クラス323 

British Rail Class 323


ノーザン・レイル(NT)所属のクラス323。写真はマンチェスター市内と空港の間のアクセス列車。
(撮影:モールデス・ロード駅, Mauldeth Road Station)

●基本データ

デビュー年 1992年
最高速度 145km/h
製造会社 ハンズレット・トランスポテーション・プロジェクツ(Hunslet Transportation Projects)
運行会社 ノーザン・レイル(Northern Rail, NT)
ロンドン・ミッドランド(London Midland, LM)
運行区間 バーミンガム近郊路線
●レディッチ(Redditch)〜バーミンガム・ニュー・ストリート(Birmingham New Street)〜リッチフィールド・トレント・バレー(Lichfield Trent Valley)
●ウルヴァーハンプトン(Wolverhampton)〜バーミンガム・ニュー・ストリート〜ウォルソール(Walsall)
●バーミンガム・ニュー・ストリート〜バーミンガム・インターナショナル(Birmingham International)

マンチェスター近郊路線
●マンチェスター・ピカデリー(Manchester Piccadilly)〜グロソップ(Glossop)、ハドフィールド(Hadfield)
●マンチェスター・ピカデリー〜オルダリー・エッジ(Alderley Edge)
●マンチェスター・オクスフォード・ロード(Manchester Oxford Road)〜ウィルムズロー(Wilmslow)
●マンチェスター・ピカデリー〜ストックポート(Stockport)〜クルー(Crewe)
●マンチェスター・ピカデリー〜マンチェスター空港(Manchester Airport)〜クルー
●マンチェスター・ピカデリー〜ストーク・オン・トレント(Stoke-on-Trent)
●マンチェスター・ピカデリー〜マンチェスター・ユナイテッド・フットボール・グラウンド(Manchester United Football Ground, 試合日のみ)
編成詳細

クラス323 3連x43本


●国鉄末期の吊り掛け駆動VVVFインバーター制御電車

  イングランドの中部に位置するバーミンガムと北西のマンチェスター都市圏の近郊電化路線用に開発された電車。1992年にデビューし、同形式は英国鉄が導入した最後の車両で導入からほどなくして国鉄が民営化された。

国鉄晩年での導入
 1990年代初頭にロンドン近郊を除くイングランドの路線を管轄に置いていた英国鉄支部のリージョナル・レイルウェイズ(Regional Railways)が新規電化された都市圏の近郊路線に新型電車を導入すべく入札を行った。契約はハンズレト・トランスポテーション・プロジェクツ社(Hunslet TP)に授与され、対象となる路線は1993年に電化されたバーミンガム近郊のクロスシティー線(Cross-City Line)と1984年に直流1500Vから交流25kVに更新されたマンチェスター近郊の電化路線だった。

 3連x43本が製造され、そのうち26本がクロスシティー線用、17本がマンチェスター近郊用に振り分けられ1993年から営業運行を開始。しかしこの時期の新型車両の例に漏れず初期不良が多発し、全編成が導入完了したのは1996年以降となった。同時期に電化が決定したリーズ近郊のエアーデール線とワーフデール線に同じ新車を導入すべく同路線の運行を行っていたウェスト・ヨークシャー地区交通局(West Yorkshire Passenger Transport Executive)とリージョナル・レイルウェイズが3連x14本の追加発注を希望していたが国鉄民営化を近日控えており、政府から予算が降りなかった。民営化後にクラス333が発注され、これらが変わりにリーズ近郊に導入された。

民営化後の動向
 マンチェスター近郊ではクラス304、305の旧型電車を置き換え、グレーター・マンチェスター交通局(Greater Manchester Passenger Transport Executive)の塗装で導入。民営化後はイングランド北部のフランチャイズを委託されたノース・ウェスタン・トレインズ(North Western Trains)に転属。2004年からはノーザン・レイル(NT)がフランチャイズを運行し、相変わらずマンチェスター近郊の電化路線で運用されていた。2007年中にはリニューアルが施され、運行機器の更新やヘッドライトのLED化が行われた。2016年4月にはNTのフランチャイズ終了とともにロンドン・ミッドランド(LM)へ転属する予定だ。

 バーミンガム近郊ではクラス118などの旧型気動車をクロスシティー線から追いやったが、前述の車両不良により完全に置き換えるまでは時間を要した。民営化時にはセントラル・トレインズ(Central Trains)に引き継がれたが、2007年11月からLMが運行している。バーミンガム近郊の他にもバーミンガム・ニュー・ストリート〜リバプール・ライム・ストリート間の都市間列車でも運用されていたがクラス350に置き換えられた。2008年には内装を含むリニューアル工事が行われ、現在のLM塗装で出場した。上記のようにマンチェスター近郊配属のクラス323が転属するので全編成がバーミンガム近郊で運用されることとなる。

クラス323の仕様
 全編成が3連でMc+T+Mcの2M1T構造。車体はアルミ合金製で対応電源は交流25kVのみ。吊り掛け駆動VVVFインバーター制御というユニークな駆動システムを採用しており、独特な加速音が聞こえる。車内は全車普通車で通勤型らしく2+3列配置となっている。マンチェスター近郊に配備されていた323223-323225の3編成はマンチェスター空港の利用客に配慮して大型荷物用のラックが設置されたが実際にそれらの編成が空港アクセス列車として運用されるのは稀だった。

(解説・撮影:秩父路号、2016年2月更新)

●ギャラリー


NT所属編成の車内の様子。着席数を重視し2+3列配置となっている。


NT所属の323223-323225の3編成はマンチェスター空港の利用客に配慮して大型荷物用のラックが設置された。
NT所属編成の中間車両。パンタグラフが設置されている付随車。
(撮影:モールデス・ロード駅, Mauldeth Road Station)


LM所属のクラス323。2016年4月からは全編成がLMに転属し、バーミンガム近郊で運用される予定。
(撮影:バーミンガム・ニュー・ストリート駅、Birmingham New Street Station)

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
EM60: Greater Manchester Set to Lose Another 17 Trains
Wikipedia: British Rail Class 323

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