています。ああ、そんな生活がしてみたい。
台南市第三信用組合安平分社
 マニアックな所長はこんなものもしっかりとチェック。戦前から使われている近代建築で、こじんまりとしながらも均整の取れた姿が好印象。ちなみに、現地のパンフレットにも掲載されていたりします。
ゼーランジャ城旧城壁
 街中の家々にはさまれていますが、これもゼーランジャ城の遺構として非常に貴重なもの。
近代建築?
 これは何となく撮影。
風景
 ゼーランジャ城近くに戻り、ここからタクシーに乗車して、再び台南市中心部へ向かいます。